タスク・バーの右端には、システムで動作している各種のサービスやプログラムなどのアイコンが表示されるが、Windows 7ではこれらを表示させるかどうかを細かくカスタマイズできる。デフォルトでは4つしか表示されず、通知領域は非常に簡素なものとなっている。それ以上のアイコンを表示させるかどうかはユーザーがカスタマイズして決める。
[カスタマイズ]のリンクをクリックすると次のようなダイアログが表示されるので、表示させるかどうかなどを設定する。
システムにセキュリティ上の問題などが発生した場合、従来は各アプリケーションがそれぞれ独自に通知領域のアイコンなどを使ってユーザーに注意を促していた。だがその中には、すぐにユーザーに通知する必要のないもの(単に更新が完了したといった、緊急性のないものなど)もあり、ときどきまとめて確認しておけば済むようなものも少なくない。不要な通知アイコンが表示されても、管理者でなければ対応できないこともあるし、作業が中断されて、仕事の効率が下がることもあるだろう。
そこでWindows 7では、管理上特徴的ないくつかのWindows機能からのメッセージに対しては、「アクション・センター」という管理機能でまとめて対応している。具体的には、セキュリティ・センター、問題レポートの解決策、Windows Defender、Windows Update、診断、バックアップ、回復、ユーザー・アカウント制御(UAC)などがあり、これらの機能が出力するメッセージはアクション・センターでいったん集約し、それをアクション・センターの通知アイコンを通じてユーザーに提示するかどうかを制御する。セキュリティ関係は表示するが、メンテナンス関係(バックアップなど)の通知アイコンは表示しないといった設定が可能になる。
先の「通知アイコンのカスタマイズ」の画面では、一番左側のアイコン(アクション・センターのアイコン)に赤い×印が表示されているが、これは何らかの問題が発生していることを表している。そこでアイコンをクリックすると、次のようなメッセージが表示される。
[アクションセンターを開く]をクリックすると、コントロール・パネルのアクション・センターが表示される。この画面で警告の内容を確認したり、どのカテゴリのメッセージをアクション・センター・アイコンとして表示させたりするかなどを設定する。
Windows Vistaで導入されたユーザー・アクセス制御(UAC)は、意図しないプログラムや操作などによって、システムにダメージなどを与えないようにするための重要な機能である。VistaにおけるUACの詳細や、UACが実際には何を行っているのかなどについては、以下の記事を参照していただきたい。
この機能はセキュリティ的には重要かもしれないが、いちいち確認ダイアログが表示されるので、使いづらいと考えているユーザーも少なくない。そこでWindows 7では、UACによる確認ダイアログの表示タイミングを制御し、より少ない回数しかダイアログを表示しないようになった。
(1)と(2)の違いについてもう少し補足しておこう。例えば次の画面は、UACレベルの設定ダイアログを起動するところである。[コントロール パネル]の[ユーザー アカウント]画面で、[ユーザー アカウント制御設定の変更]をクリックする。
Windows Vistaの場合は(および上のダイアログでレベル(1)を選択している場合は)、このような盾マーク(シールド・マーク)の付いたボタンやリンクをクリックした時点ですぐに次のような確認ダイアログが表示される。そして[OK]をクリックした時点で、目的のダイアログが表示される。
これに対してWindows 7のデフォルト状態では(レベル(2)の場合は)、このようなボタンやリンクをクリックしても確認ダイアログは表示されない。表示されたダイアログ内で何らかの設定変更操作を行い、その内容を[OK]ボタンで確定させようとした場合にのみ、UACの確認ダイアログが表示される。つまり、設定ダイアログを表示させるのに確認は不要だが、実際に設定を変更しようとした場合に確認ダイアログが表示され、[OK]をクリックすると処理が行われる。このようなデフォルト設定の変更により、実際に確認ダイアログが表示される回数が少なくなっている。
ライブラリとは、従来はコンピュータ上やネットワーク上のあちこちに散らばって格納されていたドキュメントを一カ所にまとめ、簡単にアクセスできるようにするための、仮想的なフォルダ機能のことである。Windows 7で新しく導入された。デフォルトでは「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」の4つの仮想的なカテゴリのフォルダが用意されているが、さらに追加することも可能である。それぞれのカテゴリには任意のフォルダを追加することができる。それぞれのカテゴリには、最大50までのフォルダを追加できる。
例えば、デフォルトの「ライブラリ\ドキュメント」フォルダには、現在のユーザーの「マイ ドキュメント」フォルダと、パブリック・ユーザー(従来のAll Usersに相当する、すべてのユーザーからアクセス可能なユーザー)のドキュメント・フォルダが登録されている。このフォルダに対して、さらに例えばD:\DataとかE:\Projectなどのユーザー独自のフォルダを追加しておけば、それらはすべて「ライブラリ\ドキュメント」内に存在しているように見える。アプリケーションでファイルをオープンする場合、従来は保存した場所に応じていちいちそれらを探して指定する必要があったが、Windows 7ではまずライブラリというトップレベルのフォルダからツリーをたどっていけば、簡単に目的のファイルやフォルダに到達できる。メモ帳などで[ファイル]−[開く]を実行すると、デフォルトではこのライブラリの場所が開いた状態になっている。
ライブラリに追加できるのはローカルのハードディスクだけでなく、リムーバブル・ディスクやUSBメモリ、ネットワークなど、さまざまな場所にあるデータを追加できる(ただしサポートされないメディアもあるし、ネットワークの場合はオフライン・キャッシュを有効にしておくなどの準備が必要)。なおライブラリを開くにはタスク・バーの[スタート]メニュー・アイコンのそばにあるフォルダのアイコンをクリックすればよい。
今回は主に、Windows 7で変更されたユーザー・インターフェイス関連の機能について解説した。Windows XPからVistaでは大きくユーザー・インターフェイスが変更され、従来のユーザーは戸惑うことも少なくなかった。これに対してWindows 7では、大きな変更はないが、小さな改良は数多く施され、非常に洗練されたものに仕上がっている。また全体的に使用メモリ量の削減やパフォーマンスに関するチューンなども行われ、Windows Vistaのときよりも軽快に感じられる。Aeroを使ったインターフェイスがやっと実用的になったという感じでもある。
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