あなたは、なぜITエンジニアという職業を選んだのか?――人材育成歴30年の田中淳子さんが、職業人生の節目節目で受け取ってきた言葉たちを紹介する本連載。今回は新年らしく「仕事の原点」を考える。
人材育成歴30年の田中淳子さんが、人生の先輩たちから頂いた言葉の数々。時に励まし、時に慰め、時に彼女を勇気付けてきた言葉をエンジニアの皆さんにもお裾分けする本連載。
前回は良い仕事をするために必要なものは何かを考察した。今回は、新年第1回目ということで「仕事の原点」を考える
「キャリアは轍(わだち)だ」と言われることがある。
人生を一本の道だとしたら、その道を振り返ると、今までの経験が轍となって残っている。それを見れば、「あの辺りは迷わず真っすぐ歩いていたな」「あのときはずいぶん回り道をしていたな」「そうそう、あそこでは立ち止まって右か左か迷ったのだな」と理解できる。
轍にはスタート地点があるはずだ。それが「原点」である。
これまで多くのITエンジニアの「職業の原点」を聞いてきた。「どのようなきっかけや理由によって、ITエンジニアという職業を選んだのですか?」こう問うと、実にさまざまな「原点」を聞かせてくれる。
ある製造業のシステム子会社で入社5年目になる男性はこう語ってくれた。
新卒就職のとき、最初は大きなモノを作りたいと思い、製造業の会社ばかり見ていました。しかし、ある会社の説明会で、そこのシステム子会社の話を聞いて、「あ、ITもモノ作りだなぁ。考えようによっては、とても大きなモノ作りだなぁ」と思いました。それから業界や企業研究をし直して、今はITエンジニアをやっています
手に職を付けたいと思って、大学は情報系の学部に進みました。在学中にITの資格を取ろうと家で勉強していたら、父がやたらと詳しくて。いろいろアドバイスしてくれるので、「なぜだろう?」と思ったら、ITエンジニアだったんです!(笑)。
それまで父の職業なんて詳しく知らなかったのですが、それからいろいろ話して、結果的に父と同じ職業に就きました
こう語ってくれたのは、システム開発企業入社4年目の女性だ。
公共系システムを開発している企業に入社したばかりの新入社員は、目を輝かせながら話してくれた。
ITって世の中の全てに関係するじゃないですか。社会の仕組み、人の生活、いたる所に関わっていて、「スゴいなぁ」と思ったんです。「ITの仕事に就けば、世の中のあらゆることを勉強できるし、世の中に貢献できるなぁ」と考えて、わくわくしながら会社に入りました
ベテランは思い出すのに時間がかかるものの、じっくりと会話していると思い出すようだ。
学生時代に研究していた分野があって、それに近いことをこの会社でもやっているって教授に教えてもらったんです。「研究分野と何らかの接点が感じられる会社がいいな」と思い、入社しました。
結局、今はその分野には関わりがないんですけれど、「研究を生かしたい」と考えていた初心を思い出しました
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