WordPressも比較的良く使われている。特に、日本より海外では比較的実績があるようだ。Movable Typeのライセンス体系が変わった際に、WordPressに移行したユーザーが多かったようで、そのころから注目を集めたと記憶している。Movable Typeからの移行ということでCMS的に考えがちだが、基本的にWordPressはCMSというよりブログと考えた方がよい。
PHP+MySQLという構成はXOOPSと一緒。WordPressはサードパーティなどによる数多くのプラグインが開発されていること、PHPの知識があれば機能をプラグインとして開発できる点が評価されているのだと考えている。
無償のCMSには、テンプレートだけ変更してそのままの機能で使用するというニーズのほかに、カスタマイズを行ってクライアントのニーズに応える「オリジナルなCMSを提供するためのフレームワーク」というニーズがある。先ほど紹介したDotNetNukeやこのWordPressは、そのようなフレームワークとしてのニーズに応えるアプリケーションの1つといえるだろう。
自分でサーバ環境を構築するのであればPythonベースのZopeも選択肢となるのではないか。
Zopeには、WebサーバやDBサーバ、ブログ、WikiなどのWebアプリケーションが同梱されている。Pythonの知識があればZopeの拡張を行うことも可能だ。CMSとしての側面だけでなく、WebサーバやDBサーバとしての側面もあるため、どちらかというと技術者向けの印象が強い。
「オールインワン」の特色を考えると、筆者はローカル環境向けではないかと感じている。
無償のCMSではPHP+MySQLという組み合わせが多いようだが、Nucleus CMSもこの組み合わせの、カスタマイズが可能なCMSだ。
日本語情報が充実しており、個人的にかなり気になる存在なのだが、本家サイトが改ざんにあったりと、出来の良さとは無関係なところで選択肢に入れることをためらってしまうのも事実だ。
画面のキャプチャーがWebサイトにあるので、雰囲気を確認してみるのもよいだろう。
これまで紹介してきたCMSのほかにもさまざまなCMSが開発されているが、その中で最近気になったCMSである「SOY CMS」を紹介しよう。SOY CMSはサイト自体も2008年1月末に公開されたばかりの非常に新しいCMSである(参考「小・中規模向けCMS、京大発のベンチャーがGPLでリリースへ〜テンプレートは「ほぼHTML」〜」)。PHP+MySQLの組み合わせのほか、SQLite版が用意されている。
編集部注:SQLiteについて詳しく知りたい読者は、記事「AIRとSQLiteで学ぶ ローカルDB操作の基本」をご参照ください。
注目した理由は「テンプレートがほぼHTMLだ」という点だ。簡単にCMSを体験できると考えることもできるのだが、テンプレートがほぼHTMLということは、凝ったHTML+CSS+Ajaxのサイトなど「表現を重視したサイト構築」を比較的容易に実現可能と考えることもできるのだ。
このように、さまざまなCMSを紹介してきたがいかがだっただろうか?
今回も筆者の主観だけで選んだので、世の中にはまだまだ優れたCMSがあるはずだが、単純に機能の多い・少ないだけがCMSのポイントではない。「簡単に更新できる」という点を生かすためには誰が作業を行うのかを考え、その作業を実際に行う人にとって「修正が行いやすく、テンプレートが作りやすい」CMSはどれなのかを考える必要がある。実際に使うシーンを想定して、使いこなせるCMSを選んでほしい。
さて、連載を始めてから早くも7回目。これまでにさまざまなツールを紹介してきたが、読者の皆さまからも「こんなツールがあるよ」というご紹介のメールを頂いている。お返事ができず大変申しわけないと思っているが、すべてのメールを読ませていただいている。皆さまのメールが筆者の執筆の励ましとなっているので、引き続き「こんなツールあるのになんで紹介しないの?」というものがあったらご連絡いただけると幸いである。
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株式会社セカンドファクトリー セールス&マネジメントグループ セールス&プロデュースチーム リーダー
新谷 剛史(あらや たけふみ)
XHTML+CSSによるコーディングと、リッチコンテンツ開発で品質向上のカギとなる「テストマネジメント」の業務に従事。また、個人サイト「Expression Web Dictionary」ではExpression関連の情報を中心に、XHTMLやCSSの情報を扱っている。
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