「ほう・れん・そう」を15分の朝会に置き換える開発チームを改善するためのスクラムTips(1)(2/2 ページ)

» 2011年09月30日 00時00分 公開
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朝会(デイリースクラム)でチームの状態をチェック

 「朝会(デイリースクラム)」では、各メンバーそれぞれが、他のメンバー全員向けに以下のことを報告します。

  • 昨日、行ったこと
  • 今日、行う予定のこと
  • 行うに当たって、進行の障害になっていること

 さらに、時間制限を設けます。「すべてのメンバーの報告を合わせて、15分以内」が目安です。 この時、上司に報告するのではなく、チーム全体に報告するように心掛けます。上司にはあくまで、メンバーの報告をできるだけ黙って聞く立場に回ってもらいましょう。

 ポイントは、「決まった時間・全員参加・日々の報告のみ・15分」です。

決まった時間

 朝でなくとも構いません。チームで集まりやすい時間を決め、「毎日」「決まった時間」に行うことが重要です。時間を決めておけば、「スケジュール調整のために時間を無駄にする」無駄を省けます。

全員参加

 上司だけでなく、チームの全員に対して報告します。上司が休んでいる時ときは、メンバーだけで行います。フェイス・トゥ・フェイスで全員参加のミーティングには、作業進捗だけでなく、その日の体調やチームを取り囲むさまざまな状況を把握できる」というメリットがあります。

日々の報告のみ

 日々の報告事項に集中します。今やっている仕事の支障となりそうな問題などがメインです。長期的な問題や「そもそも論」を持ち出すのは構いませんが、時間内に収まらない議論は、別の時間に相談します。

15分

 もし10名未満のチームなら、短時間でチーム全体の状況をチェックできます。時間の目安は15分。10名を超えるチームの場合、時間が長くなり、すべてのメンバーの状況を把握しにくくなるので、2つのサブチームに分けることも検討してみてください。

 「ほう・れん・そう」のうち、「ほう(報告)」 と 「れん(連絡)」 は朝会(デイリースクラム)でカバーできます。必要な時間は1日に15分ですから、平日フルでやっても1時間ちょっとで済みます。

問題を検知したときは、個別相談モードに切り替える

15分で終わらない問題が見つかったら

 朝会(デイリースクラム)の15分では解決できない問題が見つかったら、別の時間を用意して、分析と対策検討を行います。

 別の場所・時間を用意すれば、上司やチームメンバーの時間を浪費することなく、効率的に問題について対策を協議することができるでしょう。関係者でどういう相談をし、解決のためにどういうことをしたかは、翌日の朝会(デイリースクラム)で報告し、チーム全員に情報共有しましょう。

上司に相談しなくても解決できそうなら

 上司を巻き込んだ相談は必要ないでしょう。その場合でも、問題の所在は朝会(デイリースクラム)で、上司を含めたチーム全体に共有しておきます。

 もうお分かりだとおもいますが、これは「ほう・れん・そう」の「そう(相談)」ですね。ここまでで、「ほう・れん・そう」をすべてカバーできます。

まとめ

 「ほう・れん・そう」は朝会(デイリースクラム)でより効率的になります。

 ポイントは、「決まった時間・全員参加・日々の報告のみ・15分」です。時間をとって検討すべき問題点があれば、別の時間を設けて関係者で協議します。

 上司にとっても部下にとっても、時間を節約しながら、コミュニケーションロスをなくし、日常に潜む問題を、効率的に解決できるでしょう。

筆者プロフィール

かわぐちやすのぶアギレルゴコンサルティング所属。スクラムのトレーニングや、認定トレーニングのオーガナイザーを務める。2011年7月より現職。

金融向けプロダクト企業にて、14年間勤務。社内向けの新規ツールや、新企画のパイロットプロジェクトを中心に、少人数でユーザー調査から製品開発、運用まで行うプロセスを探求。企業向けの新規プロジェクトのコンサルティングも手掛けた。

イノベーションスプリント2011 実行委員長、スクラムギャザリンング東京2011 実行委員、デベロッパーズサミット2011アドバイザー、AgileUCD研究会 共同発起人。

筆者プロフィール

かわぐちやすのぶ

アギレルゴコンサルティング

スクラムのトレーニングや、認定トレーニングのオーガナイザーを務める。2011年7月より現職。


金融向けプロダクト企業にて、14年間勤務。社内向けの新規ツールや、新企画のパイロットプロジェクトを中心に、少人数でユーザー調査から製品開発、運用まで行うプロセスを探求。企業向けの新規プロジェクトのコンサルティングも手掛けた。


イノベーションスプリント2011 実行委員長、スクラムギャザリンング東京2011 実行委員、デベロッパーズサミット2011アドバイザー、AgileUCD研究会 共同発起人。



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