【7/8.1からWindows 10へのアップグレード】クリーンインストールで安定的な環境を構築するTech TIPS(2/2 ページ)

» 2019年08月29日 05時00分 公開
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アプリケーション設定の移行にはクラウド同期機能が便利

 ユーザーデータと比べると、アプリケーションの設定の移行は少々厄介だ。以下、容易で柔軟な方法から説明する。

 まず、対象のアプリケーションに設定などをクラウドと同期(バックアップ)する機能があるなら、それを利用するのが手っ取り早い。

 Webブラウザを例に挙げると、Google ChromeやMozilla Firefoxならアカウントを登録するだけで設定(ブックマークやアドオン、Cookie、パスワードなどを含む)をクラウドにバックアップできる。移行後に同期アカウントを再設定すれば、自動的に元の設定が反映される。

 Internet Explorer(IE)でも、Windows 8.1+IE+Microsoftアカウントという構成で運用しているなら、自動的にお気に入りや履歴、パスワードなどが同期されるようになっている。

 これならモバイル端末とPCの間で、ブックマークや閲覧履歴などを共有できるというメリットも享受できる。

Google Chromeのクラウド同期設定の例 Google Chromeのクラウド同期設定の例
Google Chromeの場合、GoogleアカウントでChrome自体にログインした後でメニューボタンから[設定]−[同期とGoogleサービス]−[同期の管理]をクリックすると、この画面が表示される。事前に各種設定やブックマーク履歴、パスワードなどをクラウドに同期(バックアップ)しておいて、Windows 10移行後にChromeをインストールして同期も再セットアップすれば、設定の移行は自動で完了できる。

 Webブラウザに蓄えられてきたIDとパスワードについては、クラウドベースのパスワード管理ツールに移行するという手もある。ツールのセットアップ時にWebブラウザからID/パスワードが自動的にエクスポートされ、クラウド上のセキュアな領域に保存される。以後はWindows 10のインストール後にツールを再セットアップすれば、自動的にID/パスワードを入力フォームに記入できるようになる。

アプリケーション設定の移行にはインポート/エクスポート機能も有用

 クラウド同期機能の次に確認したいのは、アプリケーションに設定のエクスポート/インポート機能が備わっているかどうかだ。

 例えばIEの場合、[ファイル]メニュー−[インポートとエクスポート]からお気に入り(ブックマーク)やCookie、RSSフィードをファイルにエクスポートし、それを別のPC/Windows OSにインポートすることで、これらを移行できる。Microsoft Edgeの場合は、Internet Explorer 11からEdgeにお気に入りをインポートする機能が利用できる。

Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(1) Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(1)
IEで[Alt]キーを押してメニューバーを表示させてから、[ファイル]−[インポートとエクスポート]をクリックすると、このウィザードが起動する。
Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(2) Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(2)
[ファイルにエクスポートする]を選択する。Windows 10に移行後、ここで[ファイルにインポートする]を選択して、保存したデータを読み込めばよい。
Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(3) Internet Explorer(IE)のインポート/エクスポート機能(3)
IEに登録されているお気に入り(ブックマーク)とCookie、RSSフィードをエクスポートする。

 また、ファイル共有やリモートデスクトップなどで他のWindows PCに接続するのに必要な認証情報(資格情報)も、[コントロールパネル]の[資格情報マネージャー]にある[資格情報コンテナーのバックアップ]/[資格情報コンテナーの復元]によってエクスポート/インポートできる。

認証情報(資格情報)をバックアップする 認証情報(資格情報)をバックアップする
[コントロールパネル]の[資格情報マネージャー]にある[資格情報コンテナーのバックアップ]をクリックすると、資格情報がバックアップできる。

手動でのアプリケーション設定の移行は面倒で難しい

 以上の2つの機能が見あたらなければ、手動で設定を移すことになる。アプリケーションの設定は通常、次の場所に保存されていることが多い。

  • %UserProfile%\AppDataフォルダ以下にある設定ファイル
  • %ALLUSERSPROFILE%(デフォルトではC:\ProgramData)フォルダ以下にある設定ファイル
  • HKCU\Softwareキー以下にあるレジストリエントリ
  • HKLM\SOFTWAREキー以下にあるレジストリエントリ

 設定ファイルは、事前にコピーしておいて、移行後に同じフォルダへコピーする。レジストリの場合は、レジストリエディタあるいはregコマンドなどを使って事前に該当エントリを.regファイルにエクスポートし、移行後に同じエントリにインポートする。その後にアプリケーションを再インストールする。

 事前にレジストリをエクスポートし忘れた場合は、システムドライブのフルバックアップからレジストリの実体ファイル(ハイブファイル)を抽出して、そこからオフラインのままエクスポートすることも可能だ。

 ただし、これらの方法で正常に移行できるかどうかはアプリケーションに依存する。それに、アプリケーションごとに設定ファイルやレジストリエントリのありかを見つけるのも難しい。うまく移行できない事態を想定して、原始的だが設定画面のスクリーンキャプチャーも撮っておく、あるいは設定項目をメモするといったことも検討した方がよい。

クリーンインストールを実行してみよう

 ここまでの説明を踏まえて、Windows 10のインストール手順を説明しよう。

Windows 10のインストールUSBメモリを作成する

 Windows 10をクリーンインストールするには、まずTIPS「【Windows 10】『メディア作成ツール』でインストールUSBメモリを作る」を参考にして、起動可能なUSBメモリまたはDVD-Rを作成する(以下ではUSBメモリを前提に説明する)。

