前半では、IISにおける基本的なセキュリティ対策について解説してきた。 だが実際にWebサーバとして動作させるには、Webコンテンツをどうやって転送するかということも考えておかなければならない。そしてその更新方法についてもセキュリティ対策を施しておく必要があるだろう。さもないと、コンテンツを更新する手段を使って、外部からシステムに不正にアクセスされてしまう可能性があるからだ。後半では、FTPを使ったコンテンツのアップロード方法と、そのセキュリティ対策について解説する。
FTPサーバの機能はIISに含まれているので、セットアップの際にチェック・ボックスをオンにしておくことで、FTPサーバとしての利用が可能になる。ただしFTPを使用する際には、IIS Lockdown Toolの実行時に、途中でテンプレートを選択するのと併せて[View template settings]チェック・ボックスをオンにしておき、その次の画面で[File Transfer Service]のチェック・ボックスをオンにしておく必要がある。
次の画面では、利用可能なサービスとしてWebとFTPが表示されているはずなので、ここでFTPサービスを許可しておく。
ネットワーク経由でファイルの送受信を行う手段としては、Windows 2000が持っているファイル共有機能を使用する方法と、IISが持っているFTPサーバの機能を使用する方法がある。
インターネットと直接接続されていないイントラネット環境では、ファイル共有機能を使用する方が便利だ。しかし、インターネット環境ではFTPを使用する方が望ましいと考えられる。これには、以下のような理由がある。
このように、FTPの方がアクセス制限のための手段が多く、またログを残すことができるなど、高機能になっている。FTPの方がファイル転送などの手間が少し多くなるが(ユーザー名やパスワードを指定しなければならないし、FTPプロトコルに対応した転送ツールを使用しなければならないなど)、たいていのWeb制作ツールではFTPによるコンテンツの転送機能を備えているので、これはあまり問題とはならないだろう。
IISでFTPを組み込んだ場合、初期状態では「C:\inetpub\ftproot」というフォルダがFTPサーバのルートとして公開され、アクセス権は読み取り専用になっている(書き込みができない)。しかし、今回はWebコンテンツの更新にFTPを使用するため、FTPで公開するフォルダを変更した上で、アクセス権も書き込み可能に設定しておく必要がある。
FTPサービスの設定を行うには、以下の手順で行う。
■管理ツールの起動
FTP管理ツールは、[コントロールパネル]の[管理ツール]−[インターネット サービス マネージャ]を実行することによって起動することができる。
■FTPサイトのプロパティの変更
ツールの起動後、左側のツリーを展開して[既定のFTPサイト]を表示させ、そこで右クリックして[プロパティ]を選択する。
■FTPのアクセス権の変更
まず、FTPサーバが公開するフォルダと、アクセス権の設定を変更する。そのためには、[ホーム ディレクトリ]タブに移動する。
ここでは、[FTPサイトのディレクトリ]にある[ローカル パス]を、Webサーバの公開対象である「C:\Inetpub\wwwroot」に変更する。これにより、WebとFTPで同じ場所を参照できるようになる。また、書き込みができないと困るので、[書き込み]のチェック・ボックスをオンにしておく。
これで[ホーム ディレクトリ]タブの設定は完了だが、ほかにも設定する項目があるので、[適用]をクリックして設定を確定しても、まだダイアログは開いたままにしておく。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.