正男 「それよりこちら側はLANになります。Local Area Networkの略です。ローカルですから基本的にLANにはインターネットからは接続することはできません。お家のマシンもこうなってるはずですね」
芽衣子 「分かんないけど、Macとつないでる機械はあるよ。電話もそこにつないでんの」
芽衣子さんは頑張って話を合わせてみます。私だってケーブルくらいつないでますよ。
正男 「そして、インターネットの向こうにたくさんのサーバがあって、そして、私たちはそのサーバを使って、Webを見たり、FTPにつないだりしてるんですね」
芽衣子 「2ちゃんねるとかニコ動もサーバ?」
正男 「そうですね。インターネットでサービスしてるものはすべてサーバがしていると考えるといいですね」
芽衣子さんは自宅に置き換えて考えます。
LANが自分のマンション、インターネットが道路、サーバがお店、って考えると分かりやすいかもね。
芽衣子 「そっか、コビトさんが家からお使いに出て、買い物して帰ってくる感じね。サーバの住所が分かんなきゃ初めてのお使いに行けないもんね」
正男 「だからIPアドレスは別々なんですね」
芽衣子 「海外のサーバもパスポート要らないの? それってすごくない?」
正男さんは芽衣子さんの独り言には気付かないふりをして先に進みます。
正男 「あと、社内だけでしか使わないファイルサーバやプリンタサーバのように、サーバはLAN側に置いてもいいです」
LANのサーバはマンションの中にあるお店ね……。 芽衣子さんは友人夫婦の住む、中にコンビニのある高級タワーマンションを思い出しました。
くそっ、私もあんなところに住みたい……。
芽衣子 「ところでサーバってのはちょっと分かった気がするけど、クライアントっていうのは何? この業界だとお客さんのことじゃないですか」
芽衣子さんはタワーマンションへのあこがれを振り払うかのように質問します。
正男 「クライアントっていうのは、サーバを使うマシンのことですよ。クライアントがサーバに何か命令を出して、サーバがそれに対して返事する感じですね」
芽衣子 「そっか、クライアントってサーバのお客さんってことね」
これまでクライアントにはいろいろむちゃな要求されたなあ。2徹したこともあったなあ。これからはつらいことがあったらサーバに無茶な要求をしてみよう、と心に誓う芽衣子さんです。
正男 「超ざっくりだけど、こんなところで今日はおしまい」
なんでこんなに初日から熱心に教えられるか芽衣子さんには不思議でなりません。
芽衣子 「でも、どうして初日からこんなに教えてくれるんですか」
正男 「あ、もうすぐ俺、辞めるから。俺はこんなところよりディズニーランドが好きなんだよ。だからそれまでにここのネットワークなんとかできるようにしないとね」
芽衣子 「なんですと!?」
正男 「あと、この会社、来月引っ越しだからちょっと大変かもね」
芽衣子 「わたしが、そ・れ・を、やるんですか!?」
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