“全部入り”のEclipseで学ぶ統合開発環境の常識企業システムの常識をJBossで身につける(2)(4/4 ページ)

» 2009年09月16日 00時00分 公開
[相原淳, 上川伸彦株式会社ビーブレイクシステムズ]
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JBoss ToolsでWebアプリを作成するには

作成したプロジェクトの動作確認

 まずは、作成したプロジェクトの動作確認を行います。[JBossサーバー]ビューの[JBoss 5.0 Server]を選択し、右上の三角ボタンを押してサーバを始動します。

図21 JBoss 5.0 Serverを始動 図21 JBoss 5.0 Serverを始動

 [コンソール]上に、アプリケーションサーバの起動時のログが出力されます。ログ上に、起動にかかった時間が表示されたら起動の処理は完了です。

図22 JBoss 5.0 Serverの起動ログ 図22 JBoss 5.0 Serverの起動ログ

 それでは、サンプル画面を開いてみましょう。Webブラウザを開いて、「http://localhost:8080/sampleJBoss/home.seam」を入力してアクセスしてください。以下のホーム画面が開けば、プロジェクトは完成しています。

図23 sampleJBossのホーム画面 図23 sampleJBossのホーム画面

 画面が表示できたら正しくプロジェクトが作成されています。画面の確認ができたら一端サーバを停止しましょう。[コンソール]右上の赤い■ボタンを押します。

サンプルアプリの画面を作成

 いよいよサンプルアプリケーションの画面を作成していきたいと思います。まず、Eclipseの[ファイル]→[新規]→[Seam Action]を選択します。

図24 [Seam Action]を選択 図24 [Seam Action]を選択

 [Seamプロジェクト]には、作成した「sampleJBoss」を選択します。後は、Seamコンポーネント名に「seamAction」を入力します。[コンポーネント名]を入力すると、ほかの項目も自動的に反映され、下記のようになります。

図25 作成したファイルの配置 図25 作成したファイルの配置
  • [Seamプロジェクト]:sampleJBoss
  • [Seamコンポーネント名]:seamAction
  • [POJOクラス名]:SampleAction
  • [メソッド名]:sampleAction
  • [ページ名:sampleAction
  • [パッケージ名]:org.domain.samplejboss.session

 [終了]を押すと、プロジェクト配下に、以下のようにリソースが作成されます。

  • Javaソース
     sampleJBoss
      src/hot
       org.domain.samplejboss.session
        SeamAction.java
  • xhtmlファイル
     sampleJBoss
      WebContent
       seamAction.xhtml

 以上でサンプルアプリケーションの作成は終了です。とても簡単にできてしまいました。次は、サンプルアプリケーションを動かしてみましょう。

 Webブラウザより、「http://localhost:8080/sampleJBoss/seamAction.seam」にアクセスします。すると、以下の画面が表示されます。これが、今回作成したサンプルアプリケーションの画面になります。

図26 サンプルアプリケーションの画面 図26 サンプルアプリケーションの画面

 ここで、画面上の「seamAction!」ボタンを押してください。ボタンを押すことによって処理が実行されて、画面上に、「seamAction」と表示されます。

図27 「seamAction」と表示 図27 「seamAction」と表示

サンプルのソースコードを確認

 JBossを使用してサンプルアプリケーションを作成し動作の確認できました。では、実際にどのような処理が行われているのでしょうか。まず、作成したサンプルの画面のソースコードを見てみましょう。

<ui:define name="body">
  <rich:panel>
    <f:facet name="header">seamAction</f:facet>
    <h:form id="seamActionForm">
      <h:commandButton id="seamAction" value="seamAction!"
        action="#{seamAction.seamAction}"/>
    </h:form>
  </rich:panel>
</ui:define>
seamAction.xhtml

 この画面でボタンを押したときの処理が、「action="#{seamAction.seamAction}"」となっています。これは、「JSF EL」(コラム参照)によって、コンポーネントへアクセスすることを示しています。

コラム 「JSPだけではなく、JSFにもELがある」

JSF EL(Expression Language)は、Managed Beanにアクセスするための言語です。このManaged Beanは、テキストより入力されたデータを格納するJavaBeanのことで、faces-config.xmlにて設定します。


 では、コンポーネントのアクセスとはどういうことでしょうか。実際に、コンポーネントとなるSeamAction.javaを開いてみましょう。

@Name("seamAction")
public class SeamAction
{
    @Logger private Log log;
    @In StatusMessages statusMessages;
    public void seamAction()
    {
          log.info("seamAction.seamAction() action called");
          statusMessages.add("seamAction");
    }
}
SeamAction.java

 SeamActionには、「@Name("seamAction")」が宣言されています。このNameアノテーションの記述によって、SeamActionがSeamのコンポーネントとして認識されます。それにより、SeamActionのseamActionメソッドが実行されます。そして、メソッドの中にあるstatusMessages.addが実行されて、メッセージを表示する仕組みになっています。

 以上が、Seamを使用したアプリケーションの流れです。大まかな処理の流れは、つかめたと思います。これを基に、新しい画面を作成し、データベースよりデータを取得するアプリケーションなどのアプリケーションをご自身で作成してみてください。

ほかのIDEも触ってみよう

 今回は、IDEを導入し、簡単なサンプルアプリケーションを作成しました。このように簡単な環境構築やスムーズなアプリケーション開発は、生産性の向上につながります。もはやIDEは、企業システムを開発するうえで、なくてはならない存在になったといえます。今回は、EclipseとJBoss Toolsが対象でしたが、そのほかのIDEも触ってみると、いろいろと勉強になると思います。

 次回は、「DI×AOPの常識」としてDIやAOPに触れていきたいと思います。DIやAOPという言葉を初めて聞いたという人は、ぜひ読んでみてください。

筆者紹介

株式会社ビーブレイクシステムズ開発部所属

相原 淳(あいはら じゅん)

専門分野:Webシステム開発・保守

2008年よりビーブレイクシステムズに在籍。

前職では、Javaを用いたWEB系のシステム開発や保守作業に従事。Javaの開発を行っていく中で、オープンソースに興味を持ち、その分野で活躍できるビーブレイクシステムズに転職し、現在に至る。


筆者紹介

株式会社ビーブレイクシステムズ技術担当取締役。

上川 伸彦(かみかわ のぶひこ)

RDB製品の開発、各種業界団体におけるXML/EDI標準の策定やSOA基盤の設計などに従事。最近は、ITコンサル業よりも、業務システムの構築に携わることが多く、お客さまからの無理難題と向き合う日々を送っている。



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