「リラックス」は、練習することによって習得できます。まず、「リラックスした状態」とはどのようなものであるかを確認してみましょう。目を閉じて息をふうーっと吐き、肩や首の力が抜けた状態を確認します。次に、背中だけ伸ばしたまま、おなかいっぱいに息を吸い、ふうーっと息を吐き出してみましょう。
呼吸を整えると、無駄な力が抜けるだけでなく心拍数が減少します。α波が出て、心身ともにリラックスした状態になります。この状態をよく覚えておいてください。
面接当日の朝は、少し早めに起床しましょう。髪型を整え、後ろ姿も忘れずチェックし、余裕を持って出かけることをお勧めします。走ったり焦ったりして落ち着きを失うのは防ぎたいものです。
「時間の余裕」は「心の余裕」につながります。もし、面接直前に上がってしまって身体にほてりを感じたら、ペットボトルの水を飲み、冷たい水にハンカチを浸して顔や首を冷やしましょう。交感神経を落ち着かせる効果があります。
会話におけるメッセージの受け取り度合いについて、話す内容などの「言語」メッセージが3割、印象や声など「非言語」メッセージが7割、という心理学の実験結果があります。
たとえ面接の途中で言葉に詰まったとしても、非言語部分である「全体の印象」はきちんと伝わっています。うまく話せなかったからといって「悪い評価になってしまった!」と思いこまず、うまくいった部分を思い出して最後までやりきってください。自分の声をよく聞いてゆっくり話し、最後まで諦めずに話したいことをいい切ることが肝心です。
「○○をすると安心する」という条件反射をつけておけば、緊張状態でも冷静さを取り戻せます。あらかじめ「安心する暗示」をかける物体を決めておくと、落ち着く効果があります。筆記試験中ならば消しゴムを見る、面接中ならばお守りを触るなどして、自分が落ち着くサインを決めておくといいでしょう。
面接のトレーニングを事前に行っておくことで、緊張を克服します。まず、緊張度の低い場面から順に場面を想定します。
目を閉じて、上記の場面で落ち着いている状態を思い浮かべましょう。思い浮かべることができたら息を吐いてリラックスし、背伸びのストレッチをして終了です。一度に全部をこなそうとせず、少しずつ緊張段階のレベルを上げて、無理なくトレーニングを行うことがポイントです。当日は「いつもどおりにすればいい」と考えて臨んでください。
就職活動がいよいよ本格化してきました。「自分は上がり症」という思い込みをいったん捨てて、できることから実践しましょう。また、学生相談室やカウンセリング室では、これらの相談を受けつけています。「1人で考えるのはつらい」と感じたら、相談室をご利用ください。応援しています。
松浦 慶子
臨床心理士・日本カウンセリング学会認定カウンセラー。
国際基督教大学心理学科卒業、筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修了 。大学、専門学校での学生相談や講師、精神科睡眠障害外来での医療相談、EAP機関・ピースマインドにて社員や家族のカウンセリングなど、幅広く相談活動を行っている。
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