Cookbookとは「インフラをコード化してあるべき状態を記述したChefのファイル群」です。RecipeはCookbookの一部にすぎません。CookbookはRecipeを含む複数のファイルから構成されています。
Chefによってインフラをどのように構成するかを記述するファイルがRecipeです。RecipeはRubyを知らなくても書けます(※)。知るべきことはRecipeの書き方です。Recipeは後述するResourceの集合体で構成されていますので、まずはResourceを記述し実行させられるようになりましょう。
※とはいえ、条件分岐や繰り返し処理などを実現するにはRubyの知識が必要になってきますので、次第にChefで用いるRubyの記法についても慣れていきましょう(参考記事「若手エンジニア/初心者のためのRuby 2.1入門(2):Ruby 2.1の基本構文/基本文法まとめ&Pryの使い方」)。
Recipeに実行させたい内容を記述するとき、Resourceと呼ばれる形式に従って記述していきます。リソースタイプには、下記のようにいろいろな種類があります。
Resourceの種類や書き方については公式ドキュメントが参考になります。
Attributeとは、RecipeやTemplateに定義できる変数です。例えば、WordPressであればバーチャルホストのドメイン名やWordPressのバージョン別ファイルなどは実行するたびに変化する内容です。これらはCookbookの実行時に値を指定して実行させることもできますが、「attributes」ディレクトリの「default.rb」ファイルにデフォルト値を記載しておくと、実行時に特に指定しない場合は、こちらが採用されます。
なお公開されているCookbookの中には、実行時に必ずAttributeを定義しないといけないものもあります。
TemplateとFileは両方ともRecipeから呼び出されて利用されるファイルですが、Templateは中にAttributeを定義できるので、「httpd.conf」のような「config」ファイルをヒアドキュメントとして流し込みたい場合などに利用します。
一方で、Fileは完全に静的ファイルとしてしか扱わないものを設置します。例えば、リモートノードで実行させたい(しかし毎回インターネットから取得させる必要はない)RPMファイルなどはここに設置します。
上記内容を踏まえ、今回のお題である「WordPressサーバー構築」をCookbook化する方針を以下の通りとします。
外部CookbookとしてEPELやRemiのインストールができるCookbookが公開されているので、そちらを使用します。
Packeageリソースを使用して、ディストリビューションのパッケージ管理システムを操作してインストールします。
URLを基にWordPressのソースファイルをダウンロードして所定の位置に配置する一連の処理を、scriptリソースを使用して実行します。どうしても適合するリソースがなくコマンドとして実行したい場合はscriptリソースが有効です。
httpd.confをTemplateとして用意しておき、実行のたびに変化する部分をattributeとして定義しておきます。実行時は指定したattribute値に置換されたhttpd.confファイルをヒアドキュメントとしてリモートノードに配置します。
MySQL用のSQLファイルをTemplateとして用意しておき、実行のたびに変化する部分をAttributeとして定義しておきます。実行時は指定したAttribute値に置換されたSQLファイルをリモートノードのMySQLサーバーに対して実行します。
今回のポイントをまとめると以下のようになります。
Chefは独特の用語が多いことや、複数ファイルに跨がって構成されていること、「Rubyだ」というイメージが強過ぎることなどから「難しい」と考えられがちなのですが、一度仕組みを理解してしまえば、非常に理にかなった構造をしていることが分かると思います。
次回以降では実際にCookbookの作成を通じてChefの理解を深めていこうと思います。
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