Microsoft Officeの最新バージョンとなる「Office 2016」の提供が開始された。Office 365の管理者としては、Office 2016の新機能と変更点、社内への展開方法は確認しておきたい。
法人および個人向けのOffice 365ユーザーに対し、Windows版Microsoft Officeの最新バージョンとなる「Office 2016」の提供が2015年9月23日から開始された(※ボリュームライセンス利用の場合は10月1日より「ボリュームライセンスセンター」からダウンロード可能になっている)。
Office 2016は直感的に使えるデータ分析ツール「Power BI」の機能拡張をはじめ、さまざまなユーザーインターフェース(UI)の改良などが行われている。エンドユーザーは新しい機能やUIを活用することで、業務の効率化や生産性の向上が期待できる。今回は、新しいOffice 2016の「社内展開と更新方法」を確認しておこう。
Office 2016では、3種類の新しい「更新プログラム配信方法」(更新モデル)が用意された。この新しい更新モデルは、Windows 10でも採用されている。Officeアプリケーションの最上位バージョンである「Office 365 ProPlus」のライセンスを所有している企業は、以下の3種類の更新モデルを選択することができる。
従来、機能更新プログラムとセキュリティ更新プログラムは、ほぼ月1回のペースで配信されていた。これと同じ更新方法が「Current Branch(CB)」と呼ばれる更新モデルになる。
企業のOffice 365管理者としては、「機能更新プログラム」に関しては不具合が出ないかどうか、きちんと動作を検証してから社内に展開したいはず。「Office展開ツール(Office Deployment Tool)」で新しいビルド(更新プログラム)を事前にダウンロードして動作を検証し、その後に社内に展開するといった運用を行っている企業も多いだろう。
しかし、月1回の機能更新プログラムの配信は、かなり頻繁なペースである。Office 365の管理者が検証に十分な時間をかけることができなければ、社内への展開も滞る。その場合は、セキュリティ更新プログラムの社内展開も滞るため、安全な環境とは言いにくい状況になってしまう。
そのような事態が懸念されるため、Office 2016ではOffice 365 ProPlusのライセンスを保有している場合には、更新タイミングを選択できるようにしている。
「Current Branch for Business(CBB)」の更新モデルでは、機能更新プログラムの配信は4カ月ごと、つまり年3回になる。Office 365の管理者は4カ月ごとに新機能の検証と、社内展開に集中すればよいことになる。
しかし、CBBで運用する場合には注意が必要だ。まず、CBBで4カ月ごとに配信される機能は、前回配信時からの差分機能となることを理解しておく必要がある。管理者は、新たにOffice 365 ProPlusを利用するユーザーに対しては、従来からの更新方法であるCBでOffice 365 ProPlusを展開し、その後の更新からはCBBに切り替えるといった運用が必要になる。
また、CBBで配信される差分機能に対するセキュリティ更新プログラムは、8カ月間以内に取得しなければならない。8カ月後に2世代後の新機能が配信されるときには、以前のセキュリティ更新プログラムが取得できなくなるからだ。CBBを利用する場合には、8カ月以上更新を滞らせないように注意したい。
Office 2106では、機能検証を目的とした更新プログラムの配信方法として、「First Release for Current Branch for Business(FR CBB)」という更新モデルも用意されている。FR CBBでは本配信の4カ月前に新機能を入手できるため、検証に十分な時間を確保できる。
Office 2016の更新方法に関しては、以下のMicrosoft TechNetに掲載されているイメージ図を参照していただきたい(図1)。
Office 2016の更新プログラム配信方法の詳細は、以下のマイクロソフトのWebサイトを確認してほしい。
なお、CB、CBB、FR CBBの更新モデルは、Office 365の展開時にOffice展開ツールの構成ファイル「configuration.xml」で指定するか、「グループポリシー」で設定することが可能だ。
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