コミュニティとしてだけでなく、情報発信手段としても有効な「メーリングリスト」。しかし、ヘッダなどの知識なしに安易に運用するのは危険だ。構築・運用方法とともに、メール配送の仕組みについても解説する。
メールをコミュニケーションの手段にしている方のほとんどは、メーリングリスト(以下ML)から何らかのメールを受け取っていると思います。MLはWebのように「見に行く」という能動的な行動が不要で、メールを「受け取る」という受動的な方法で情報を取得できるため、意図したMLに参加すれば欲しい情報を少ない手間で得ることができます。発信する側にとっても、顧客や会員などに新サービスや新製品の案内を送信する手段としてMLは有効に働きます(だれもTo:やCc:に数百のアドレスをタイプしたいと思わないでしょう)。
MLを開設する最も簡単な方法は、フリーで公開されているMLサーバを利用することです。ただし、多くのフリーサーバでは各メールに宣伝文を掲載することが義務づけられています。最少の手間でMLの開設・維持が可能ですが、コミュニティの場として利用するならまだしも、顧客へのサービスとして利用する場合は慎重にならざるを得ないでしょう。競合する他社製品の広告が掲載されるのは本意ではないでしょうし、メールアドレスなどの顧客情報が第三者のサーバに保管されているというのも何とも落ち着かないものです。
それなら自分でMLサーバを構築するというのも悪い選択ではありません。qmailなら、こうした要望に十分こたえる手段を提供できます。
実際にMLサーバの構築に入る前に、運用計画を立ましょう。まず、下記の事項を検討しておきましょう。
冒頭で述べたように、MLの運用スタイルは企業情報などを発信するような「情報発信型」と、リストに参加するメンバーが知識を交換し合う「情報共有型」に分けられます。どちらのスタイルを選択するか決めておくことも大事な作業です。また、参加者が自由に投稿できるものにするか、管理者が査読したものにだけ投稿を認めるようにするかなど、メンバーの参加スタイルもこの段階で決めておきましょう。
次に参加人数を想定します。数人程度の社内プロジェクト連絡用に開設するMLと、不特定多数が参加するものとではおのずと運用のスタイルも変わってきます。登録者が数万に上るような場合は、メール配信頻度を考慮して配信サーバを複数用意することを覚悟しなくてはいけません。参加者の増減は登録者リストの追加・削除作業に大きく影響するため、MLへの参加・退会を参加者自身で行えるようにするか、管理者が行うかも決める必要があります。
MLの構築方法を紹介する前に運用計画を立てろというのは無謀な要求かもしれません。しかし、実際の運用ではまずこれらのことを押さえ、どのやり方でMLを構築すべきかを判断するようにしてください。
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