@ITゆかりの方々、カッコいいエンジニアの皆さんにお話を伺う本シリーズ、今回は日米で活躍する開発者 増井さんに、エンジニアが進化し続けるために必要なマインドセットについて解説してもらう
いまエンジニアとして働いている人の中には、管理職などにならず一生エンジニアとして生きていきたいと考えている人もいるでしょう。その場合、次々と育っていく若いエンジニアに負けないために、年を重ねるとともにエンジニアとして進化し続けていかなければなりません。そのためには何が必要か考えてみましょう。
エンジニアとして進化し続けるためには、常に勉強し続けることが求められます。しかし新しく面白そうな技術が次々と生まれている今、漫然と新しいことを勉強していても、一線のエンジニアとして長く生き残ることは難しいでしょう。
必要なのは、正しいタイミングに正しい方向で努力していくことです。
そうは言っても、それを実際に継続して行うのは非常に難しい。そこで、私は数カ月〜1年ぐらいのスパンで考える「チャレンジ」と、5〜10年の長期スパンで考える「目標」の2つに分けて設定し、それを念頭に置いて行動するようにしています。
チャレンジは要素技術やプロダクトなど実際に手を動かしていくものを、目標は自分の生き方や方向性を決定づけるものを設定します。
2004年に私は、学生のころ起業した会社を畳み、フリーランスになりました。フリーランスになってから、自分がどのようにして働いていくのかを考え、「知名度を上げ、それで仕事をする」と決めました。
私はコード以外にも、文章を書いたり講演をしたりするのが好きだったため、それを生かして知名度を上げ、それを利用して仕事をしようと考えたのです。それから約10年たち、自分で満足のいく結果を出せたと自負しています。
今は「英語圏でも自分の納得のいく仕事をできるようにする」という目標の基に活動しています。この目標は5年ぐらい前から考え始めたものです。
目標は、ある日突然「これをやろう!」としっかり決まるものではなくて、何となく「面白そうだな、そうなりたいな」と思い、ちょこちょこと活動していくうちに、少しずつ明確になったりします。
英語圏に関する目標も、2005年からRuby on Railsでの開発を始め、英語ができないことのハンデを感じ、それを克服するために渡米したことが始まりです。渡米してから、1年ぐらい後に働き出すまでは、この目標をあまり明確に意識していなかったと思います。最初は「英語を覚える」というチャレンジでした。
しかし、米国で仕事をしたり、Rubyのコミュニティに参加したりするうちに「英語圏でも仕事して認められるようになりたい」と思うようになりました。
そこで、渡米して1年半ほどたった2010年に「自分の知らない英語圏のコミュニティに参加して、認められる」という「チャレンジ」を設定しました。この時に、初めて長期の目標として「英語圏でも自分の納得のいく仕事をできるようにする」ということが自分の中で見えてきました。
いろいろ考えた結果、ちょうど仕事でも使うことの多かったJavaScript関係ということで、Node.jsとTitanium Mobileのコミュニティに参加しました。しかし、Node.jsではパッチを作成して受け入れられ、AUTHORSに名前が載ったところで満足してしまい、それ以上の活動は行いませんでした。
Titanium Mobileでは、パッチを送ったりチャットで開発者と話をしているうちに、開発元であるAppceleratorに誘われ、その年の末に入社することとなりました。
その後、チャレンジとしてMobiRubyやwri.peなどのプロダクトを作り、英語圏向けにリリースしてきました。まだ結果が出ているとはいえませんが、RubyConfで英語で発表を行うなど、少しずつ成果は出ています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.