2015年後半に提供開始された新たなSPARCサーバーは、「T7サーバー」が3機種、「M7サーバー」が2機種、そして「Oracle SuperCluster M7」だ。
前世代までのSPARCプロセッサーは、高スループットを望むシステム向けのTシリーズ(SPARC T5プロセッサー搭載)と、エンタープライズ向けのMシリーズ(SPARC M6プロセッサー搭載)に分かれており、サーバー製品としても“T”と“M”の2系統で提供されていた。しかし、今回新たに投入する製品は、T7サーバー、M7サーバーのいずれもプロセッサーには新しい「SPARC M7」を搭載し、ソケット数違いでシリーズを分けている。T7サーバーは1、2、4ソケット形の3機種、M7サーバーは8、16ソケット形の2機種で構成する。
また、従来「もっともパワフルなデータベースマシン」と位置付けていた「Oracle SuperCluster M6」もSPARC M7プロセッサーに更新され、最上位構成では16ソケット(512コア)まで拡張される。
今回のコンバージドインフラストラクチャ戦略を特徴付けているのが「SPARC M7」プロセッサーだ。
ドナテリ氏はSPARC M7およびSPARC M7搭載ハードウエアの特徴として「初のシリコン(プロセッサー)内のコンバージドインフラ」「Security in Sillicon」「高速」という3点を挙げた。「初のシリコン内の〜」とは、同社が数年前から“Software in Sillicon”と言っていた戦略的な取り組みで、Oracle Databaseの機能の一部をプロセッサー側にオフロードして高速に処理するものだ。クエリ高速化やデータ圧縮/伸張処理をハードウエア処理し、高速化を図る。ドナテリ氏は「データベースとプロセッサーを含めたハードウエアの両方を自社で開発できるオラクルならではの取り組み」と強調する。
Security in Silliconは、上記と同様に「セキュリティ機能をプロセッサーに内蔵」してハードウエア処理で実行する技術だ。多くの暗号化方式に対応したアクセラレーター(Crypto Accelerators)をプロセッサーあたり32本搭載し、独自のメモリ保護機能に加え、暗号化処理におけるパフォーマンス劣化の課題を解決する。米オラクルのラリー・エリソン氏もOracle OpenWorld 2015で「データ暗号化は絶えずオン。それがクラウドサービスにおけるオラクルのポリシー。プロセッサーレベルで実現できるのは世界でも数少ない。また、VenomもHeartbleedも、SPARK M7があれば問題がなかった」と他社クラウドに対する優位性を述べていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.