しかし、どうしても悔しい気持ちや、ネガティブな気持ちがわいてくることもあるでしょう。それ自体は自然な心の動きです。無理にポジティブに考えようと思っても、難しいでしょう。
そこでもう1つ、視点を変えるための手法として、「観音遊び」を紹介します。
「観音遊び」とは、ある言葉を同じ読みの漢字に変えて、意味や感じ方を柔軟にする言葉遊びです。
例えば、「ミス」を漢字に変換すると「魅す」と表現できます。同じ読みでも、急に魅力的になった感じがします。「このミスをうまく処理できれば、周りの人を魅了できる(魅する)かもしれない」などと考えられるのです。
わたしたちは何かミスをすると、「なぜ、失敗してしまったのだろう……」と「後悔」します。「こうかい」は「航海」と書くこともできます。漢字を前向きな文字に置き換えるだけで、印象が明るい感じに変わります。「今回の後悔は、きっと新たなチャレンジへの航海の始まりなんだ」と考えてみると、不思議と気分が晴れやかになってくるから不思議です。
筆者の交通事故でいえば、「事故」は「自己」という字に変えられます。「自己」という漢字を見ると、急に自分が大切に思えてきました。「ああ、無事でよかった」とあらためて思います。
観音遊びはとても簡単です。PCを使っているなら、平仮名で読みを入力し、漢字変換すれば候補が出てきます。その中から、楽しい意味づけができるような漢字を選び、さまざまな意味づけを考えてみましょう。遊び感覚で、多少図々しく考えてみるのがポイントです。嫌な出来事でも、さまざまな視点を見つけることができるので、面白いですよ。
また、ネガティブなことに限らず、観音遊びは多くの視点を与えてくれます。例として、「『しこう』の六段活用」を紹介します。
「しこう」という読みの漢字を並べるだけで、急に意味があることのように思えるから不思議です。
仕事の中で出合う、さまざまな出来事。ちょっと「嫌だな」と思ったときは、「意味づけ遊び」や「観音遊び」を実践してみてください。ポイントは「柔軟性」です。気分の切り替えに使えるだけではありません。少しずつ繰り返していくことで、同じ出来事を目にしても、「嫌なこと」が「ラッキーなこと」に変わり、「ラッキー体質」に変わってくる感覚がお分かりいただけるでしょう。
竹内義晴
テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分がつらかった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場がつくれるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。ITmedia オルタナティブ・ブログの「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織づくりやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。
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