FreeBSD 10.3がMicrosoft Azureで正式サポートMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(18)

2016年6月より、AzureポータルのMarketplaceで「FreeBSD 10.3」のイメージが利用可能になりました。これは、FreeBSDのAzure仮想マシンを簡単にデプロイできるというだけでなく、FreeBSDがAzure仮想マシンで正式にサポートされるということでもあります。

» 2016年06月14日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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連載目次

MarketplaceのFreeBSD(発行元:マイクロソフト)イメージが意味するところ

 2016年6月より、「Azureポータル」(https://portal.azure.com/)の「Azure Marketplace」で、「FreeBSD 10.3」のイメージ(発行元:マイクロソフト)が利用可能になりました(画面1)。Linux仮想マシン(別途サポート料金が必要なSUSE Linux PremiumおよびRed Hat Enterprise Linuxを除く)と同じ、Azure仮想マシンのコンピューティング料金の基本料金で利用可能です。

画面1 画面1 Azure MarketplaceでFreeBSD 10.3(発行元:マイクロソフト)イメージが利用可能になった

 マイクロソフトは、広範囲のLinuxディストリビューション/バージョンをサポート(動作保証)しています。通常、Azure MarketplaceのLinuxイメージを利用する場合の技術サポートは、マイクロソフトは提供せず、Linuxイメージの発行元が無償または有償で提供することになっています。

 今回利用可能になったFreeBSD 10.3の発行元は「マイクロソフト」です。つまり、このFreeBSDのイメージを使用してデプロイしたAzure仮想マシンの技術サポートは、マイクロソフトが提供するということになります。また、Marketplaceで提供されるイメージは、動作保証テスト済みのイメージです。MarketplaceのFreeBSD 10.3イメージからデプロイしたAzure仮想マシンのFreeBSD 10.3は、「動作保証済み」ということでもあります。これまでFreeBSDは、Azure仮想マシンのサポート対象外のゲストOSでした。

FreeBSDとHyper-V/Azureの関係は意外と古い

 Hyper-VおよびMicrosoft Azureは、古くから広範囲のLinuxディストリビューション/バージョンをサポートしています。マイクロソフトは2009年に「Hyper-Vドライバ(Linux Integration Services:LIS)」のソースコードを、Linuxコミュニティーに提供しました。そして、Hyper-VドライバはGPL(GNU Public License)v2ライセンスに基づいて公開され、現在では主要なLinuxディストリビューションに標準でビルトインされています。

 マイクロソフトはFreeBSDについても、Hyper-VおよびMicrosoft Azureでサポートするべく、数年前からFreeBSDと協力して作業してきました。以下の2012年の記事は、「BSD向けのHyper-Vドライバ(FreeBSD Integration Services:BIS)」の初めてのβ版がリリースされたことを、マイクロソフトがアナウンスしたものです。

 2014年1月にリリースされたFreeBSD 10.0には、BSDライセンスのHyper-Vドライバが標準でビルトインされました。また、FreeBSD 8.x/9.x向けのHyper-Vドライバも「FreeBSD Ports」を通じて提供されています。そして、2014年10月には、Hyper-Vのサポート対象ゲストOS一覧にFreeBSDが追加されました。

 現在、Windows Server 2008 R2以降のHyper-Vでは、FreeBSD 8.4、9.1〜9.3、10.0〜10.4が正式にサポートされています(ただし、8.4、9.1、9.2、10.0は、FreeBSDによるサポートが既に終了)。

 また、オンプレミスのHyper-V環境で準備したFreeBSDイメージを、Microsoft Azureにアップロードして実行することも以前から可能でした(サポート対象外ですが)。Microsoft AzureでLinuxのカスタムイメージを実行する場合には「Azure Linuxエージェント」を組み込んでおく必要がありますが、Azure Linuxエージェントのバージョン「2.0.x」はFreeBSD 9以降に対応しています(最新バージョンは2.1.4)。

 MarketplaceのFreeBSD 10.3イメージにはビルトインのHyper-Vドライバに加えて、最新のAzure Linuxエージェントがインストールされているので、他のLinuxイメージと同様の操作で、簡単にAzure仮想マシンとしてデプロイすることができます(画面2画面3)。

画面2 画面2 FreeBSD 10.3イメージを使用すると簡単にデプロイできる
画面3 画面3 FreeBSD 10.3イメージには「Azure Linuxエージェント」が最初から組み込まれているため、ブート診断などの拡張機能も利用可能

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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