本コラムでは、日本OpenStackユーザ会メンバーが持ち回りでコミュニティの取り組みや、超ホットでディープな最新情報を紹介しています。第5回は、日本OpenStackユーザ会会長 中島倫明氏とアイティメディアの三木泉が、日本におけるOpenStackのスーパーユーザーについて紹介します。
世界中で、OpenStackを採用したクラウドサービスが広がっています。また、企業が社内のITインフラ基盤として、OpenStackを導入するケースも増えてきました。これは日本でも同様です。
昨年の「OpenStack Days Tokyo 2014」において、ヤフー、グリーといった企業の活用状況についての紹介がありましたが、今回のコラムでは、2015年2月3、4日に開催される「OpenStack Days Tokyo 2015」、2日目の基調講演「スーパーユーザーインタビュー 〜なぜ彼らはOpenStackを使うのか?〜」(以上、OpenStack Days Tokyo 2015オフィシャルページにリンク)に登場するNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、GMOインターネット、楽天の3社のOpenStack導入について、簡単に紹介したいと思います。
参考リンク
NTT Comが、通信事業とともにクラウドサービスに力を入れていることは、皆さんもよくご存じだと思います。NTT ComはSalesforce.comなどのサービスを、企業と高速・安全につなげる通信サービスとして提供する一方、自社でもIaaS、PaaS、SaaSにまたがる多様なクラウドサービスを展開しています。
このうち、パブリッククラウドサービスに当たるのが「Bizホスティング Cloudn」。このサービスは、OpenStackを基盤としています。同社の大野理望氏と林雅之氏は、OpenStackの良さの一つとして、ネットワーク――特にSDNの選択肢の広さを指摘しています。「キャリアのクラウドに求められるのはオープン性とネットワーク関連機能の充実」というわけです。
同社は、ユーザーの視点に立ってクラウド利用を考えたときに、求められるポイントをカバーしていくため、OpenStackをさらに活用していくつもりといいます。
GMOインターネットは、日本で最も早くからOpenStackを本格的に利用してきた企業の一社です。2011年9月に登場した「Diablo」という4番目のリリースを採用して、個人向けのVPSサービスを提供したのが最初だそうです。
当時、OpenStackを採用した理由の一つとして、オープンソースでありカスタマイズ性に優れていた点であることを、同社の藤原優一氏と郷古直仁氏は挙げています。
その後、「GMOアプリクラウド」など、クラウドサービス商品を増やしてきた同社ですが、こうしたサービス商品のニーズと、OpenStackの機能が、シンクロするように進化してきたのが良かったといいます。藤原氏と郷古氏は、現在、OpenStackが提供する重要なメリットの一つである、オープンで豊富なAPIを、サービスに生かす取り組みを進めています。
楽天は、各種のサービスを支える社内ITインフラを対象に、プライベートクラウド化を進めつつあります。その前提として、サーバー仮想化があります。2010年ころから、物理サーバーを仮想化する取り組みを進めていて、約1万8000台のサーバーの大部分について仮想化を終えたそうです。
楽天は、次の段階としてクラウド化を進めています。同社の佐々木健太郎氏と吉越功一氏は、クラウド化において、オープンなクラウドインフラ技術の標準であるOpenStackを採用し、柔軟で高速なビジネス展開を促進できるIT環境を、自分たちで責任を持って運用していきたいと話しています。
一方で、OpenStackの採用により、これまでの同社のアプリケーションエンジニア、ITインフラエンジニアの双方に、考え方の変化が求められるようになるだろうといいます。
ご紹介した3社の詳細を聞くことができる「OpenStack Days Tokyo 2015」2日目の基調講演「スーパーユーザーインタビュー 〜なぜ彼らはOpenStackを使うのか?〜」に、ぜひ足をお運びください!
スピーディなビジネス展開が収益向上の鍵となっている今、ITシステム整備にも一層のスピードと柔軟性が求められている。こうした中、オープンソースで自社内にクラウド環境を構築できるOpenStackが注目を集めている。「迅速・柔軟なリソース調達・廃棄」「アプリケーションのポータビリティ」「ベンダー・既存資産にとらわれないオープン性」といった「ビジネスにリニアに連動するシステム整備」を実現し得る技術であるためだ。 ただユーザー企業が増えつつある一方で、さまざまな疑問も噴出している。本特集では日本OpenStackユーザ会の協力も得て、コンセプトから機能セット、使い方、最新情報まで、その全貌を明らかにし、今必要なITインフラの在り方を占う。
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