ITシステムの「ゴールキーパー」――ITサービスエンジニア(保守運用・監視/オペレーションエンジニア/ヘルプデスク/テクニカルサポート)ITエンジニア職業図鑑(3)(2/3 ページ)

» 2015年12月17日 05時00分 公開

ITサービスエンジニアのやりがい

 ITシステムは、企業内インフラや社会インフラなど、企業のビジネスや人々の暮らしを幅広く支えるものとして欠かせないものだ。ITサービスエンジニアは、それらを「守る」使命感を感じられる職種だ。システムが停止したら銀行のATMから引き出しや振り込みができなくなるし、小売業の発注や物流が止まって商品が買えなくなる。ITサービスエンジニアの仕事が人々の日々の生活や企業の業務に与える影響は非常に大きい。

 ITサービスエンジニアは、サッカーでいうと「ゴールキーパー」に例えられる。シュート(問い合わせ、依頼、トラブルなど)からゴールを守るだけでなく、ボールが来なくともゴールに張り付き、ディフェンスの現状を把握し、指示を送り続けて守りを「改善」し続けることが求められる。

 万が一のトラブルへの臨戦準備を、常に整えておかなければならないこともあるため、体力や集中力を要するが、トラブル件数の減少など、日々の運用を通して改善を行った結果が形となって実感できるという、他の職種では味わえない魅力がある。

 近年は、「守り」の運用だけでなく、顧客の要望に柔軟かつスピーディに応えるための取り組みといった「攻め」の運用も着目されており、あるべき姿への追究には終わりがない。

ITサービスエンジニアに必要なスキルは?

 システムを保守・運用するには、「システム自体の作り(基盤、アプリケーション、プログラムソースなど)」や「システムの利用者や業務の環境や特性など」を把握する必要がある。ただしこれらは必要スキルというよりは「必要知識」であり、意欲的に学ぶ(吸収する)姿勢が重要だ。

 保守・運用では、正常に稼働しているかを常時確認(監視)する場面が多い。監視方法は「1 機械・ツール監視」と「2 有人監視」に分かれる。「2」で全て対応するのは不可能なので「1」を併せて対応することが多く、ツール類の「操作方法(コマンドなど)」の知識を率先して学ぶ姿勢が重要だ。

 保守・運用は、顧客の管理者や利用者からの連絡を、電話やメールなどで頻繁に受ける。相談や問い合わせ、依頼など、相手の用件を整理し、その記録を関係者と共有し、自ら解決に導けるか、関係者にエスカレーションが必要かを判別するなど、周囲との「コミュニケーション力」や「思考力」「判断力」も重要になる。誤った回答をすると問題が大きくなる場合があるため、「確認を怠らない姿勢」も重要だ。

ITサービスエンジニアに向いているのはどんな人?

 保守・運用は、決められたプロセスや対応方法に沿った「定型的な仕事」に加え、保守・運用業務を企画・計画・改善したり、顧客(管理者、利用者)に提案したりする「非定型的な仕事」もある。

図2 ITサービスエンジニアの仕事のタイプ

 よって、仮に目立たなくとも「着実に仕事をこなす人」「人や物の役に立つことに喜びや使命感を感じられるマインドを持っている人」は、ITサービス担当者(オペレーター)に向いていると言えよう。

 なお、保守・運用の仕事はシフト体制を組み、休日出勤や夜勤などがある場合も多い。そのため、「不規則な勤務スタイルにも抵抗が少ない人」が向いている。

 ITサービス管理者(マネジャー)は、「リーダーシップ」を持って統率し、企画・計画・提案・実行と「行動」することが好きな人が向いているだろう。

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