iPhone 6/6 PlusアプリをSwift言語で作成してみたいという初心者向けにiOS 8の新機能を使ったアプリの作り方を一から解説する入門連載。今回は、iOS 8のPhotoKitの概要とXcode 6.1の画面構成、新規プロジェクトの作り方、StoryboardとAuto Layoutによる画面作成方法、iOSシミュレーターの使い方などを解説する。
前回の記事「開発者が知っておきたいiOS 8の新機能&Xcode 6のインストールと基本的な使い方」では、iOS 8を簡単に紹介し、iOSアプリ開発を始めるための環境構築について説明しました。今回から、iOS 8の新機能を使ったアプリの開発を進めていきます。
前回、本連載で開発していくアプリに盛り込むものとして以下の項目を挙げました。
「iOS 8で追加された新機能」についてですが、本連載では「PhotoKit」の機能を使用したアプリを開発します。「PhotoKit」は、iOS標準の「写真」アプリで使用されているAPIが解放されたもので、「写真」アプリ並みの機能を持ったアプリを開発できます。
ここでPhotoKitについてもう少し詳しくご説明しましょう。
PhotoKitは「Photos Framework」と「PhotosUI Framework」で構成され、写真やビデオを扱うための新しいAPIを提供します。
本連載では「Photos Framework」を使用したアプリを開発します。Photos Frameworkを使うことで、iOS標準の「写真」アプリが管理している写真にアクセスできます。
Photos Frameworkが提供する主な機能は下記のようになっています。
Photos Frameworkではライブラリの構造を表すための「モデルオブジェクト」が定義されています。モデルオブジェクトは、読み取り専用・イミュータブルであり、メタデータのみ含みます。
クラス名 | 概要 | 「写真」アプリ上での扱い |
---|---|---|
PHAsset | ライブラリの中の写真に相当するオブジェクト | アセット |
PHAssetCollection | 順序付けられたAssetのコレクション | アルバム |
PHCollectionList | コレクションのグループ | フォルダー |
モデルオブジェクトのうち「PHAsset」はライブラリの中の写真に相当するオブジェクトです。PHAssetのプロパティには以下のようなものがあり、Locationプロパティを使用して写真を撮影した場所の情報を取得できます。
本連載では、この位置情報とMapKitを組み合わせて、地図上に写真を配置するアプリを開発します。また、PHAssetオブジェクトを介して写真の実データを取得し、画面表示に使用します。
前回の記事の執筆時点(2014年9月26日)での最新バージョンは以下のバージョンでした。
今回以降は以下のバージョンで進めていきますので、Mac App Storeを使用してアップデート(インストール)を行ってください。
Xcodeのアップデート(インストール)方法は前回記事で解説している手順と同様です。Mac OS Xのアップデート手順については「Apple - OS X Yosemite - アップグレード方法」などを参考にしてみてください。
ここで簡単にXcodeの画面構成について説明します。Xcodeは図1のように四つのエリアから構成されます。
プロジェクト全体の設定・操作を行うボタンが並びます。ツールバー左側の[Run]ボタンをクリックするとプロジェクトを実行でき、[Stop]ボタンで停止できます。ツールバー中央の[Activity Monitor]には実行中のタスクの進行状況などが表示されます。
ツールバー右側のボタンを使うと、各エリアの表示を切り替えることができます。
Xcodeの[ワークスペース]ウィンドウの左側に表示されるのが[ナビゲータエリア]です。[ナビゲータエリア]上部のボタンをクリックすることで7種類の情報を切り替えて表示できますが、よく使うのは[プロジェクトナビゲータ]になります。
[プロジェクトナビゲータ]には、プロジェクトで管理されているファイルがツリー構造で表示されます。
[プロジェクトナビゲータ]で選択されたファイルの内容が[エディタエリア]に表示されます。SwiftのソースコードやStoryboardファイルは[エディタエリア]上で編集します。
[ユーティリティエリア]は、[エディタエリア]で編集中のファイルに関する情報の閲覧や設定などを行うエリアです。
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