プロダクト・レビュー
さまざまな新技術が注ぎ込まれたミッドレンジIAサーバ 「eserver xSeries 360」(5) デジタルアドバンテージ 島田広道 |
ミッドレンジIAサーバの新標準
以上、eserver xSeries 360のハードウェアを紹介してみて感じたのは、本機が2002年度のミッドレンジIAサーバの指標といえるマシンに思えた、ということだ。
まず挙げられるのは、プロセッサの代替による性能向上である。2wayから4way以上のIAサーバ向けプロセッサは、Intel XeonとIntel Xeon MPがそろったことにより、既存のPentium III/Pentium III Xeonから新しいIntel Xeonファミリに置き換えられていくことになる。また、メイン・メモリについても、SDRAMからDDR SDRAMへの移行により、最大転送レートの向上が見込まれる。これらにより、IAサーバの性能は一段アップすることになるだろう。
また、可用性やスケーラビリティといった点は、RISC/UNIXサーバなどに比べてIAサーバがまだまだ劣る部分でもある。それに対し本機では、リモートI/OやChipkillといった技術の採用により、こうしたIAサーバの弱点を克服しようとしている。そのほか、ラックマウント型サーバとして本機を見た場合、ラックという環境に合わせてメンテナンスを容易にする各種の工夫がなされており、従来の機種と比べて一段の差を感じる。IAサーバというと、汎用的な部品を採用した低価格が売り物であった。しかし、eserver xSeries 360のように新しい技術を投入し、より可用性やスケーラビリティを考慮したIAサーバが登場し始めたことは注目すべきトレンドといえるだろう。
Intel Xeon MPの正式発表を受けて、日本IBM以外のサーバ・ベンダもIntel Xeon搭載ミッドレンジ・サーバを発表・出荷し始める。そのチップセットは主にServerWorks製のGrand Champion HE/LEだろう。またIntelも、デュアルプロセッサ対応のチップセット「Intel E7500」に加え、近い将来Intel Xeon MPの4way対応チップセットも出荷する計画がある。eserver xSeries 360とはチップセットが異なるこれらの新機種が、どのようなサーバ・マシンに仕上がってくるのか、ぜひとも確認したいところだ。eserver xSeries 360は、2002年度のミッドレンジ・クラスのマイルストーンともいえるサーバであり、各サーバ・ベンダがどのように対抗していくのか見ものである。今後とも、各社のサーバ・マシンをプロダクト・レビューで取り上げ、他社の動向などもチェックしていく予定だ。
項目 | 内容 |
メーカー名 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
製品名 | eserver xSeries 360 8686-2RX |
価格 | 350万円(IBMダイレクト価格) |
製品URL | http://www-6.ibm.com/jp/servers/ eserver/xseries/x36023/x36023a.html |
問い合わせ先 | ダイヤルIBM:0120-04-1992、FAXサービス:044-200-8600 |
プロセッサ | Intel Xeon MP-1.5GHz×2基(最大4基) |
キャッシュ・メモリ | 2次キャッシュ:256Kbytes、3次キャッシュ:512Kbytes(いずれもオンダイ) |
チップセット | IBM XA-32 |
メモリ | PC1600 ECC DDR SDRAM Registered DIMM 2Gbytes(最大8Gbytes) |
拡張スロット(空きスロット数) | 64bit/133MHz PCI-X ×1(1)*3、64bit/100MHz PCI-X ×2(2)、64bit/66MHz PCI-X ×4(4)、リモート管理用カード専用×1(0) |
ドライブ・ベイ(空きベイ数) | ホットスワップ対応3.5インチHDD専用ベイ×3(1)、5.25インチ前面アクセス可能ベイ(薄型)×1(0)、3.5インチ前面アクセス可能ベイ(薄型)×1(0) |
フロッピー・ドライブ | 3.5インチ2モード |
ハードディスク | 10000RPM 36.4Gbytes SCSIハードディスク×2台(Ultra160 SCSIとホットスワップに対応) |
CD/DVDドライブ | ATAPI CD-ROMドライブ(24倍速) |
SCSI | Ultra160 SCSI対応×1チャネル(オンボード実装、内蔵HDD用、Adaptec AIC-7892Bコントローラ) |
ネットワーク | 10/100BASE-TX対応(オンボード実装、Intel 82559コントローラ) |
グラフィックス | S3 Savage 4(オンボード実装、PCI接続) |
インターフェイス | RXE拡張ポート×1、各種リモート管理用ポート、USBポート×3(フロント×1、リア×2)、ディスプレイ(アナログRGB)×1、PS/2キーボード×1、PS/2マウス×1 |
電源ユニット | 370W×2台(最大3台まで)、冗長構成とホットスワップに対応 |
消費電力 | 標準:520W、最大:740W |
外形寸法 | 442(W)×701(D)×133.4(H)mm |
重量 | 最小:24.9kg、最大:31.8kg |
サポートOS | Windows 2000 Server(SP2)/Advanced Server(SP2)、Windows NT Server 4.0(SP6a)/Server Enterprise Edition 4.0(SP6a)、Novell NetWare 5.1J(SP3)、Red Hat Linux 7.1 日本語版(基本OS部分のみ) |
付属品 | 電源ケーブル、電源スイッチ・カバー、ラック型対応レール、ラック導入用テンプレート、各種ペーパー・マニュアル、オンライン・マニュアル収録CD-ROM、セットアップ用CD-ROMなど |
eserver xSeries 360 8686-2RXの主な仕様 | |
*3 133MHzは100MHzと同じスロットを共有する。また、全スロットが従来のPCIにも対応(5Vのみ対応のPCIカードは不可) |
関連リンク | |
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