メディアストリーミングデバイスChromecastの概要とシステム構成、開発環境、専用アプリを作るための準備と手順などを解説します。
Chromecast(クロームキャスト)は、グーグルから発売されているドングル型のメディアストリーミングデバイスです。テレビのHDMI端子に接続してWi-Fiにつなぎ、ネットワーク上の動画・音楽・写真などのコンテンツをテレビの大画面で視聴できます。
このデバイスにはコントロールのUIはないため、Wi-Fi上のスマートフォン(Android/iOS)、PCの専用アプリから操作を行う必要があります。米国では2013年7月に、ヨーロッパでは2014年3月から、日本国内では2014年5月28日から発売が開始されています。
対応しているサービスは多く、「Google Play」(Movie/Music)「YouTube」「Netflix」「Hulu」をはじめ、日本国内では、「dビデオ」「ビデオパス」などがあります。最新の対応アプリはChromecast対応アプリのページで見つけることができます。
意外と知られていないことですが、Chromecast対応アプリは、iPhoneアプリやAndroidアプリ同様に誰でも開発することができ、今多くの開発者から注目されていて、今後もその数が増えることが予想されます。
Web&モバイル技術のSIを手掛けるオープンストリームでは、Chromecastデバイスの国内発売前からスマートフォンアプリ(iOS版およびAndroid版)の対応について技術検証を行い、詳細な技術ノウハウを獲得してきました。本連載では、その時に得た技術を基にChromecastアプリのシステム構成、開発環境、開発準備、メディアストリーミングアプリの開発方法について注意点を含めて解説していきます。Chromecast対応アプリを開発する参考にしてください。
初回は、Chromecastの概要とサンプルアプリを動作確認できるまでの開発手順を解説します。
Chromecastには、AndroidをベースとしたOSとChromeブラウザーが搭載されています。開発者はこのChromeブラウザー上で実行するWebアプリと、スマートフォン・PC側からこのWebアプリを制御するアプリの開発が必要となります。Chromecast側のアプリは「Receiver」、スマートフォン、PC側のアプリは「Sender」と呼ばれています。
例として、メディアをストリーミングする際のReceiverとSenderがどのようにやりとりするかを見てみます
このシーケンスのように、Senderで再生指示した後はChromecast上のReceiverがコンテンツの再生を非同期に行います。そのため、スマートフォンで再生を指示した後は、他の動画コンテンツの検索や、メール/SNSをチェックできます。この点が、スマートフォンの画面を同期してテレビで視聴できるMiracast技術やMHL接続との違いです。
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