最新チップセットの機能と性能を探る 1. Intel 815/815Eチップセットの概要デジタルアドバンテージ 島田広道 |
まずは、IntelがラインアップしているデスクトップPC向けチップセットが、現時点でどのような状況にあるのか確認しておこう。
Intel 815/815Eチップセットの位置付け
2000年後半の現在、Intel 815/815Eチップセットの登場により、Intelのチップセット・ラインアップは以前よりもシンプルになった(下表)。
セグメント | プロセッサ | チップセット | 対応するメイン・メモリ |
ハイエンド(PCワークステーションを含む) | Pentium 4 | Intel 850 | Direct RDRAM(PC600/PC700/PC800メモリ) |
Pentium III | Intel 840/820/820E | Direct RDRAM(PC600/PC700/PC800メモリ) | |
メインストリーム | Pentium III/Celeron | Intel 815/815E | 133MHz駆動のSDRAM(PC133メモリ) |
ローエンド(低価格PC) | Celeron | Intel 810 | 100MHz駆動のSDRAM(PC100メモリ) |
IntelのデスクトップPC向けチップセットの位置付け(2000年後半) |
もともとはIntel 820/820Eチップセットがハイエンドからメインストリームまでカバーする予定だったが、「ニュース解説:動き始めたDDR SDRAMと対抗するRambus」でも触れているように、技術的なトラブルが続いたりDirect RDRAMの価格が下がらなかったりしたせいで、その可能性はほぼなくなった。それどころか、ハイエンド・セグメントもIntel 820/820Eのさらに上位チップのIntel 840が、PCワークステーション・セグメントから下りてきてカバーしているのが現状だ。
一方、Intel 815/815Eチップセットは順調にメインストリームPCでの採用が広がっており、立派にIntel 820/820Eの代わりを果たしている。これはIntel 810チップセットにはないグラフィックスのアップグレード機能や高速なPC133メモリのサポートといった機能が、PCベンダに受け入れられた結果といえるだろう。Intel 810チップセットは、一時期Pentium IIIと組み合わせてメインストリームPCの一部をカバーしていたのだが、Intel 815/815Eチップセットの登場によって、現在はCeleronと組み合わせて、完全に低価格PC向けに変わった感がある。
Intel 815/815Eチップセットの構成と機能
Intel 815/815Eチップセットは、以下の写真のように、3つのチップで構成される。
Intel 815/815Eチップセットの構成 |
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左からGMCH(Graphics and Memory Controller Hub)、ICH2(I/O Controller Hub 2)、FWH(FirmWare Hub)。これはIntel 815Eの例で、Intel 815ではICH2の代わりににICHが用いられる。 |
GMCH(Graphics and Memory Controller Hub)は、グラフィックス機能を内蔵するほか、メイン・メモリもコントロールする。またプロセッサとのインターフェイスもこのチップが担当する。ICH(I/O Controller Hub)またはICH2は、各種のI/Oデバイスやインターフェイスを内蔵するほか、PCIバスもコントロールする。シリアル・ポートやパラレル・ポートなどレガシー・デバイスのコントロールは、ICH/ICH2に接続されるスーパーI/Oチップが担当する。FWH(FirmWare Hub)は、BIOSやPOSTのプログラム・コードを格納するフラッシュ・メモリとして利用される。
これまで「Intel 815/815Eチップセット」と表記してきたとおり、「815」と呼ばれるチップセットには、「815」と「815E」という2種類の製品が存在する。815はIntel 810チップセットでも使われているICH(I/O Controller Hub)を使用するのに対し、815EはICH2(I/O Controller Hub 2)というチップを使用する。そのほかに両者の違いはなく、GMCH(Graphics and Memory Controller Hub)とFWH(FirmWare Hub)の両チップとも同じものが使用される。
Intel 815EチップセットのICH2には、ICHに比べると、新しい機能が追加されている。具体的には、まずICH2には10BASE-T/100BASE-TX対応のイーサネット・コントローラが内蔵されている。外付けの物理層チップ(PHYチップ)によっては、アナログ電話の屋内配線を利用して家庭内LANを実現できるHomePNAもサポートできる。次に、IDEインターフェイスはUltra ATA/100をサポートしている(ICHはUltra ATA/66まで)。USBのポート数も4ポートに増えている(ICHは2ポートまで)ほか、同じく内蔵のサウンド機能も、PCM出力のチャンネル数が6本に増えている(ICHは2本)。
