宮崎編:満員電車がストレスだった――環境に人間を合わせるのではなく、住みたい環境を選ぶためにUターンした“陸海空”エンジニア:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(61)(2/4 ページ)
なぜ、個人が環境に適応しなければいけないのか――満員電車に乗るたびに「ストレスなく住みたい環境を選びたい」と考えがシフトしていった。「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実:宮崎編」、今回は東京から宮崎へUターンしたエンジニア(趣味はダイビング)のお話です。
東京時代のライフスタイル
宮崎のライフスタイルを紹介する前に、東京での暮らしの良かった点、悪かった点を、私の視点で振り返ってみます。
東京の良かったところ
良かった点は、「モノがそろっている」ことと「コミュニティーの充実」です。
「モノがそろっている」というのは、売っているものやサービスの種類が充実しており、多くの選択肢から選ぶ自由があるということです。
最新のガジェットを実際に手に取って確認したり、細かいニーズに対応する差別化されたサービスが多数あったり、そこに行くまでの交通手段もきちっと整っています。
「コミュニティーの充実」は、好きなものやイベントを通じて交流する場が多いと感じていました。これは、エンジニアコミュニティーに限ったことではありません。
私はRailsやScalaの勉強会に参加したり、縁があって電子楽器のコミュニティーに遊びに行ったりしていました。興味のあるジャンルを探れば、いろいろな人たちとつながっていけるのが東京だと思います。
東京のツラかったところ
良いところは、総じて人口が集中していることで生まれる利点であるように思うのですが、悪かった点も人口密集による問題点かもしれません。
私にとっては、通勤がとにかくツラい時間でした。
行きの電車はほとんどがかなり混み合った車内で立ったままの移動で、運良く席に座れたとしても狭い空間の中で過ごすのはツラい。業務開始前の時点で疲労が蓄積していました。
帰りの電車はそんなに混んでいませんでしたが、飲み会が終わった人たちの匂いが充満した車内で1時間以上耐えることもありました。
我慢していれば慣れていくのかもしれません。また、始発駅を生活拠点にしたり、出社時間を早めたりといった工夫をする人もいるようです。
しかし私は、「なぜ、そこまでして個人が環境に適応しなければいけないのか」と感じるようになっていました。感覚がマヒしていくような気がして、「ストレスなく住みたい環境を選ぶ」方向に考えがシフトしていきました。「自然に触れる生活スタイルを求めていた」のだと思います。
休日の過ごし方
東京はショッピングや食事、カフェ、バーやライブやスポーツ観戦などいろいろな楽しみにあふれた街です。しかし、私はそれらにあまり興味をそそられることはありませんでした。
仕事はエンジニアだし、最新のガジェットも好きなんですが、休日はあまり遠出をせずに、ゲームをしたり趣味でコードを書いたりしてのんびりする日の方が多かったように記憶しています(趣味のスキューバダイビングに行ったり、買い物や勉強会などのイベントに出掛けることもありましたが)。
宮崎に戻ってからのライフスタイル
現在のライフスタイルは、どうでしょうか。
通勤ラッシュとは無縁
宮崎では自転車通勤、所要時間は20分未満です。
東京時代と比べると、通勤時間を短縮できました。また、通勤ラッシュがないので快適です。雨の日などはバスで出勤することもありますが、私が住む平野部では、雪が降ることはほぼありません。なお、バスの本数はあまり多くありません。
アラタナの同僚たちは、徒歩や電車、自家用車で通勤しています。
浮いた時間の使い方
通勤時間が短くなったことで、仕事以外での活動時間が長く取れるようになりました。その結果、ゲームやプログラミング、動画編集といった趣味の時間が増えたり、副業を始めたりなど、活動の幅が広くなりました。
同僚たちも、朝、サーフィンをしてから出社したり、帰宅後すぐに釣りに向かったり、仕事以外の時間を充実させています。
交通事情全般
宮崎は電車の路線が少ないため、近場は路線バスやタクシーなどを使うか、自家用車で移動します。
自転車や自家用車は、維持費用が掛かるし、事故のリスクがあるのがデメリットかもしれません。また、自動車通勤には通勤ラッシュ(渋滞)が発生しがちです。
しかし、時間に縛られず自由に動ける手段として考えれば、自家用車を持つことは、生活スタイルによっては大きなメリットです。
市街地に近いエリアに空港があるのも、便利なポイントです。電車やバスはもちろん空港まで乗り入れていますし、市街地からでもタクシーで15分ほどで着きます。
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