次に、LFSの環境構築用ユーザーを作成する。これは特に難しい作業ではないだろう。ユーザー名は、分かりやすく「lfs」などとしておけばよい。以降、LFS環境構築用ユーザーはlfsとして話を進める。
# useradd -d /home/lfs -s /bin/bash
lfs |
さらに、LFS用のパーティションの所有者をユーザーlfsに変更する。
# chown -R lfs /mnt/lfs |
LFSでの環境構築を容易にするため、ユーザーlfsの.bash_profileを編集して環境変数などを設定する。設定しておきたい項目は、以下の4つである。
umask 022 |
.bash_profileを編集したら再ログインするか、
$ source .bash_profile |
を実行して、変更を反映させる必要がある。envコマンドかechoコマンドで環境変数の変更が反映されたことを確認しておこう。
LFS用のパーティションに、各種ディレクトリを作成する。ここで作成するディレクトリはFHS標準(編注)に準拠したものであり、Linuxユーザーにはなじみ深い構成のはずである。
編注:FHSについては、連載「Windowsユーザーに教えるLinuxの常識」の
第2回 各ディレクトリの役割を知ろう(ルートディレクトリ編)
第3回 各ディレクトリの役割を知ろう(サブディレクトリ編)
を参照。
以下のシェルスクリプトを使えば、一気に各ディレクトリを作成することができる。
#!/bin/sh |
ディレクトリを作成したら、作成結果を確認しつつ一部のパーミッション変更を行っておく。これはセキュリティを強化するためだ。
$ cd $LFS |
最後に、LFSのパッケージを取得しておこう。LFSのパッケージには、環境構築に必要なプログラムのソースコードが収録されている。入手は公式サイト(http://www.linuxfromscratch.org/)で行える。
公式サイトの左側のメニューにある「download」カテゴリで「packages」と書かれたリンクをクリックする。または、http://www.linuxfromscratch.org/download/packages.shtmlに直接アクセスしてもよい。表示されるミラーサイトの中から、物理的に近いものを選んでリンクをクリックする。
ミラーサイトを選択したら、lfs-packages/3.3/lfs-packages-3.3.tarを選んでダウンロードする。このファイルは85Mbytesほどのサイズがあるので、ダウンロードには相応の時間がかかる。ADSLなどのブロードバンド環境でも、ダウンロードには1時間以上を要するだろう。万が一に備えて、レジューム機能を備えたFTPクライアントを使うなどの対策を講じておくことを勧める。
サイズが大き過ぎると思うなら、lfs-packages/3.3/にあるすべてのファイル(lfs-packages-3.3.tar以外)をダウンロードしてもよい。これによって、lfs-packages-3.3.tarを展開すると得られるファイル群とまったく同じファイルを取得できる。
ファイルのダウンロードが終わったら、それを/mnt/lfs/usr/srcに移動してそこで展開すればよい。
今回は準備作業までとなったが、次回から準備の終わった環境で構築を進めていく。まずはOSとして起動し、基本的な操作ができるところを目指していこう。次回も楽しみにしていただければ幸いである。
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