Java開発者が知らないと損するPaaSクラウド8選ユカイ、ツーカイ、カイハツ環境!(25)(3/3 ページ)

» 2011年08月29日 00時00分 公開
[岡本隆史,@IT]
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【7】JBossを生かしつつLL/PHPにも対応「OpenShift」

 レッドハットも、ついにPaaSクラウドプロバイダの仲間入りを果たしました。「OpenShift Express」「OpenShift Flex」「OpenShift Power」の3つのメニューを用意しています。現在は、ExpressとFlexの2つを提供しています。


GitリポジトリでLL言語のアプリを管理「OpenShift Express」

 OpenShift Expressは、レッドハットのクラウドインフラ上でアプリケーションを動作させるプラットフォームです。Gitでリポジトリにプッシュすると、そのままアプリケーションとして公開できるようになっています。

 マルチテナントで1サーバ上に複数のアプリケーションが動作するようになっており、スケールアウトなどは利用できませんが、手軽に開発・管理できるのが売りです。PHPやRuby、Python、PerlなどのLL言語をサポートしていますが、Javaはサポートされません。

 Expressの特徴としては、Gitリポジトリでアプリケーションを管理し、Gitリポジトリにプッシュすると、即アプリケーションの変更が反映されます。開発者は、作成したアプリケーションをプッシュしていくだけで簡単に開発、動作確認できます。

 Gitでプッシュする際に、SSHプロトコルを利用するため、ファイアウォールがある環境からは接続できないことがあります。

Amazon EC2でPHP/Javaのアプリ「OpenShift Flex」

 バックエンドにEC2を利用しており、PHP/Javaのアプリケーションをサポートします。Expressに比べるとオートスケールで、MySQLやMongoDB、memcachedなどのデータベースサービスをサポートし、アプリケーションサーバは、JBoss 6 EAP、Tomcat、Apache(PHP)をサポートします。

 OpenShift ExpressがLLで手軽に動くアプリを開発するのに向いているのに対して、FlexはPHPやJavaでオートスケールするための本格的なアプリケーションを開発するプラットフォームだといえます。Flashを利用したWebのGUIによるクラスタ、サーバの作成や、アプリケーションのデプロイが可能です。

 最初にサーバクラスタを作成する際に、JBoss Seamベースか、Web Beansベース、Springベースのサンプルアプリケーションを選択して起動できます。

 現在のところ、バックエンドとしては、AWSしかサポートされておらず、利用には、AWSのアカウントが必要です。将来的には、他のクラウドのサポートも表明しています。

図3 OpenShift Flexの画面 図3 OpenShift Flexの画面

C言語で書かれたバイナリアプリ「OpenShift Power」

 OpenShift Powerは、カスタマイズされたアプリケーションをクラウドへデプロイできます。仮想マシンにルートでアクセスでき、C言語で書かれたバイナリアプリケーションをもPaaS上で扱えます。まだ、OpenShift Powerはリリースされていませんが、IaaSに近いPaaSを提供するように思えます。

【8】RailsのPaaS「Heroku」、Javaクラウドに参戦

 また8月26日に、Ruby on RailsのPaaSとして有名だった「Heroku」が、Node.js、Closureに続き、4番目の対応言語として、Java言語のパブリック・ベータサービスを開始しました。詳細は記事「HerokuがJava対応、過去の煩雑さとの決別うたう」を、ご参照ください。

http://www.heroku.com/

増え続けるJavaのPaaSクラウドの傾向

 JavaのPaaSクラウドは、混乱を極めて、サービスの移り変わりが激しいですが、クラウドサービス・プロバイダの方向性が見えてきたように思います。

独自クラウドか、Amazon EC2か

 まず、Google App EngineやWindows Azureなど独自クラウド上のサービスを展開しているベンダ以外は、EC2をバックエンドに利用してクラウドサービスを提供しているベンダが多いです。本稿で紹介した中では、CloudBees、OpenShift、Elastic Beanstalk、HerokuなどがEC2を利用しています。

 そもそもPaaSクラウドを提供したところで、利用するユーザー数の予測が難しいので、サーバはIaaSであるEC2を利用し、その上でPaaSを提供して、利用者には、EC2の課金を払ってもらうのは、理にかなっているといえるでしょう。

ハイブリッドでクラウドの乗り換えがしやすくなるか

 また、サーバのスケールアウトのサポート機能は当たり前になりつつあり、OpenShiftやCloud Foundryのようにハイブリッド・クラウドの方向性を示しているものを現れ始めました。クラウドサービスを提供する業者も増えつつある中、IaaSのサービスプロバイダを選択して利用できるのは、ありがたいと思います。

 ハイブリッドにサポートされれば、より低価格のクラウドプロバイダを選択できたり、サービスに不満のあるプロバイダから乗り換えることも可能になります。

 クラウド分野は競争の激しい分野でもありますので、今後の更なる発展に期待したいと思います。


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