前回からここまで、LTEを支える要素技術として、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)や64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、MIMO(Multi Input Multi Output)といった無線技術と、基地局設備の構築・運用管理の省力化とコスト削減などを支援するSONについて解説してきました。
基地局のまとめとして、これまで説明してきた無線技術が基地局(eNodeB)でどのように使われているのかを説明します。
基地局は、主に以下の機能部から構成されます。
基地局の構成ブロック図例を以下に示します(3セクタ、2×2MIMOの例)。
続いて、図2に示した基地局の機能の概要を紹介します。
説明した基地局構成を実際の基地局装置で実現する際には、さまざまな方法があります。下の図は、ノキア シーメンス ネットワークスの屋外設置対応の超小型基地局で、3セクタ、2×2 MIMOを実現しています。以前は大型キャビネットに各機能部を収容していましたが、現在はコンパクトな基地局が実現され、設置作業の簡素化や設置場所の省スペース化が可能になっています。
無線部と制御・ベースバンド部(BBU:Base Band Unit)は、1カ所にまとめて設置するだけでなく、分離して設置することもできます。
無線部をセクタごとに分離して設置する構成の場合、無線部分はRRH(Remote Radio Head)と呼ばれることもあります。BBUとRRHとの接続には光ケーブルが使用され、OBSAI(Open Base Station Architecture Initiative)やCPRI(Common Public Radio Interface)といった汎用インターフェイスを介して、10km程度離れた場所に設置することもできます。
ちなみに、2010年12月からLTE商用サービスを開始する予定のNTTドコモでは、既存のW-CWMA無線基地局においてLTE対応基地局の導入を進めているとの報道発表もされています(2010年6月8日)。そして、LTEサービス時のネットワーク構成として、基地局装置と無線装置の一体型タイプのほか、無線装置を分離した光張り出しタイプを想定しています。同社ではW-CDMAと無線装置を共用し、LTE対応基地局装置のみ追加導入することで、LTEに対応できると、同リリースで述べています。
今回はLTEのネットワーク技術の一部として、基地局を中心としてSONや基地局の動作について説明しました。次回は、コアネットワークを含めたネットワークの動作、QoS制御を紹介します。
ノキア シーメンス ネットワークス株式会社 ソリューションビジネス事業本部 ネットワーク技術部長
小島浩
1987年 総合電機メーカ入社。以降、移動体通信ネットワーク機器、移動体通信システムの開発に従事。
2007年 ノキア シーメンス ネットワークス株式会社に入社。以降、移動体通信機器、システムの業務に従事。
現在、同社ネットワーク技術部長。
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