面接に通る「職務経歴書」の書き方【ネットワークエンジニア編】IT業界職種別・職務経歴書の書き方(4)(1/2 ページ)

職種別に、職務経歴書・自己PRのサンプルを紹介。それぞれのポイントを、キャリアコンサルタントが解説します。

» 2012年06月27日 00時00分 公開
[江口遼DODA ]

ネットワークエンジニアの採用傾向と対策

●幅広くなっていくネットワークエンジニアの定義

 近年、ネットワークの転送速度、転送量が爆発的に拡大していく中、従来のデータリンク層、ネットワーク層だけではなく、トランスポート層、アプリケーション層を用いたルーティング技術の革新が続いています。その流れの中で、ネットワークエンジニアは従来の「L2/L3領域に携わる技術者」というくくりには留まらなくなってきています。

●今、求められるネットワークエンジニア像

 スマートデバイスの普及・無線ネットワークの拡充・IPv6への移行など、新技術に関するトピックスが非常に多い昨今、多種多様な業界で新技術に対応できるエンジニアの採用ニーズが高まっています。これらの技術を導入していくために、他の領域のエンジニアと協業し、サーバ・インフラやネットワーク上で動くアプリケーションを意識したネットワーク構築作業を進めていけるエンジニアが必要とされています。

 ただ、新技術といっても数年後にはさらに新しい技術にとって替わられていくことも、企業側は認識しています。その中で求められているエンジニアとは、新旧技術が複雑に絡み合うシステムに対応する方法を理解しており、新しい技術や変化に柔軟に対応し成長を続けていけるエンジニアです。

キャリアコンサルタントからのアドバイス

 「ネットワークの設計・構築・運用・保守の経験があります」「CCNP資格を保有しています」「Ciscoの上位機種を扱った経験があります」

 これらのアピールは、ネットワークエンジニアとして働いている人なら、ほとんどの方ができてしまいます。アピールすべきことは、その経験や資格取得のプロセスの中で手に入れた専門性と知識(=スキル)を踏まえて、「何ができるか」です。下記に留意してアピールを心掛けましょう。

1. 自身の専門領域・得意領域がどこかを明確に記す

 ネットワークエンジニアという職種の定義が極めて幅広く、企業が求める人材も施工管理技術者、無線技術者、従来のL2/L3のネットワークエンジニア、サーバ周りも理解しているネットワークエンジニアなど、千差万別です。だからこそ、どのレイヤの技術に専門性を有し、どのレイヤに関する知識を持っているかを、最初に明確にすることが大事です。どのレイヤに強みを持っていて、どんなプロダクトやプロトコルをどのくらい使いこなすことが可能か。そして、その専門性や知識をどのようなプロセスで得たか。それを詳細に記していけば、職務経歴でプロジェクトについて記載するポイントに繋がります。

2. システムの全体像を意識してプロジェクト内容を書く

 システムの目的によって、ネットワークに要求されるものは異なります。LAN/WAN、可用性、信頼性、レスポンスなど、ネットワークに求めるものが異なれば、使うプロダクトの型番や台数が一緒でもネットワークの構成は異なります。設計・構築業務がただ与えられた作業をこなすものであったか、ネットワークに対する要求水準を意識して自ら考えて進めていく作業であったか。後者の方が断然、採用担当者にとっては魅力的です。

【運用技術者の場合】

  ネットワークの運用業務の場合は、プロジェクトという形ではなく「通年業務」という形で分けて記載し、その通年業務の中で発生したネットワークリプレイスや大きなトラブル対応の内容等を分けて記載すると、アピールしやすくなります。また、運用業務の中で業務改善・運用改善・システム改善などの改善経験は強いアピールポイントになるため、必ず盛り込みましょう。

【監視技術者の場合】

  監視業務の経験が中心の場合は、一言で「ネットワークのトラフィック監視/死活監視」と書いてしまうと、どんな業務も同じものになってしまいます。

  • そもそもどんなネットワークか(トラフィック規模やセッション数はどのくらいか)
  • 監視技術者には何が求められたか(早急な障害切り分け? エスカレーションマネジメント?)
  • 現場はどんな状況か(環境は整えられたもの? 周りの技術者は経験者だけ?)
  • 何を考えて行動していたか

