エージェントにはこれだけの役割が期待できるのですから、有効に活用して転職を有利に進めましょう。ここからは、そのための心構え的なものをお話ししていきます。
●必ず複数使う
先ほど、企業の知名度と求人について、そして知名度をカバーするのが転職サービスの役目であるというお話をしました。しかし、1つの転職サービスがすべての求人をカバーしているわけでは、当然のことながらありません。
そのため、必ず複数の転職サービスを活用するようにしましょう。複数に登録することは特にタブーでもマナー違反でもありませんので、選択肢を増やすためには重要です。
とはいえ、やみくもに登録すればいいわけではありません。同一の企業からの求人が別のエージェントから出てきて混乱したりもします。菌類の経験測でいえば、知名度の高い大手を1〜2社、「IT業界に強い」とうたっている中堅どころを1〜2社、合計で2〜3社に登録するぐらいがちょうどよいでしょう。
複数の転職サービスを使うことには、もう1つ「セカンドオピニオン」としてのメリットがあります。担当してくれるエージェントの能力や、あなた自身との相性があります。選択肢をいくつか用意しておけば、合わない相手と無理して一緒にいる、というリスクを回避できます。
●エージェントは企業の窓口でもある
求人に応募した後、エージェントは企業とエンジニアの窓口として動いてくれます。面接の日程調整、合否の連絡、質問や交渉など、意外と連絡事項は多いものです。迅速で誠実な回答をすることが、スムーズな転職活動を行うポイントです。
エージェントが連絡係として間に入ってくれるメリットは、結構大きいものがあります。質問事項や年収の交渉などを直接やりとりするのは苦手な人も多いでしょう。また、「残念ながら不採用」を告げられる場合も、直接よりはエージェント経由の方が幾分ショックが少なくて済みます。
もちろんエージェントは味方ですし、あなたは顧客です。しかし、応募した企業の窓口でもある、という意識を持ち、誠実できちんとした態度でやりとりをしましょう。
先ほどから「味方」と「顧客」という言葉を使っています。結局、人間と人間がコミュニケーションするわけなので、お互い不快になるような振る舞いは避け、誠実な人間関係を構築しましょう。
エージェントは、転職希望者が複数の転職サービスを使うことを想定しています。他の転職サービス経由で応募している企業があれば、選考状況はざっくり伝えておきましょう。エージェントはそういう情報を持っていれば、「他社選考が進んでいる優秀な人材です(……から、書類選考を急いでね)」などと、企業に援護射撃をしてくれたりします。
何もかもすべて明かす必要はありませんが、お互いのミッション達成(=転職成功)に向けて、情報を共有し、信頼関係を構築しておきましょう。
冒頭で触れた「面倒くさい」について。ここまで書けば、もうお分かりでしょう。エージェントはあなたの書類を複数の企業に送ります。そのとき、書類の内容がすべて同じであれば、エージェントは同一の内容で応募できます。しかし、応募先の企業ごとに志望動機をカスタマイズしてあったら? そう、エージェントも、応募する企業の数だけ書類を作らねばならないのです。
転職を成功させるにはかけるべき手間なので、「顧客」として当然、要求するべきところです。しかし、信頼関係を築けていないと頼みづらかったり、意図を理解してもらうのに苦労するかもしれません。転職サービスとエージェントは転職には欠かせない味方なので、上手に活用しましょう。
さて次回は、「転職サービスを使わない転職」についてお話しします。えっ、今までさんざん転職サービスとエージェントについて書いてきたのにどういうことなの、きのこ……。
ちょっとした自己矛盾を残したまま、今回はこのへんで。次にお会いするころは、鍋がおいしい季節でしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.