ここからは、企業内でのOffice 2016の展開方法を確認していこう。Office 365の管理者がユーザーにOffice 2016を展開する際には、「Office展開ツール」を利用するのが一般的だ。
Office 2016がリリースされたことで、Office展開ツールも新しいバージョンにアップデートされている。現在、Office 2013をOffice展開ツールで管理していても、Office 2016を利用する場合には新たなツールを以下のWebサイトからダウンロードする必要がある。
上記のWebサイトからダウンロードしたファイルには、「構成ファイル(configuration.xml)」と「実行ファイル(setup.exe)」が含まれている(画面1)。
Office 2016展開ツールの「configuration.xml」は、SourcePath属性の記述が省略されているので注意しよう。SourcePath属性に正しくパス(UNCまたはローカルのフォルダー)を指定しなかった場合は、ダウンロードエラーが発生する。詳細は以下のトラブルシューティングを参照してほしい。
前述した更新モデルの選択では「Branch」属性に以下のいずれかを記述する。
Office展開ツールの利用方法については、本連載第2回「Officeアプリケーションを展開する」を参考にしてほしい。
今回は、新しいOffice展開ツールを使ってローカルにOffice 2016をダウンロードし、インストールしてみる。管理者としてコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行する。
setup.exe /download <configuration.xml ファイルのパス>
数分で指定したフォルダーにOffice 2016がダウンロードされる。本稿執筆時点(2015年9月23日)では、ビルド番号は「16.0.4229.1024」となっている(画面2)。
続いて、以下のコマンドを実行するとOffice 2016のインストールが開始され、数分で完了する(画面3)。
setup.exe /configure <configuration.xml ファイルのパス>
Office 2013のインストールでは、解説画面の表示や「次画面へ」ボタンのクリックが必要だった。Office 2016では、インストール完了画面が表示されるまで、特に画面の確認やボタンをクリックすることもなく、放置しておくことができる(画面4)。
インストールが完了すると、Office 365 ProPlusで導入したOffice 2013からOffice 2016にインプレースアップグレードされていることが確認できる(画面5)。
Office 2016では、「グループポリシー」を利用して展開することも可能だ。まずは、以下のWebサイトから「Office 2016用のグループポリシーテンプレート」(ADMX/ADMLファイル)をダウンロードする。
ダウンロードしたグループポリシーテンプレートをドメインコントローラーにコピーすると、「グループポリシー管理エディター」上の「コンピューターの構成」−「管理用テンプレート」に「Microsoft Office 2016」が表示される(画面6)。ここから「セキュリティ設定」や「更新」などをカスタマイズできる。
グループポリシーの詳細設定画面では、更新の制御やダウンロードする場所などを細かく指定することができる(画面7)。
これまでのOffice展開ツールは、XMLファイルベースで細かい属性を指定する必要があった。そのため、XMLファイルの扱いに不慣れな管理者にとっては難易度が高かったようだ。
Office 2016からは、Active Directoryの管理者であれば、なじみ深いグループポリシー設定のUIで操作できるため、より管理の幅を広げることができるだろう。
Office 2016では今回紹介した展開や更新方法の他にも、多要素認証の変更やADAL(Active Directory Authentication Library)のサポートなど、管理者が注目すべき機能が実装されている。次回以降、順次紹介していく予定だ。
株式会社IPイノベーションズ所属のマイクロソフト認定トレーナー。主に、Windows Server Active Directory、SQL Server、Office 365などを担当し、マイクロソフト認定コースや要望に沿ったカスタマイズコースを実施している。Microsoft MVP for Office 365(Jul 2015 - Jun 2016)を受賞。
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