HoloLens用Unity 5のプロジェクトをUWPとして書き出しエミュレータで動かすHoloLens Emulatorアプリ開発入門(3)(1/3 ページ)

拡張現実(AR)用ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」のエミュレーターを使ってHoloLens用アプリの作り方を解説する本連載。今回は、HoloLens用Unity 5で簡単なUnityプロジェクトを作成し、それをUWPに書き出してHoloLens Emulatorに配置する方法について。

» 2016年04月25日 05時00分 公開
[薬師寺国安PROJECT KySS]

HoloLens用Unity 5でアプリを作る

 マイクロソフトの拡張現実(AR)用ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」のエミュレーターを使ってHoloLens用アプリの作り方を解説する本連載「HoloLens Emulatorアプリ開発入門」。

 前回の「Universal Windows Platformで作成したプロジェクトをHoloLens Emulatorに配置する」では、Visual Studio 2015 Update 2(以下、VS2015)を使って作った、簡単なUniversal Windows Platform(UWP)アプリをHoloLens Emulatorに配置させた。

 今回は、UnityプロジェクトをUWPに書き出しVS2015で読み込んで、HoloLens Emulatorに配置する方法を解説する。今回使用するUnityは、連載初回の「HoloLensのAR世界を疑似体験できる、エミュレーターの基礎知識とインストール、基本的な使い方」でインストールした、「Unity Hololens 5.4.0b10-HTP(64-bit)」を使用する(以降「Unity5」と表記)。

 なお本稿では、ロボットのキャラクターがダンスを踊る簡単なUnity5プロジェクトを作る手順も解説している。Unity5で作ったプロジェクトを他に既に作ってある場合は、「Unity5プロジェクトをHoloLensに対応させる設定」の章から読んでもらって構わない。Unityを初めて使う方のために、サンプルとして動かすUnity5プロジェクトの作り方も、一応記載しておく。

 また、Unity5の操作方法についてはある程度知っているものとして解説する。Unityについてあまり知らない方は、『ゲーム開発初心者のためのUnity入門』を読んでUnityに慣れておいてほしい。

HoloLens Emulatorに配置するUnity5プロジェクトの作成

 Unity5を起動し、「New」から、「Project name」に「RobotKyleHoloLens」と指定して、「Create project」ボタンをクリックする(図1)。

図1 「RobotKyleHololens」プロジェクトを作成する

 「RobotKyleHololens」プロジェクトの画面が表示される(図2)。

図2 「RobotKyleHololens」プロジェクトの画面

Asset StoreからAssetをダウンロードする

 図2の中央の画面の上に「Asset Store」と表示されているはずだが、表示されていない方は、Unity5のメニューから「Window」→「Asset Store」と選択すると表示される。この「Asset Store」をクリックすると、図3の画面が表示される。Unity5のSceneの画面内に表示されるが、見にくい場合は、Asset Storeタブの上でマウスの右クリックで表示される「Maximize」を選択すると、全画面で表示できる。

図3 全画面で表示したAsset Storeの画面

 Asset Storeからダウンロードするのは、下記の3つだ。

  1. Space Robot Kyle(無料)
  2. Free Music Pack(無料)
  3. Dance Mocap(有料)

 まず、「Search」の欄にKyleと入力すると「Space Robot Kyle」が表示されるので、これをクリックする。「Space Robot Kyle」のImport画面が表示される(図4)。

図4 「Space Robot Kyle」のImport画面

 図4の画面から「Import」をクリックする。「Import Unity Package」画面が表示されるので、「Import」をクリックする(図5)。

図5 「Import」をクリックする

 同様な手順で2と3もダウンロードしておく。ただし、3の有料のAssetをダウンロードする場合は、クレジットカードの入力を求められるので、それに従う。支払いが完了するとダウンロードができるようになる。1度支払いを済ますと、以後は何度でもダウンロードが可能になる。

 全てダウンロードして、Asset Storeのタブを右クリックして「Maxmize」のチェックを外し、「Scene」画面を選択する。図6のようにProject内にダウンロードしたファイルのフォルダが追加されている。

図6 ダウンロードされたファイルのフォルダの一覧が表示される

Assetを配置する

 「Project」→「RobotKyle」→「Model」フォルダにある「RobotKyle.fbx」をScene画面上に、ドラッグ&ドロップして配置する。RobotKyleがカメラの方を向くようにTransformのRotationのYの値を「180」に指定しておく。こうするとRobotKyleはカメラの方を向く(図7)。

