日本オラクルは、アプリケーションサーバソフトウェアの最新版「Oracle WebLogic Server 12c R2」を提供開始。マルチテナント、継続的可用性、開発生産性向上の3つに大きく注力した。
日本オラクルは2016年2月16日、アプリケーションサーバソフトウェアの最新版「Oracle WebLogic Server 12c R2」を提供開始すると発表した。新たにマルチテナントや、最新のJavaプラットフォームに対応し、可用性を向上させた。
マルチテナント機能を利用すると、1つのWebLogic Serverドメインで複数のアプリケーションを管理できる。従来は、複数のアプリケーションを管理するのに、アプリケーションごとに物理サーバまたは仮想サーバ単位でWebLogic Serverドメインを構成する必要があった。
さらに、従来は管理者権限がWebLogic Serverドメイン単位でしか設定できなかったのに対して、新バージョンではテナントごとに設定できるようにし、アプリケーション利用者の認証もテナントごとに可能とした。
これにより、物理サーバや仮想サーバを集約でき、データセンターの省スペース化やコスト削減が図れるとしている。オラクルの検証によると、マルチテナント化することでサーバの台数、つまりハードウェアリソースを約3分の1に削減できたという。
マルチテナント機能について、オラクル 製品管理担当バイスプレジデント マイク・リーマン氏は次のように語る。「WebLogic Serverドメインの削減により、Java VMの運用作業、例えばパッチの適用や保守のコストを削減できる。アプリケーションやリソースを『マイクロコンテナ』としてZIPファイルでパッケージングすることで、1クリックでプロビジョニング、インポート/エクスポートが可能。これにより、Oracle Java Cloud Serviceなどクラウド環境/オンプレミス環境間の移行やハイブリッドクラウド環境への対応も容易になった」。
可用性に関しては、新たに「WebLogic Server Continuous Availability」(継続的可用性)を備えた。これは、「アプリケーションサーバの無停止運用を可能にする機能。99.999%の可用性を実現する」(リーマン氏)という。
例えば、「マルチテナントライブパーティションマイグレーション」機能によって、あるWebLogic Serverドメインで稼働中のテナントを、別のWebLogic Serverドメインに移せる。ハードウェアのメンテナンスといった計画停止時でも、連続稼働を可能にする。
さらに、複数のデータセンター間で「アクティブ/アクティブ構成」を採ったり、フェイルオーバーに対応したりすることで、地理的に離れたデータセンターの間でトランザクションを保護したり、オンラインで自動的にパッチを適用する「ゼロダウンタイムパッチング」を行ったりすることが可能になる。
また、マルチデータセンター機能については、「データセンターの構築設定と切り替え/フェイルオーバーを自動化し、運用リスクとエラー発生を削減する」(リーマン氏)という。
一方、Javaプラットフォームについては、Java EE 7との完全な互換性を備えることで、RESTやJSON、JMS、WebSocketなどに対応するとともにJava SE 8の認定を受けている。さらに、DockerやMaven、Jenkins、Arquillian、Hudsonなど、コンテナ仮想化、ビルド/CIに対応することで、「開発者の生産性を向上する」としている。
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