Windows 8/8.1にはチャームという特徴的なメニューが用意されていたが、Windows 10ではこれがほぼ廃止され、UIが変更される他、アクションセンターも一新される。
「Windows 10 The Latest」は、2015年夏に正式リリースが予定されているWindows 10の最新情報をお伝えするコーナーです。
「Windows 10 TPビルド9926(以下Windows 10 TP)」では、Windowsストアアプリの位置やサイズを自由に配置できるようになったのに伴い、画面右端のチャームメニューが(ほぼ)廃止されてアプリウィンドウ内に表示されるなど、いくらか変更が行われている。今回は変更されたチャームメニューとアクションセンターについて見ていく。
本題に入る前に、新リリース情報を1つ補足しておく。2015年2月12日、Windows Phone向けに「Windows 10 Technical Preview for Phones」がWindows Insidersプログラムを通じてリリースされた。
しかしながら、インストール可能な端末デバイスは、日本では正式には販売されていないWindows Phone 8.1搭載のNokia Lumia 630/635/636/638/730/830のみである。しかも「スマートフォン用 Windows 10 Technical Preview の提供を開始しましたが、完成には程遠い状態です。」とのことだ。
こうした事情を十分理解の上、環境が用意できるなら試してみてもよいだろう。
Windows 7に対してWindows 8/8.1で大きく変わった機能としては、「チャーム」と呼ばれるメニューシステムが挙げられる(右上の関連記事参照)。Windows 10 TPではこれが整理・変更され、以前とはいくらか異なる方式で呼び出されるようになった。ただしチャームメニューそのものが廃止されたわけではなく、チャームメニューの呼び出し方やUIが変更されただけである。
Windows 8/8.1では画面を右側からスワイプするか、マウスを画面右上に移動したり、[Windows]+[C]キーを押すと画面右端にチャームメニューバーが表示されていた。Windows 10 TPでは、これが(基本的には)廃止されている。
例えば、[Windows]+[I]キーで各種設定のための「設定チャーム」を呼び出そうとすると、独立した「Settings(設定)」というウィンドウが表示されるようになった。その内容はWindows 8.1の「PC設定」メニューのものとほとんど同じである。
Windowsストアアプリでは独自のメニューを持つアプリもあり、例えば設定チャームから[オプション]メニューなどを開くことができる。Windows 10 TPの場合、アプリ左上のタイトルバーにある三本線のようなメニューから設定メニューを起動することになる。
上記画面で[Settings]を選択すると、次のようにアプリ固有の設定メニューがアプリウィンドウ内にオーバーレイ表示される。Windows 10 TPではWindowsストアアプリのウィンドウ自体が自由に配置できるようになったので、このように変更されたのだろう。Windows 8.1では、例えばアプリが画面左端に表示されているのに設定メニューが遠く離れた画面右端に表示されるなど、やや使いづらかった。
ただし、全てのチャームメニューがこのようにアプリ内に表示されるようになったかというと、そうでもない。Windows 10 TPビルド9926ではまだいくつか画面右端に表示されるチャームメニューがある。例えば以下は、「天気」アプリの実行中に共有チャームを開いて([Windows]+[H]キーで呼び出せる)、アプリの情報を送信しようとしているところである。
このように、アプリウィンドウ内ではなくWindows 8/8.1のように画面右端に表示されている。
Windows 8/8.1には設定チャームから起動できる「PC設定」メニューの他に、Windows 7以前からの「コントロールパネル」も残っている。だが、その役割の違いはやや曖昧だ。
「PC設定」はWindows 8/Windows Server 2012から導入されたため、同時に導入されたWindowsストアアプリ関連(「Windowsランタイム」を使うアプリケーション系)の設定がPC設定に集まっているのかとも思える。だが、実際にはコントロールパネルでも設定できる項目があるなど、いまひとつ両者の境界がはっきりしていない。
例えば、ユーザーアカウントはコントロールパネル(の「ユーザーアカウント」ツールや「コンピューターの管理」ツール)でも追加できるが、Microsoftアカウントへの関連付けはPC設定でしか行えない。逆に「パーソナル設定」に含まれそうなWindowsのテーマやサウンド設定はコントロールパネルでしかできない、などである。
Windows 10 TPビルド9926でもこの状況はほとんど同じで、相変わらず初心者には分かりづらいままだ。
以下に新しい「設定」画面の例を1つ示す。Windows 8.1のPC設定画面と比べるとデザインがいくらか変更されているものの、内容はほぼ同じだ。
Windows 10 TPのコントロールパネルの例も示しておく。Windows 8.1のコントロールパネルと比較すると、Windows Updateの項目がなくなった程度で(これは設定画面の[保守と管理]で設定する)、他はほとんど同じである。コントロールパネルと設定画面を統合するのは困難なのかもしれない。
Windows 10 TPでは、一新された「アクションセンター」が導入されている(画面上では「通知」と表示されている)。アクションセンターはWindows 7にもある機能だが、Windows 10 TPではシステムやアプリケーションからの通知の他、システムの管理業務で利用するツールの起動なども行えるようになっている([Windows]+[A]キーで起動可能)。
今回は変更されたチャームメニューと新しいアクションセンターについて簡単に見てきた。
Windowsストアアプリについては、固有メニューの呼び出し方や表示位置が変更されたおかげで、Windows 8/8.1のような全画面あるいはタイル単位ではなく、ウィンドウ単位で操作しやすくなった。これは従来のデスクトップアプリのUIに近づいており、Windows 7ユーザーにとって朗報といえるだろう。
その一方で、Windows 8/8.1の設定チャームメニューよりも分かりやすくなったとはいえ、「設定」と「コントロールパネル」が分かれているのはやはり分かりづらい。両方で設定できる項目もあれば、一方でしか設定できない項目も混在していて、しかもその分類の規則(パターン)もユーザーにはハッキリと感じられず、どの項目がどちらで設定できるのか覚えにくいのだ。もう少し改善を期待したいところだ。
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