図7 RobotKyleをScene上に配置した

 HierarchyからRobot Kyleを選択し、Inspector内のModelの横にあるSelectを選択する(図8)。

図8 Selectを選択する

 すると、図9の画面が開くので、「Rig」を選択して、「Animation Type」に「Humanoid」を選択する(図9)。

図9 Humanoidを選択する

 図9から「Apply」ボタンを忘れずにクリックする。これで、再度HierarchyからRobot Kyleを選択する。すると、最初は「Animation」だったところが「Animator」に替わっていると思う。もし、最初から「Animator」が表示されている場合は図8〜9の手順は不要だ。「Animation」と表示されていた方のみ手順に従って「Animator」に替えてほしい。

Animatorの設定

 Animator内のControllerの横にある「○に・」のアイコンをクリックして、表示される、「SelectRuntimeAnimatorController」から「dance controller」を選択する(図10)。

図10 dance controllerを選択する

 次に、Controllerに表示されている「dance controller」を1回だけクリックしてほしい。すると、「dance Controller」のある場所が黄色で選択表示される。その「dance Controller」をダブルクックする。すると、図11のような「State」がいっぱい並んだ画面が表示される。

図11 dance ControllerのAnimatorの画面が表示された

 図11の画面で、まずオレンジ色の「High_Rhythem_Dance_01」の上でマウスの右クリックをして、表示されるメニューから「Make Transition」を選択する(図12)。緑色のEntryは邪魔になるので、ドラッグして邪魔にならない位置に移動させておく。

図12 Make Transitionを選択する

 「Make Transition」を選択すると線が表示されるので、次の「High_Rhythm_Dance_02」の上でクリックする。すると、これら2つのStateが線でつながれる。これを繰り返して、最後の「Moonwalk_Dance_01」まで線でつなぐ。最後まで行ったら、今度はやはりマウスの右クリックをして、逆方向に接続していく(図13)。

図13 各Stateを全て接続した。往復できるように接続している

Main Cameraの設定

 図13の連結ができれば、Hierarchyから「Main Camera」を選択する。TransformのPositionの値を全て0に設定する(図14)。

図14 Main CameraのPositionの値を全て0にする

 HierarchyからMain Cameraを選択してScene画面を表示する。Main Cameraの位置を変更したので、「Camera Preview」にはRobot Kyleは表示されていないはずだ。Main Cameraはそのままの状態にして、Robot Kyleを移動ツールで移動させて、「Camera Preview」に収まるようにする。図15のように表示されるくらいの位置にRobot Kyleを移動すればいいだろう。

図15 Robot Kyleを移動させてカメラ内に収まるようにした

 次にHierarchyからMain Cameraを選択したままの状態で、Inspector内のCameraの中にある「Clear Flags」が「Skybox」になっているので、ここを「Solid Color」に変更する(図16)。次に「Background」の中をクリックすると「Color」が起動するので、「真っ黒」を指定する。一番右下隅を選択すると「真っ黒」になるが、「真っ黒」かどうかを確認するには、Colorの「R」「G」「B」「A」の値が全て「0」になっていればOKだ(図16)。

図16  Clear Flags にSolid Colorを選択し、Backgroundに真っ黒を選択する

 すると、「Camera Preview」には図17のように表示されるはずだ。

図17 背景が黒で表示された()

Soundの追加

 次に音を追加する。HierarchyからRobot Kyleを選択して、Inspectorから「Add Component」ボタンをクリックして、「Audio」→「Audio Source」と選択する。すると、Inspector内にAudio Sourceが追加される(図18)。

図18 Audio Sourceが追加された()

 図18の画面から、「Audio Clip」の右端にある「○に・」のアイコンを選択する。「Select AudioClip」の画面が表示されるので、適当な音楽を選択する。今回は「Loop 16-145 bpm-loop」というのを選択してみた(図19)。実際に動かして気に入らなければ変更すればいい。また、図18の画面で音楽をずっと流すために、「Loop」にチェックを入れておく(図19)。

図19 「Loop 16-145 bpm-loop」の音楽を選択し、Loopにチェックを入れた

 では、これで1度実行してみよう。一番上の中央にある右向き▲をクリックすると実行される。動画1のようになる。

動画1 Robot Kyleが音楽に合わせてダンスを踊るUnity5プロジェクト

 これで、ロボットのダンスは完成だ。ここで、Unity5のメニューから「File」→「Save Scene as」と選択して、「Robot Kyle HoloLens」という名前で保存しておく。この保存を忘れないでほしい。なぜなら、今回使っている「Unity Hololens 5.4.0b10-HTP(64-bit)」がまだできたばかりで安定していないため、ここからの動作の途中で強制終了してしまう可能性があるからだ。

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