ORACLE MASTER資格の上級に位置付けられる「ORACLE MASTER Gold Oracle Database 11g」。本連載では、Gold試験の頻出ポイントを解説する。確認問題付き。
前回までは、障害発生に備えたバックアップと、リカバリ手順について、またその考え方を紹介してきました。今回は、バックアップの「活用」について紹介します。
理論上、バックアップがあれば、データベースを複製できます。今までは、現在まで動いていた場所と同じところにリストア&リカバリを行いました。このリストア&リカバリを別の場所で行い、いくつかの作業を追加することでデータベースを複製できます。
特に以下の目的での活用が考えられます。
テストデータベースでも、バックアップやリカバリの訓練はある程度可能ですが、複製データベースであれば、本番に近い物理構成でバックアップとリカバリのテストが可能になります。
特に不完全リカバリは、戻りたい時刻指定が本当に正しかったのかどうかを本番データベースで確かめられません。そこで複製データベースの作成に当たり、特定の時間に戻った形で複製することで、指定した時刻が正しいものかを確認できます。
「不完全リカバリ」はDB全体が一斉に過去に戻しますが、実際に戻したい表はたった1枚であるということは、よくある話です。複製DBを過去に戻し、エクスポートとインポートを使って、本番DBに適用することが方法が選択肢として広がります。
次回お話する予定の「表領域単位の不完全リカバリ」も、この応用です。
その他、アプリケーションのテスト、パッチ適用やアップグレードのテストなどにも活用できます。
ユーザー管理バックアップからでも、データベースの複製は可能ですが、Oracle Master Goldの範囲内である、RMANのDUPLICATEコマンドを使った場合のポイントに絞って解説します。
手順は以下のとおりです。
オンラインで書き込み中のREDOログ部分について適用できないため、最後にアーカイブしたログまでの不完全リカバリ状態で複製します。
なお、Oracle Master試験のポイントは、全体の手順や利用シチュエーション、そして特徴的なコマンドや注意点になります。各手順の詳細については、マニュアルをご覧ください。
補助インスタンスというのは、複製したデータベースを管理するためのインスタンスです。複製完了後は、独立した1データベースの1インスタンスとして働くため、役割を示しているに過ぎず、特別なものではありません。私たちが普段から扱っているインスタンスです。
インスタンスに過ぎませんから、初期化パラメータファイルとSYSユーザーでの接続が可能な状態であれば作成できます。
ただし、初期化パラメータファイルや、データベースのファイル名などに注意が必要です。以下のパターンを考えてみます。
同じ名前のインスタンスとデータベースを作るわけにはいきません。また、同じディレクトリ位置に、同じ名前で各種データベースファイルを作るわけにもいきません。
初期化パラメータファイルには、制御ファイルの位置や、トレースなどのログ出力先が設定されています。この場合、初期化パラメータは、基となるデータベースとは異なるディレクトリ構造の指定が必要です。
同じ名前を持つインスタンス、データベースを作成できます。ディレクトリ構造を基データベースと同じにできます。そのため、パラメータファイルに変更を入れる必要はありません。
また、基データベースと異なるディレクトリ構造も指定できます。この場合はパラメータファイルや、RMANスクリプトにディレクトリ構造の指定が必要です。
いずれの場合も、ディレクトリはあらかじめ作成しておき、アクセスできることを確認しておいてください。
実際に名前やディレクトリを変更する記述方法については、この後いくつかのコマンド事例でご覧いただきますが、詳細はマニュアルをご確認ください。その他、Oracle*Net経由で接続するためのネットワーク設定や、SYSユーザー接続のためのパスワードファイルも必要であることを付け加えておきます。
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