  を記載することで、「自分だけの経験」に変わります。

3.自身が仕事を進めていく上で意識していたこと(ポリシー)を書く

 ネットワーク設計・構築・運用におけるエンジニアとしてのポリシーは何か、またポリシーに基づいてどんなことを意識して業務に携わっていたのか??これは技術者にとって異なります。芸術的に分かりやすいケーブリング、通信断を決して起こさない冗長化、とにかくセキュアな環境を作ることにこだわる人もいれば、ユーザビリティの高さを意識して、素人でも分かるレベルでドキュメントを作る人もいるでしょう。ポリシーに基づいて行ったアクションの結果、何ができるようになったか。それをしっかりと棚卸しすることで、アピールできることの幅はぐっと広がっていきます。

4.複雑な問題に対処できるビジネスパーソンとしての能力をアピール

 技術の高度化に伴い、「いかにネットワークを作るか」ということだけではなく、「ネットワークを作ることによって何を実現するか」を考えることがネットワークエンジニアには求められています。マルチベンダ、マルチプロダクトを扱えること、複雑なシステム構成に対応できる技術は、もちろんアピールになります。

 しかし、それだけではありません。「顧客のシステムに対して課題解決提案を行い、案件受注につなげた」「複数の関係者間の調整を行った」「若いメンバーの育成を行った」「複数の調達ルートを1つに統合して調達コストを削減した」など、ビジネス側の苦労やそれを解決するための工夫も十分なアピールになります。

【運用技術者の場合】

  現在、プライム・システム・インテグレータがシステム・アウトソーシングビジネスの立ち上げを進めているなど、運用ビジネスの拡大に積極的な中、運用の案件を拡大することや、運用から課題を抽出し追加受注につなげられる運用技術者が求められています。

 「システムを作る」ではなく「システムを使う」ことにより価値を発揮しける運用技術者は、時として設計技術者より、高い評価を受ける場合があります。運用設計などの経験は是非アピールに盛り込みましょう。

まとめ

 最も重視すべきことは「何を考えて仕事をしていたか」という仕事に対する意図を盛り込むことです。それによって職務経歴書は、ただの経験の羅列ではなく、「キャリアの歴史」になります。

ネットワークエンジニアの職務経歴書:ワンポイント・アドバイスまとめ

● 提出日

 提出日は、西暦で入力しましょう。

● 職務経歴

 技術職以外の経歴に関しても、部署名まで必ず記載しましょう。

● 生かせる経験・知識・技術

 応募する企業に合わせて強みを記載しましょう。○○をやってきたから〜〜ができる。というように、過去のエピソードを根拠に書くと具体的なイメージを持たせやすいです。

● 取得資格

 応募する業界・職種と親和性の高い資格を記載しましょう。現在、取得に向けて勉強中の資格があれば、「○○資格を×月取得に向けて勉強中」など、補足説明するとよいでしょう。

● テクニカルスキル・保有知識

 どんな要素技術・プロダクトをどのように使えるかを書きましょう。

● 開発経歴

<業務内容>

 短期のプロジェクトや同時並行のプロジェクト等、すべてを記載すると分量が多くなりすぎると感じられる場合は、

最初にサマリーとして業務内容をまとめ、代表的なプロジェクトを別枠で記載するのも可です。

<環境>

 【OS】【DB】【ミドル・SW】【NW機器】の順に記載しましょう。

<役割/規模>

 プロジェクトマネジメント/リーダー経験がある場合は要員数、予算、規模を記載しましょう。

 途中から役割が変わった場合は、その時期を明記するようにしましょう。


■ 職務経歴書(ネットワークエンジニア)のサンプル

※上で紹介した用語にカーソルを当てると「ワンポイント・アドバイス」を確認できます。

20××年×月×日現在

氏名:舞茸 木野子

■ 職務経歴

2003年4月  株式会社○○○○ 入社 新人研修を受講
2003年4月  技術部に配属
2004年11月  株式会社○○○○ 一身上の都合により退社
2004年12月  □□□株式会社 入社
2004年12月  開発部 第×課に配属

  現在に至る

■ 生かせる経験・知識・技術

  • 冗長性・高負荷対応が要求されるネットワーク構築(WAN、LAN問わず)
    金融業界、物流業界、Webサービス業界などの顧客と折衝し、冗長性や高負荷対応が要求されるネットワークの要件定義や基本設計、構築を行ってきました。顧客の要求に合わせたプロダクト選定や、ネットワークデザインが出来ます。特に、Cisco製品を使ったネットワークの構築を豊富に行ってきたため、Ciscoには自信があります。

  • ネットワーク層・トランスポート層を特に強みとした、物理層からアプリケーション層までの理解
    TCP/IPを中心として、BGP/OSPF/RIPなど幅広いプロトコルを用いたネットワーク構築を進めてきました。サーバ担当との折衝の中でアプリケーション層の理解もしてきました。また、物理結線図の作成の経験もあり、施工業者との折衝も可能です。

