Windows 7/8.xには搭載されていないWindows 10の新機能「マルチデスクトップ」の使い勝手を紹介する。複数のデスクトップを管理する機能に、Windows 10へ移行する価値が見いだせるのか?
「Windows 10 The Latest」は、2015年夏に正式リリースが予定されているWindows 10の最新情報をお伝えするコーナーです。
今回は「Windows 10 TPビルド9926(以下Windows 10 TP)」のマルチデスクトップ(仮想デスクトップ)について見ていく。
Windows 10 TPでは新しく「マルチデスクトップ」機能がサポートされている。多数のアプリケーションを同時に起動していると、目的のアプリが画面上のどこにあるのかが分からなくなることがある。このような場合はマルチデスクトップ機能を使って作業内容ごとにデスクトップを分離し、使い分ければよい。例えばデスクトップ1はメインの仕事用、デスクトップ2は別件の急ぎの仕事用、デスクトップ3はWeb閲覧用、などと使い分けることができる。
一口にマルチデスクトップといっても、その機能にはさまざまだ。しかし、Windows 10 TPのマルチデスクトップの機能はかなり限定的である。その分、かえって初めてのユーザーでも使いやすいのではないだろうか。
このマルチデスクトップで実現しているのは、仮想的なデスクトップ画面(やそれに関する設定)の切り替えというよりは、実行中のアプリケーションをグループ化して(まとめて)切り替える機能である。環境や設定が完全にデスクトップごとに隔離されているわけではない。
デスクトップ画面(デザインや背景ビットマップなど)やその上に置いてあるショートカット、ファイル、フォルダー、そしてタスクバー(実行中のアプリケーションの一覧情報)や通知領域、スタートメニューなどは全てのデスクトップ間で共有されており、どのデスクトップに切り替えても同じように作業ができる。
ただしデスクトップをまたいだドラッグ&ドロップのような操作はサポートされていない。例えばファイルをコピーしたければ、切り取りと貼り付け([Ctrl]+[C]と[Ctrl]+[V])を組み合わせるか、同じデスクトップ内でエクスプローラーを起動して作業する、といった操作が必要である。
デスクトップはデフォルトでは「デスクトップ1」の1画面だけが用意されている。そしてユーザーがアプリケーションを起動すると、全てそのデフォルトのデスクトップ上に表示される。
別のデスクトップを追加するには、[タスクビュー]ボタン([Windows]+[Tab]キー)を押して[デスクトップの追加]をクリックする。タスクビューは、Windows 8.1では実行中のタスクの一覧を表示するための機能であったが、Windows 10ではマルチデスクトップの管理も受け持っている。
現状では、デスクトップのアイコンが画面幅以上並ぶと操作するのが困難なので使うことはないだろうが、かなりの数(100個までは試してみた)のデスクトップを作成できた。
新しく作成されたデスクトップ画面(名前は「デスクトップ2」)は、最初はアプリケーションが何も表示されていない状態のはずだ。何もないといっても、ユーザーが作成していたショートカットやファイル、フォルダーなどは共通なので、全てそのまま見える。Windows OSにサインインした直後の状態と同じだ。
新しいデスクトップ上でアプリケーションを起動すると、そのアプリケーションのウィンドウは現在アクティブなデスクトップ上にのみ表示される。こうやってデスクトップごとに関連するアプリケーションを起動していけば、作業ごとにデスクトップ画面を分けることができる。
[タスクビュー]ボタン([Windows]+[Tab]キー)を押すと、現在有効なデスクトップの一覧表示、新しいデスクトップ画面の追加、実行中のアプリケーションの一覧表示と選択(デスクトップ画面を切り替えて、アプリケーションをアクティブにする)などが行える。
デスクトップ画面を切り替えるには、このタスクビュー画面の下に表示されている一覧から選んでクリックすればよい。すでに起動済みのアプリケーションはタスクバーに「実行中」として表示されているので、それをクリックすれば自動的にデスクトップの切り替えと、アプリケーションのアクティブ化が行われる。
デスクトップ画面の切り替えをキーボードで行うなら、[Ctrl]+[Windows]と[←][→]キーを押せば順次隣のデスクトップウィンドウに切り替えてくれる。
単にアプリケーションを切り替えるだけなら[Alt]+[Tab]キーで順次切り替えてもよい。どこのデスクトップ画面にあるかにかかわらず、自分で起動した全てのアプリケーションが順次表示されるので、以前からのWindows OSと同じようにアプリケーションを選択できる。
新しいアプリケーションを起動したい場合はタスクバー上のアイコンをクリックすればよいが、すでにアプリケーションが実行中なら、新アプリケーションの起動ではなく、そのアプリケーションへの切り替えになる。この挙動は以前のWindowsと同じだが、マルチデスクトップだと、デスクトップまで切り替わってしまって特に煩わしいので注意する。実行中のアプリケーションの選択ではなく、さらに別に新規ウィンドウとしてアプリケーションを起動したければ、[Shift]キーを押しながら左クリックするか、単にマウスの中ボタンをクリックする(ただしWindowsストアアプリのように、2重起動できないアプリでは、単に切り替えになる)。
実行中のアプリケーションを現在のデスクトップから別のデスクトップへ移動させたい場合は、タスクビュー画面でアプリケーションを右クリックする。すると[移動]メニューが表示されるので、移動先のデスクトップを選択する。
デスクトップを削除したい場合はタスクビュー画面でデスクトップを選び、右上に表示される[×]印をクリックする。もしくは[Ctrl]+[Windows]+[F4]キーを押す。デスクトップが削除されると、そこで動作していたアプリケーションは全て隣接するデスクトップへ移動する。
今回はWindows 10 TPのマルチデスクトップ機能について見てきた。Windowsにマルチデスクトップ機能を追加するためのツールは、サードパーティー製も含めていくつもある。だがWindows 10 TPではOSの標準機能として組み込まれているので、インストールの手間もかからないし、誰でも同じように操作できるのは便利だ。
ただし仮想デスクトップの設定(どのデスクトップにどのアプリケーションを配置するかなど)を保存しておいたり、サインイン時に自動的に再現したりする機能はない。そのため、いちいち手動でデスクトップ配置をセットアップする必要があるなど少し不満は残る。正式リリースまでの機能向上に期待したい。
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