OpenJDKで使えるJava 8の新機能、3Dの表現力が段違いで採用企業が増加しているJavaFX、センサデータを企業で活用するJava Embedded、HTML5、WebSockets、JSON、バッチ処理機能を備え、6月13日にリリース予定のJava EE 7、世界に広がるJava Communityなどの最新情報をお届け。
日本オラクルは5月14日、「Java Day Tokyo 2013」を開催した。Java EEの最新バージョンリリースを間近に控える中、JavaFXやRaspberry Pi、さらには来年リリース予定のJava SE 8など内容は多岐に渡った。
Java Day Tokyoは、その名の通りJavaが中心となったカンファレンス。Java開発者向けのイベントとして伝統ある「JavaOne」の名前こそ冠していないものの、最大で4トラック同時進行となる大型イベントだ。
およそ1000人を超えるJava技術者が集まり会場となった秋葉原UDXはJava一色に染まった。
今回の目玉は何といってもJava EE 7のリリース。2009年12月のJava EE 6リリース以来約3年半を経てのアップデートとなる。本稿では、基調講演のJava SE/JavaFX/Java Embedded/Java EEのストラテジー(戦略)セッションやJavaコミュニティに関するセッションの模様をお届けする。
基調講演の始まりは、もちろんJavaの基本中の基本であるJava SEについて。Java Technology AmbassadorのSimon Ritter氏が講演した。
Java SE 7はオラクルがサン・マイクロシステムズを買収してから最初のメジャーアップデートとなり、今からさかのぼること2011年7月にリリースされた。これは前バージョンであるJava 6から実に5年ぶりのリリースとなる。基幹システムに採用されることも多いJavaだけに新しいバージョンへの移行は慎重になりがちだが、順調にシェアを伸ばしており昨年の調査によるとすでにJava 6よりも利用されているとのこと。
もちろんJavaはWindows、OS X/Mac OS X、Linuxで多く普及しているが、オラクルは組み込み機器での広い適用を目指してARMプラットフォームへの展開にも投資しているとのことだ。今回のJava Day Tokyoでは安価で手に入る高性能Linux/ARMボードとして人気の高いRaspberry Piと絡めたセッションも多い。
続いて触れたのはJava SE 8だ。最近相次ぐセキュリティ脆弱性については触れなかったが、ベストな製品としてリリースするため若干リリースは遅らせ、2014年2月に登場する見込みだという(筆者注:OpenJDKのサイトでは2014年3月と記載されているので3月の誤りの可能性がある)。
その後は2016年にJava 9、2018年にJava 10と2年単位でリリースしていく予定だ。
言語仕様、コアライブラリ、VMなど全ての領域に渡って改良・改善を加えているJava 8の中でインパクトの大きいのはLambdaの導入。Lambdaはクロージャに近いもので、いろいろな個所でコードをシンプルに、そして生産性を上げることができるという。
Lambdaの適用可能な個所は広いが、今回はコレクションをイテレートする簡単な例を示し、Lambdaの適用でコード実行が並列化され、メニーコアのアーキテクチャで高速に動作することも強調した。
他に要望の多い言語機能として多重継承があるが、Java 8からはインターフェイスにデフォルトの実装を記載することで、C++よりもエレガントな方法で実現できるようになることを説明。
Java 8の正式リリースまではまだ時間があるが、すでにOpenJDKプロジェクトからダウンロードできること、そして予定される全機能の実装が完了したFeature Completeバージョン-M7のリリースが間近(5月23日を予定)なのでぜひ試してほしいと締めくくった。
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