続いて話題はJava Embedded(組み込みデバイス向けJava)へ移る。コンピュータの歴史をひも解くと、ホストコンピュータから始まり、PC(Windows)の時代を経て、今は標準ベースのハードウェア・ソフトウェアを使ってインターネット接続する時代であるとの説明。また20世紀はいかにしてコンピュータ・デバイス同士をネットワークで接続させるかが重要であったが、現在それは当たり前になっており、人間よりもネットワークに接続しているデバイスの方が多い時代に突入しているとのシスコの調査報告を引用しながら語った。
そしてネットワーク接続するデバイスが増え続ける今、マルチプラットフォーム対応かつネットワークとの親和性の高いJava(Embedded)が最適だと力説した。
センサ類も安価になり、デバイス・拠点で取得する情報量が増える中、Java Embeddedを活用すれば取得した情報を必ずしもサーバに送る必要はなく、デバイスサイドでデータを解析することでシステムの最適化を図れるというアーキテクチャを紹介。
そして、Java Embeddedの応用例として通行量のモニタリングや工業の自動化、スマートホーム、医療・ヘルスケアなどを挙げた。さらにJava Embeddedと密に連携するサーバサイドで集中管理することでプライバシー保護の強化なども期待できるという。
「Write once, Run anywhere」を掲げるJavaでは、組み込みデバイス向けアプリケーションも実機を用意することなく開発ができること、そして実機で動作させる場合も標準化されたデバッグインターフェイスで、いまや世界で9百万を超えるJava開発者が手になじんだツールで開発を行えるという生産性の高さも強調した。
オラクルはIntelにとどまらずARM、PowerPCなどさまざまなCPU向けにJVMを提供していることをあらためて紹介。クライアントとサーバサイドでJava ME EmbeddedやJava Embedded Suiteを活用すればJavaDB、GlassFish、JerseyといったPure Javaテクノロジーで全てカバーできることを説明。
最後にCEP(Complex Event Processing)エンジンの一種であるOEP(Oracle Event Processing) Embeddedにも触れた。OEP Embeddedについては後のセッションレポートで詳しくお送りする。
ストラテジーについての講演で最後を飾るのは登場を間近に控えたJava EEだ。
Vice PresidentのCameron Purdy氏はまず、エンタープライズを支えるプラットフォームとして標準化されたものは、かつて存在しなかったが、Java EEは、いまやデファクトスタンダードとなっていることを説明。そしてJava EEはオラクルが独自に策定しているのではなく、膨大なメンバを擁するコミュニティによって支えられていることを強調した。
そしてJava EE 7に新たに含まれる仕様はコミュニティからの要望の多いHTML5やバッチ処理、JMS APIの改善など多岐にわたり、モダンなアプリケーション開発を支えるための強力なプラットフォームになると説いた。
Purdy氏は特に、ダイナミックHTML5アプリケーションのための機能であるWebSockets、JSON関連の新機能の説明に多くの時間を費やした。応用例の筆頭としてモバイル領域を挙げ、アノテーションベースでJSONのメッセージ交換が用意に実装できることでオンラインに対応しつつ、オフラインでも動作可能なモバイルアプリケーションが実装可能であると説明した。
デモでは簡単なオンライン共有ホワイトボードを見せた。オンライン状態ではWebSocketsを使ってリアルタイムに状態を同期させ、一時ネットワークが中断してしまってもオンライン復帰時にローカルストレージに貯めておいた情報をRESTで一気に送って状態を共有できることを示した。
Java EE 7のリリースは2013年6月13日で、Q&Aも交えたライブWebキャストも予定しているという。すでにGlassFish 4.0ではJava EE 7の機能を実装済みなので試してほしいとのことだ。
また2011年のJavaOneで脚光を浴びた「Project Avatar」はデモこそなかったものの、年末にはベータ版をリリースできる見込みだという。
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