WordPress環境構築におけるMySQLの設定とChef上達のポイントサーバー管理者のためのChef超入門(終)(1/3 ページ)

エンタープライズ向け機能が充実してきたChefを使って高速かつ精度の高いサーバーインフラを構築/管理する方法について解説する連載。今回は、WordPress環境構築レシピの最後の仕上げとして、SQL文をTemplateとして作成して、MySQLを設定する方式のCookbookを作成し、実行してみます。

» 2015年09月10日 05時00分 公開
[大喜多利哉@IT]

最終回はWordPress環境構築レシピの最後の仕上げ

「サーバー管理者のためのChef超入門」のインデックス

連載目次

 6回にわたる連載も、今回が最終回となりました。WordPress環境構築レシピの最後の仕上げの部分と、上達のためのポイントについて触れます。

 まず、連載第3回の「WordPress構築で学ぶ、サーバー構築作業をChefのCookbookとして記述するためのポイント」で解説した「構築環境の前提条件」と「Cookbookの作成方針」を再度記載しておきます。

WordPress構築環境の前提条件

  1. OSはCentOS 6.6を使用
  2. ApacheとMySQLは同一サーバー内(「ノード」)にインストールする
  3. MySQLはRemiリポジトリを使用してインストールする
  4. 「wp.example.com」というバーチャルホストを作成し、ホスト名を「wp.example.com」、ドキュメントルートを「/var/www/wp.example.com/wordpress」とする
  5. エラーログとカスタムログのファイル名を以下の通りとする
    • wp.example.com-error_log
    • wp.example.com-access_log
  6. MySQLにwordpressユーザーとwordpressデータベースを作成し、ユーザーにデータベースへのアクセス権を付与する

 前回の「WordPressのダウンロード/配置とバーチャルホスト設定で見るChefの変数とAttributeの書き方の基本&Template活用」で、5.まで完了しています。今回は6.について記載します。

WordPress構築Cookbookの作成方針

【1】リポジトリ設定→外部Cookbookを利用
【2】Apache、PHP、MySQLのインストール→Resourceで定義
【3】WordPressのダウンロードと解凍→Resourceで定義
【4】バーチャルホスト設定→Templateを使用
【5】WordPress用MySQL設定→Templateを使用

 このうち今回は【5】について作業を進めていきます。

SQL文をTemplateとして作成して、WordPress用にMySQLを設定

 「cookbook/wordpress01/recipes/default.rb」にMySQL設定用の処理を追記します。今回追記した部分は10行目と66〜69行目です。

package ['httpd', 'httpd-devel', 'mysql', 'mysql-server', 'mysql-devel', 'php', 'php-mysql']  do
  action :install
end
 
filename = "#{node['wordpress']['wp_tar_name']}"
install_dir = "#{node['wordpress']['wp_dir']}"
remote_uri = "#{node['wordpress']['wp_tar_uri']}"
file_checksum = "#{node['wordpress']['wp_tar_sum']}"
httpd_conf_dir = "#{node['wordpress']['httpd_conf_dir']}"
mysql_pw = "#{node['wordpress']['mysql_pw']}"
 
#インストールディレクトリ作成
directory "#{install_dir}" do
  recursive true
  mode 0755
  owner "apache"
  group "apache"
  action :create
end
 
#WordPressダウンロード
remote_file "/tmp/#{filename}" do
  source "#{remote_uri}"
  checksum "#{file_checksum}"
end
 
#WordPress配置
script "install_wordpress" do
  interpreter "bash"
  user        "root"
  code <<-EOL
    install -d #{install_dir}
    tar zxvf /tmp/#{filename} -C #{install_dir}
  EOL
end
 
#httpd.conf配置
template "httpdconf" do
  path "#{httpd_conf_dir}httpd.conf"
  source "httpdconf.erb"
  mode 0644
end
 
#wordpressディレクトリpermission変更
directory "#{install_dir}/wordpress" do
  recursive true
  mode 0755
  owner "apache"
  group "apache"
end
 
service "httpd" do
  action :start
end
 
service "mysqld" do
  action :start
end
 
template "sql-for-wordpress" do
  path "/tmp/wordpress.sql"
  source "wordpress.sql.erb"
  mode 0644
end
 
execute "mysql-create-user" do
    command "mysql -u root -p#{mysql_pw} < /tmp/wordpress.sql"
    action :run
end

 MySQLの設定は、対話形式が基本となるためレシピで表現するのが難しい部分です。今回はSQL文をTemplateとして作成しておき、対象のMySQLに対して実行させるという方式で実装しました。

 MySQLのrootパスワード用に「mysql_pw」というAttributeを追加しましたので、cookbook/wordpress01/attributes/default.rbにも追加しておきます。追加したのは、7行目です。

default['wordpress']['wp_tar_name'] = 'wordpress-4.2.2-ja.tar.gz'
default['wordpress']['wp_dir'] = '/var/www/ec2.tokyo'
default['wordpress']['wp_tar_uri'] = 'https://ja.wordpress.org/wordpress-4.2.2-ja.tar.gz'
default['wordpress']['wp_tar_sum'] = '7e34ba580aed16c4fd769f033b0e7fa79b7c5813ba52e4496f14da0ac4451373'
default['wordpress']['httpd_conf_dir'] = '/etc/httpd/conf/'
default['wordpress']['vhost_domain'] = 'ec2.tokyo'
default['wordpress']['mysql_pw'] = '[MySQLのrootパスワード]'

 今回新規作成したcookbook/wordpress01/templates/default/wordpress.sql.erbの内容は以下の通りです。DB名・ユーザー名・パスワードは分かりやすいように「wordpress」としてありますが、実運用の際は適宜適切な文字列を指定してください。

CREATE DATABASE wordpress;
GRANT ALL PRIVILEGES ON *.* TO wordpress@"%" IDENTIFIED BY 'wordpress' WITH GRANT OPTION;
FLUSH PRIVILEGES;

 これでWordPress環境を構築するCookbookが完成しました。

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