何歳であっても、なぜ自分が現在の職業に就いたのかを言葉にしてみることには意味がある。「原点」だけではなく、「原点から今に至る道」をざっくりと言葉にするのもよいだろう。
原点に立ち返れば、何らかの思いや考え、夢や希望が少なからずあったことを思い出せる。今に至る道を思い起こすことで、そのときどきの選択や考えも明確にできるだろう。
元気をなくしている人も、後ろ向きな気持ちになっている人も、「そもそも自分はこういう理由で今の職業を選んだのだ」「そこから今に至るまでにこんな選択をしたのだ」をじっくり思い出してみる。すると、もともと持っていた仕事への思いや今まで関わってきてくれた人々のこと、交わした会話、掛けられた言葉などまでもが頭に去来し、再び元気が湧いてくるのではないだろうか
どういう道を歩んでいようと、原点から現在に向かって「轍」は続いている。今の自分は、自分が残してきた轍の先頭に立っていて、これからもまた新たな轍を残していく。
ある会で「原点」と「今に至る道」を話していただいた後に、40代の男性が語っていた話は印象的だった。
もう40代ですし、家族も増えましたし、「若いころのように自分の思いだけで仕事はできない」と、無意識に封印していることがたくさんあると気付きました。
でも、「原点」を思い出し、皆さんに話しているうちに、今の環境でも、まだ挑戦できること、やれることがあるじゃないかと思えてきました
あなたの「原点」は何だろう? どこから今の職業生活がスタートしたのだろう? その時どんな思いを抱えていたのだろう? 何を考えて今の道を選んだのだろう?
2016年の幕開け。「職業の原点」を思い出し、誰かに話してみてはいかがだろうか。それは、「郷愁に浸る」ためではなく、「今これからのキャリアを考える」ために意味のあることだ。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1986年 上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで、延べ3万人以上の人材育成に携わり28年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。
日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。著書:「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)など多数。電子書籍「『「上司はツラいよ』なんて言わせない」(ITmediaのebook)、「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”――職場で役立つ30のコミュニケーション術」(ITmediaのebook)
ブログ:田中淳子の“大人の学び”支援隊!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.