皆さんの脳は常に高負荷に耐え、過剰な覚醒状態が継続していると説明しました。そこでストレスとうまく向き合っていくための方法の1つとして、呼吸のエクササイズを紹介しました。
なぜ、呼吸がストレスに効くのでしょうか?
深く穏やかな呼吸をすることで酸素をたくさん吸収できるほか、呼吸に注意を集中することで、過剰覚醒を緩和し、不安や緊張を解きほぐして気持ちを穏やかにするという効果があるからなのです。
さらに、自分の心の状態を落ち着いて意識できるようになるため、ストレスが高い状態にあっても自暴自棄にならず、適切な対処を選択できる気持ちの余裕が生まれてくるのです。
丹田(下腹部)に注意を向けて呼吸を整える呼吸法や、丹田に意識を置いて呼吸に注意を集中し瞑想(めいそう)をするという座禅の方法は、古くから日本文化に存在してきました。深呼吸をし、意識を内面に向ける練習を積んで心身を整えることは、日々のストレスとうまく付き合っていくための昔からの知恵なのです。
アメリカでは30年ほど前から、呼吸に注意を集中する瞑想を用いたストレス対策プログラムが医療機関や企業研修などで行われ、効果を挙げています。一例として、米グーグルが社内でこうしたプログラムを活用しています。
どんな仕事をしていても、残念ながらストレスからは逃れようがありません。中でもITエンジニアの皆さんは、特に過酷な環境に置かれているのです。
ストレスと戦うのではなく、うまく付き合う方法を身に付けておくことで、自らのメンタルヘルスを守ること。それこそがこれからのITエンジニアにとって必須のものといえるでしょう。
参考
『マインドフルネスストレス低減法』(北大路書房刊)
2007年10月11日Google本社で行われたマインドフルネス瞑想のビデオ 「Mindfulness with Jon Kabat-Zinn」(クリックで再生します)
ピースマインド 西村もゆ子●臨床心理士。マインドフルネスストレス低減法指導者トレーニング修了。企業内相談室、児童相談センターや大学の相談室などでの勤務を経て、現在ピースマインドにて対面および電話での相談に応じている。「人に優しく、自分に優しく、いまのこの瞬間を大切に生きていけるよう、日々瞑想やヨガなどの練習をしています。つらいときにこそ笑顔で深呼吸を!」
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