  • マネジメント経験
    最大×名のマネジメントの経験があります。顧客への提案からリスク管理、進捗管理、品質管理、スコープ管理などを主に経験しております。プロジェクトマネジメントにおいては、スコープ管理とリスク管理、メンバーのモチベーション・マネジメントに注力し、短納期のプロジェクトも期間内に完遂してきました。

■ 取得資格など

2005年×月 CISCO CCNP
2003年8月 基本情報処理技術者

■ テクニカルスキル・保有知識

OS UNIX(Solaris)
Windows2003
4年6カ月
3年2カ月
設計書を元に環境構築が可能
設計書を元に環境構築が可能
FTP、DNS、MAIL、Web等インターネット環境構築可能
NW ルーター
スイッチ
FireWall
ロードバランサ
8年2カ月
8年3カ月
3年2カ月

0年8カ月
企業ネットワークの通信方式最適化が可能
最大200ノードのスイッチング設計経験があり
複雑なポリシー設計が可能
手順書を元に設定が可能
ルーティング・プロトコル BGP
OSPF
RIP
スタティック
3年2カ月
2年0カ月
2年0カ月
2年3カ月
複数のルーティング・プロトコルを使って中〜大規模なネットワークの構築が可能
マルチキャストルーティングやIPv6の設定知識も有(BSCI取得程度)
その他技術 物理層

VoIP
QoS
4年2カ月

2年7カ月
2年0カ月
ラッキング・ケーブリング・結線図作成・施工管理経験有・指示出しが可能
SIPプロトコルによるVoIP環境構築可能
規模に応じたQoSの設計構築可能

■ 開発経歴

□□□株式会社(2004年12月〜現在)

期間

業務内容

環境
役割/担当/規模

2004年
12 月

現在
(7年×カ月)
【通年業務】

ネットワーク設計・構築・運用

  • 年間平均実施プロジェクト数:約○(うちリーダー担当通算○回)
  • プロジェクト規模:○カ月程度のものが中心(最大○人月規模)
  • 顧客領域:金融・物流・Webサービス(EC系)等
  • 社内LAN/拠点間WAN/EC事業者向けIDCネットワークを構築

※ ネットワークの規模:ルータ○〜○台、サーバ○〜○台

【担当業務領域】

  • 設計・構築プロジェクト:
    提案・要件定義・プロダクト選定・設計・構築(ラッキング・ケーブリング含め)および物理層の施工管理
  • 運用プロジェクト:
    運用管理(オペレータ管理・エスカレーションマネージメント)・運用改善・機器リプレイス時のベンダマネジメント

【技術内容】
主担当領域:ネットワーク層・トランスポート層・セッション層
OSPF、RIP、スタティック、QoS、FW、負荷分散、VoIP 等

【実績・取り組み等】

  • 複数の提案・設計構築のプロジェクトを並行で遂行
  • ユーザー企業の情報システム部門との折衝を見積含め実施
  • サーバ担当チームとの調整を円滑に進める為にアプリケーション層の知識を習得
  • PM業務では複数企業での混成チームのマネジメントが中心。チーム文化醸成・モチベーション・マネジメントに注力

【使用OS】
UNIX(Solaris)

【使用NW機器】
Cisco:
2000番台〜
7200VXR
UC
Juniper:
J2320
J4350
F5:
BIG-IP LC
BIG-IP GTM

【役割】
メンバー/リーダー/プロジェクトマネージャ

要員数
平均○名

以下、代表的なプロジェクト事例
期間

業務内容

開発環境
役割/担当/規模

2012年
1 月

現在
(×カ月・継続中)

△△△物流センター/全国ネットワーク網再構築

物流センターと全国20拠点IP-VPN網で再構築に伴う、ネットワーク構築・設定変更を実施

  • 運用前の負荷試験
  • OSPF、RIP、スタティック、キューイングを含むルータ設計・構築
  • ネットワーク監視システムのテスト
    (監視システム:Cisco WAN Manager)

【技術内容】
OSPF、RIP、スタティック、QoS

  • ネットワークの規模:ルータ○台、サーバ○台
  • トラフィック規模:○GB

【実績・取組等】

  • 提案、ドキュメントの作成から、構築までを一貫して担当。
  • 顧客の要望により急遽仕様変更が必要になったが、 5日間で検証を行い、納期に間に合うように要件定義を再度実施した

 

【OS】
UNIX(Solaris)

【NW】
Cisco3600
Cisco7200VXR
Catalyst5500
5000/3900/2900

【役割】
メンバー

要員数○名

 