このようにICHとICH2、つまり815と815Eの差は大きい。その割にPCベンダやマザーボード・ベンダへの販売価格はそれほど違わないのか、現在販売されているPCやマザーボードのほとんどがIntel 815Eチップセットを採用している。そのため本記事でも、実験にはIntel 815Eチップセット搭載PCを使用した。
Intel 815/815Eチップセットの主な機能を以下に記す。
プロセッサ・インターフェイス | プロセッサの種類 | Pentium III/Celeron |
FSBのクロック周波数 | 66MHz/100MHz/133MHz | |
スロット/ソケット | Socket 370 | |
メモリ・コントローラ | 対応メモリ | PC100/PC133メモリ(100MHz/133MHz駆動のSDRAM DIMM) |
最大メモリ容量 | 512Mbytes | |
ECCサポート | なし | |
DIMMの実装枚数 | 133MHz駆動時:ダブル・サイドDIMM×2、シングル・サイドDIMM×3 100MHz駆動時:ダブル・サイドDIMM×3 |
|
内蔵グラフィックス | アクセラレーション | 2D/3Dグラフィックス |
最大解像度*1 | 1600×1200ドット、256色、リフレッシュ・レート85Hz | |
最大同時発色数*1 | 1280×1025ドット、1677万色、リフレッシュ・レート85Hz | |
インターフェイス | アナログRGB出力、デジタルCRT出力、TV用デジタル出力 | |
グラフィックス・メモリ | メイン・メモリを共用。ほかに4Mbytesのディスプレイ・キャッシュを追加可能 | |
内蔵RAMDAC | 最大ドットクロック230MHz | |
AGPインターフェイス | 対応規格 | AGP 2.0(AGP 4xや1.5V振幅の信号などに対応) |
接続可能なカード数 | 1枚 | |
内蔵IDEインターフェイス | ポート数 | 2ポート(最大4デバイスまで接続可能) |
対応規格 | 815:Ultra ATA/66、815E:Ultra ATA/100 | |
内蔵ネットワーク・コントローラ(815Eのみ) | 対応ネットワーク | 10BASE-T/100BASE-TXイーサネット、HomePNA(1Mbits/s) |
データリンク層 | 内蔵コントローラでサポート | |
物理層 | PHYチップを外付けする必要あり(このチップでネットワーク媒体を選択する) | |
内蔵オーディオ・コントローラ | 対応規格 | AC(オーディオ・コーデック)’97 2.1 |
モデム | アナログ・モデムをソフトウェアでサポート可能 | |
PCM出力チャンネル数 | 815:2チャンネル、815E:6チャンネル | |
内蔵USBホスト・コントローラ | コントローラ数 | 815:1つ、815E:2つ |
最大ポート数 | 815:2ポート、815E:4ポート | |
対応規格 | USB 1.1 | |
PCIバス | コントローラ | ICH/ICH2に内蔵 |
バスマスタ数 | 最大6デバイス | |
対応規格 | PCI 2.2(32bitバス/33MHzクロック) | |
そのほか | レガシーI/O | スーパーI/Oチップを外付けして対応 |
Intel 815/815Eチップセットの主な機能 | ||
*1 アナログRGB出力の場合。デジタルCRTインターフェイスを利用する場合は、最大1024×768ドットに下がる。 |
次のページからは、Intel 815/815E搭載PCが備えている重要な機能や注目の機能について、実験をしながら、そのメリットを実際に確かめていく。
関連記事 |
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動き始めたDDR SDRAMと対抗するRambus | |
インテル・サイトのリンク集 |
関連リンク | |
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INDEX | ||
[実験]最新チップセットの機能と性能を探る | ||
1. Intel 815/815Eチップセットの概要 | ||
2. Intel 815/815Eのグラフィックス機能 | ||
3. 内蔵グラフィックスの性能を探る | ||
4. Intel 815/815Eで使えるメモリの種類 | ||
5. メイン・メモリ アクセス性能 | ||
6. 増えたUSBポートの活用方法 | ||
7. 注意すべきそのほかのポイント | ||
8. 実験時のテスト環境について | ||
「PC Insiderの実験」 |
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