海外では、さまざまな組織が設立を進めているという「OSPO」。このオープンソース関連社内組織の正体とは何なのでしょうか。どの地域で何を理由に、どう広がっているのでしょうか。企業が組織としてオープンソース活動にどう取り組むべきかを探る連載の第2回として、OSPOを推進するLinux Foundation TODOグループのプログラムマネジャーにインタビューしました。
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オープンソースソフトウェア(OSS)が企業のシステムやサービスに欠かせない存在になってきています。そこで、オープンソースのエコシステムの中でビジネス上のメリットを得ることへの関心も高まっています。こうした背景から、オープンソース活動を推進するための社内組織として、「Open Source Program Office(OSPO)」を設立する企業が世界中で広がっています。
最近では日本においても、オープンソースの戦略的な活用を目的としてOSPOを導入する企業が増えてきました。とはいえ、このような組織が必要であるという漠然としたイメージはあるものの、その目的やミッション、組織にとっての価値について明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。
今回は、Linux Foundation TODOグループのプログラムマネジャー、アナ・ヒメネス・サンタマリア(Ana Jimenez Santamaria)さんに、海外のOSPO事情や取り組みの状況についてインタビューしました。世界各国のあらゆる組織と直接会話しながら彼らの活動を支援しているアナさんは、OSPO導入の目的や提供価値についてどのように考えているのでしょうか。さっそく聞いてみましょう。
――まず、OSPOとは何か、簡単に教えていただけますか?
アナさん OSPOは、組織においてオープンソースの取り扱いをマネジメントするための特別なチームのことです。OSPOのタスクには、オープンソースコンプライアンスに関する事柄やアップストリームへの貢献、開発者によるコラボレーションのための組織内のプロセスやポリシーの策定など、オープンソースに関わる全てのことが含まれます。
OSPOの立ち上げには色々なやり方があります。私はいつも「Your OSPO is not my OSPO.」というフレーズでお伝えしていますが、バーチャル組織のOSPOもありますし、社内の複数のOSPOが互いに連携しているような場合もあれば、1つの大きく中央集権的なOSPOに多数のメンバーが属している場合もあります。1つの企業の中でビジネスユニットごとに独立したOSPOがある場合もあり、組織によって本当にさまざまです。重要なのは、どのような成り立ちかによらず、その組織がオープンソースに積極的に関わり、経営層を含む全ての従業員によって、組織としての全体的なアプローチがなされることです。
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