テンプレートとゲストOSのカスタマイズ機能を組み合わせると、極めて効果的なシステム展開を行うことができる。例としてWebサーバ、アプリケーション・サーバ、データベース・サーバをそれぞれ複数個ずつ配備するようなシステムを構築する状況を考えてみたい。最初に基準となる仮想マシンを作成しOSのインストールを行う。ここでOSへのパッチ適用や基本設定など、そのシステムにおいて共通する要素について初期設定を行う。
共通設定が完了したらこの仮想マシンからテンプレートを取得する。そしてこのテンプレートから必要種類数分(今回の例では3個)の仮想マシンを展開する。
次に各サーバに個別の設定を行う。それぞれ必要とされるアプリケーションをインストールしたり、個別のパッチを適用したりといったことを行う。
サーバごとの個別設定が完了したら、ここでもう1度それぞれの仮想マシンからテンプレートを取得する。今回の例ではWebサーバ、アプリケーション・サーバ、データベース・サーバそれぞれのテンプレートを作成することになる。
そして最後に実際に必要となる数だけの仮想マシンを展開する。これにより、共通化できるインストール作業や設定作業などは1回だけ実施すればいいことになるため、大幅に時間を短縮できるほか、人為的なミスも減らすことが可能になる。
今回は仮想マシンの持つ特長である「カプセル化」と「ハードウェア非依存」について解説した。VMotionやDRSなどと比べると派手さはないが極めて重要な特性であり、ぜひとも把握しておいてほしい部分である。またこれらの機能をうまく活用した「クローン」、「テンプレート」と呼ばれる機能について紹介した。仮想マシンの複製・展開時は、VMware VirtualCenterが提供するゲストOSのカスタマイズ機能が利用できるということも紹介した。
次回は、VMware Infrastructure 3がもたらすさまざまなソリューションを紹介する。
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