Windows 10のインストールUSBメモリを作成する(1) Windows 10のインストールUSBメモリを作成する(1)
Windows 10のダウンロード」ページを開き、[ツールを今すぐダウンロード]ボタンをクリックする。

 このときダウンロードされるインストールイメージは、機能アップデートなどが提供されるたび、新ビルドに更新されているので、必要なときにダウンロードし直して、なるべく最新版を利用するのが望ましい。

Windows 10のインストールUSBメモリを作成する(2) Windows 10のインストールUSBメモリを作成する(2)
インプレースアップグレードする場合は、「このPCを今すぐアップグレードする」を選択する。今回はクリーンインストール用のUSBメモリを作成するので、下側の「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択してウィザードを進める。

Windows 10のインストールウィザードの進め方

 作成したインストールUSBメモリをWindows 10にアップグレードしたいPCに差し、このUSBメモリから起動する(BIOSで起動の順番を設定するか、[F12]キーなどを押してUSBメモリから起動するようにすること)。[Windowsセットアップ]ウィザードが始まったら、指示に従って進める。次の[Windowsのライセンス認証]画面が表示されたら、購入したWindows 10のプロダクトキーを入力する。

 無償アップグレード期間中に一度、Windows 10にしている場合は、前述の通り「デジタル登録情報」が保存されているため、新たなWindows 10のプロダクトキーは不要だ。この場合は、[ライセンス認証]画面でプロダクトキーを入力せず、[プロダクトキーがありません]リンクをクリックして、インストールを進めればよい。プロダクトキーまたは前述のデジタル登録情報が確認できると、以下のライセンス条項の画面が表示されるので、次に進める。

 次の「インストールの種類を選んでください」では、[カスタム: Windowsのみをインストールする (詳細設定)]を選ぶ。

 次の「Windowsのインストール場所を選んでください」画面では、インストール先のパーティションを選択する。これでインストールファイルのコピーなどが始まる。

Windows 10をインストールする(1) Windows 10をインストールする(1)
作成したインストールUSBメモリから起動すると、この画面が表示される。内容を確認して[次へ]ボタンをクリックする。
Windows 10をインストールする(2) Windows 10をインストールする(2)
[今すぐインストール]をクリックして、ウィザードを進める。
Windows 10をインストールする(3) Windows 10をインストールする(3)
購入したWindows 10のプロダクトキーを入力する。無償期間にWindows 10にアップグレードしたことがある場合や、インストール後にアクティベーションする場合(後述)は、[プロダクトキーがありません]をクリックしてウィザードを進める。
Windows 10をインストールする(4) Windows 10をインストールする(4)
「インストールの種類を選んでください」では、[カスタム: Windowsのみをインストールする (詳細設定)]を選択する。
Windows 10をインストールする(5) Windows 10をインストールする(5)
インストール先のパーティションを選択する。Windows 7を削除して完全にクリーンインストールする場合は、パーティションを削除してから、インストール先ディスクを選択する。
Windows 10をインストールする(6) Windows 10をインストールする(6)
現状のWindows 7のシステムは[Windows.old]フォルダに移動される。警告ダイアログを読んで[OK]ボタンをクリックする。

 しばらく待っていると、Windows 10の簡単設定の画面が表示される。ここからはインプレースアップグレードとほぼ共通だ。元のシステムは、[Windows.old]フォルダに保存されるので、不要になったら、このフォルダを削除すればよい。

Windows 10へのアップグレード後のエクスプローラー Windows 10へのアップグレード後のエクスプローラー
元のシステムは、[Windows.old]フォルダに保存される。

 もしサードパーティー製移行支援ツールを使うなら、インストール中に作成する最初のユーザーアカウントは、元のWindows 7/8.1には存在しない名前のアカウントにした方がよい。データ/設定の移行時に同じ名前のアカウントが存在していると、自動的な移行に失敗することがあるからだ。

 逆にツールを使わずに移行する場合は、Windows 7/8.1で利用していたのと同じ名前のユーザーアカウントを作成する必要がある。

ライセンス認証が完了しているか確認する

 Windows 10のインストールウィザードが完了しても、ライセンス認証が完了していないことがある。それを確認するには、管理者アカウントでサインインしてからスタートメニューより[Windowsの設定]アプリを起動する。ライセンス認証が未了の場合、その旨が設定アプリの下端に表示される。

 その場合は、以下の手順でプロダクトキーを指定して、ライセンス認証を完了させる。

アクティベーションを実行する(1) アクティベーションを実行する(1)
アクティベーション(ライセンス認証)が終了していないと、[Windowsの設定]アプリに、このメッセージが表示される。アクティベーションを実行する場合は、このメッセージをクリックする。
アクティベーションを実行する(2) アクティベーションを実行する(2)
[更新とセキュリティ]の[ライセンス認証]画面が開く。ここで、[プロダクトキーを変更します]をクリックする。
アクティベーションを実行する(4) アクティベーションを実行する(3)
Windows 10のプロダクトキーを入力して、[次へ]ボタンをクリックする。
アクティベーションを実行する(4) アクティベーションを実行する(4)
[ライセンス認証]ボタンをクリックすると、インターネット経由でライセンス認証が実行される。
アクティベーションを実行する(5) アクティベーションを実行する(5)
アクティベーションに成功するとこのダイアログが表示される。
アクティベーションを実行する(6) アクティベーションを実行する(6)
[更新とセキュリティ]の[ライセンス認証]画面が開くと、ライセンス認証されているメッセージに変更されている。

■更新履歴

【2019/08/29】最新の状況に合わせて記事を更新しました。

【2016/04/08】初版公開。


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