また、最近目立っている変化がCTO、あるいはCIOを担う人材を求める企業の増加です。IT系企業だけでなく、一般の事業会社でもCTO人材を求めるようになったからです。
当社のような中小規模の会社でも、これまで累計で数千万円のシステム投資を行っています。システムがビジネスのインフラになり、システム無しには業務が回らないのですから、手を抜くわけにはいきません。
Webとシステム無しに事業展開ができなくなっているのは、ホワイトカラー系の企業であればどこも同じでしょう。業務改善にしても従来は現場発想で行っていたのに対し、現在、経営者はシステムに仕事の仕方を合わせる方向で考えるようになっています。
つまり、従来はシステムがビジネスの道具だったのに対し、現在はシステムがビジネスを引っ張っている状態といえます。CTOの求人が増えてきたのはシステムの相対的価値が上がり、事業展開上無視できない要素になったためと私は考えています。
ITが世の中やビジネスに与えるインパクトが強くなるにつれ、エンジニアに対するニーズも拡大しています。短期的には雨が降ったり曇ったりすることはあるでしょうが、基本的にエンジニアの未来は明るいと考えます。
ただし、ニーズは同時に変化もしていますから、それについていくことが前提です。エンジニア全員が、今持っている技術で定年まで働ける運の良い人ではありません。しかし、次々に出てくる新しい技術や考え方、フレームワークをしっかりキャッチアップしていくことを怠らないエンジニアならば、未来は明るいと思います。
さらにCTO、そして経営者へのステップアップを目指すのならエンジニアとしての優秀さだけではなく、また別の能力も必要になってきます。優秀な選手が優秀な監督とは限らないように、エンジニアとして優秀だったからといってCTOとして優秀とは限りません。
それが一体どういう能力かは、次回ご説明しましょう。
クライス&カンパニー 代表取締役社長
リクルートで人事採用担当を約7年経験後、現社を設立。転職希望者面談数は1万人を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。「人の根っこのエネルギーを発掘する作業が、われわれの使命」がモットー。著書「そのひと言で 面接官に嫌われます」(青春出版社)、「キャリアコンサルティング」(翔泳社)
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