第2回と第3回、そして、今回行ったWordPress高速化チューニングの効果をまとめると以下になります。
チューニング内容 | ページのロード時間 (デフォルト環境比) |
1秒当たりの同時アクセス数 (Requests per second) |
---|---|---|
デフォルト環境 | 176ms | 11.24 |
APCの導入 →チューニング方法をおさらい |
70ms(約251%) | 29.20 |
OPcache+APCuを導入 →チューニング方法をおさらい |
66ms(約266%) | 30.51 |
MariaDBの設定を調整 →チューニング方法をおさらい |
64ms(約275%) | 31.82 |
翻訳アクセラレータを導入(キャッシュ) →チューニング方法をおさらい |
53ms(約332%) | 39.29 |
翻訳アクセラレータを導入(翻訳を停止) →チューニング方法をおさらい |
36ms(約488%) | 56.78 |
gzip圧縮を用いる →チューニング方法をおさらい |
35ms(約502%) | ─ |
Tunedの調整 →チューニング方法をおさらい |
34ms(約517%) | 58.47 |
event MPM+php-fpm構成に変更 →チューニング方法をおさらい |
33ms(約537%) | 60.79 |
AWSユーザーならば場合によって…… →チューニング方法をおさらい |
31ms(約567%) | 71.76 |
CentOS 7標準のリポジトリを利用して、ページキャッシュを利用しない範囲で「約5.4倍」のパフォーマンス向上を果たせました。
Amazon Web Services(AWS)利用者向けの裏技を紹介します。今回検証で利用した仮想マシンはAWSのAmazon EC2 t2.mediumインスタンスですが、Amazon EC2のインスタンスが利用するCPUは、仮想マシンを起動するタイミングで割り当てられます。必ずしもいつも同じCPUが割り当てられるのではなく、近い性能のCPUが割り当られる場合があります。
今回は当初、「Xeonプロセッサー E5-2670 v2」が割り当てられていましたが、検証作業で何度か停止/起動を繰り返していると、新しいE5-2600 v3ファミリーである「Xeonプロセッサー E5-2676 v3」が割り当てられました。このCPUが割り当てられると、event MPM+php-fpm構成の導入後のパフォーマンスでページのロード時間が31ms、Requests per secondは71.76となり、さらに約18%のパフォーマンス向上となります。
次回は、今回の環境をさらにチューニングする、CentoOS 7標準のリポジトリに限定しない場合とページキャッシュの導入も含めた「さらなる高速化テクニック」を解説します。高速であるという点のみではありますが、プライム・ストラテジーが開発し、無償提供しているWordPress仮想マシン「KUSANAGI」に匹敵するレベルまで速さを追究する予定です。お楽しみに。
1971年栃木県生まれ。中学1年生で電波新聞社の『マイコンBASICマガジン』にプログラムを寄稿して以来、プログラミング歴30年。早稲田大学法学部を卒業後、野村證券に入社。公認会計士第二次試験合格。2002年にプライム・ストラテジー株式会社を設立、代表取締役に就任する。2005年にPT. Prime Strategy Indonesiaを設立して以来、アジアでのITビジネスに携わる。執筆監訳書籍に『WordPressの教科書』シリーズ(SBクリエイティブ)、『詳解 WordPress』『WordPressによるWebアプリケーション開発』(ともにオライリー・ジャパン)などがある。
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