 

△△△/BtoB向けECサービスインフラ再構築

  一日100万PVを超えるECサイトの更なるユーザー拡大に対処する為のインフラ・ネットワークのフルリプレイスプロジェクトにネットワーク担当として参加

  • プロダクト選定
  • ネットワーク基本設計
  • ネットワーク詳細設計
  • コンフィグレーション設計
  • OSPF、RIP、スタティック、キューイングを含むルータ設計・構築
  • ラッキング・ケーブリング作業
  • ネットワーク監視システムのテスト

【技術内容】
OSPF、RIP、スタティック、QoS、負荷分散

※ ネットワークの規模:ルータ○台、サーバ○台

【実績・取組等】

  • 日中帯にトラフィックが増大する特性を持つ、停止が許されないシステムであったため、冗長性と負荷分散を意識してネットワークを設計
  • DBセキュリティが重要視されるシステムであったため、FirewallをDBサーバ周辺に設置。
    プロダクト導入事例としてWeb公開中(http://www.xxx.com・・・)

【OS】
UNIX(Solaris)

【NW】
BIG-IP V9
Cisco7200VXR
Catalyst5500
5000/3900/2900

【FW】

【役割】
ネットワークチームリーダー

要員数11名
(サーバチーム5名 ネットワークチーム6名)

 

2011年
4 月

2011年
11 月
(7カ月)

外資系銀行向け/国内ネットワークインフラ構築

東京支店移転に伴うネットワーク構築プロジェクト内でネットワーク構築を担当

  • 施工管理
  • ネットワーク機器の設定作業、通信確認
  • ルーティング・プロトコル設計(EIGRP、OSPF)
  • 専用線を使用しての拠点間WAN接続設定

【技術内容】
EIGRP、OSPF

 ※ネットワーク規模:スイッチ○台、ルータ○台

【NW】
Cisco4500
Cisco7200
Cisco7507
Catalyst5500

【役割】
メンバー

要員数○名

 

2012年
1 月

現在
(継続中)

大手生命保険会社向け/本社移転プロジェクト

本社移転に伴うネットワーク(LAN/WAN)の設計・構築

  • ネットワーク基本設計
  • ネットワーク詳細設計
  • コンフィグレーションの設計

【技術内容】
LWAPP、QoS、Multicast、HSRP、EIGRP、GEC、RSTP、VLAN

※ネットワーク規模:スイッチ○台、ルータ○台

【NW】
Catalyst6506E
Catalyst4506E
Catalyst3750G
Catalyst3560
Cisco3845
WLC4404
Aironet1131AG

【役割】

リーダー

要員数○名

[担当]
人員管理
進捗管理
工数管理

 

株式会社○○○○(2003年4月〜2004年11月)

期間

プロジェクト名および業務内容

開発環境
役割/担当/規模

2003年
12 月

2004年
11 月
(×カ月)

大手製造業への社内LAN、音声機器の構築

新規社内LAN構築、音声機器の構築に伴う、提案、設計、構築を実施

  • データセンターと本社、別拠点(1拠点)のLAN、音声構築のプロジェクトマネジメント(WBSの作成、タスク管理、品質管理)
  • LAN、音声ネットワーク設計、構築
  • ファイアウォール用セキュリティポリシー設計
  • ウェブ用コンテンツフィルタリングシステムのポリシー設計
  • 帯域制御システム用QoSポリシー設計

【技術内容】
OSPF、FW、負荷分散、VoIP、QoS

※ネットワークの規模:スイッチ○台、ルーター○台、FW○台、LB○台、サーバ○台

 

【OS】
Windows2003

【NW】
Catalyst3750
Catalyst296
CallManager
NokiaIP390
BIG-IP

【役割】

メンバー
(20××年×月からチームリーダー)

プロジェクト要員 ×名
(マネジメント要員 ×名)

 

 

2003年
4 月

2003年
11 月
(7カ月)

大手通信キャリア、ネットワーク保守

ネットワークのトラフィック監視/死活監視/障害切り分けを担当
※ネットワークの規模:スイッチ○台、ルータ○台、FW○台、LB○台、サーバ○台

【取組】

  • 運用手順書が更新されておらず、属人的な対応が主だった為、周囲の監視メンバーを巻き込んでトラブル対応フローの手順を整理しドキュメント化。その功績が買われて、構築プロジェクトに抜擢。

【OS】
UNIX(Solaris)

【NW】
Cisco4500
Cisco7200
Cisco7507
Catalyst5500

【役割】
メンバー
プロジェクト
要員 ×名

 




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