【 yum 】コマンド(基礎編)――ソフトウェア(パッケージ)をインストールする/アンインストールするLinux基本コマンドTips(42)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、「yum」コマンドです。

» 2016年08月29日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

「Linux基本コマンドTips」のインデックス

Linux基本コマンドTips一覧

 本連載では、Linuxの基本的なコマンドについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、ソフトウェア(パッケージ)のインストールやアンインストール、アップデートなどを行う「yum」コマンドの基礎編です。

yumコマンドとは?

 「yum」は、Red Hat系のLinuxディストリビューションで使われている“RPMパッケージ”を扱うためのパッケージ管理コマンドです。


yumコマンドの書式

yum [オプション] コマンド [パッケージ名など]

※[ ]は省略可能な引数を示しています



yumコマンドの基本操作

yum install パッケージ名

(パッケージおよびそのパッケージに必要なパッケージを同時にインストールする)

yum update パッケージ名

(指定したパッケージがインストールされている場合、アップデートする。パッケージを指定しなかった場合はシステム全体がアップデート対象となる)

yum erase パッケージ名

(パッケージをアンインストールする。指定したパッケージに依存するパッケージも削除するかどうかの確認メッセージが表示される)




yumの主なコマンド

 yumで使える主なコマンドは次の通りです。

●パッケージ操作関係
コマンド 実行内容
install パッケージをインストールする
reinstall パッケージを再インストールする
downgrade パッケージをダウングレードする
erase パッケージを削除する
update システムのパッケージを更新する
update-minimal 「重要な更新」だけを更新する
upgrade 不要になったパッケージを考慮しながらパッケージを更新する
distribution-synchronization 最新の利用可能なバージョンへインストール済みパッケージを同期する
localinstall パッケージファイル(RPMファイル)を指定してインストールする
localupdate パッケージファイル(RPMファイル)を指定してアップデートする

●情報関係のコマンド
コマンド 実行内容
info パッケージもしくはパッケージグループの詳細を表示する
list パッケージグループの一覧を表示する
deplist パッケージの依存性の一覧を表示する
groups パッケージグループの情報を表示する
search 指定した文字列でパッケージの詳細を検索する
provides ファイルなどを指定して、該当するファイルを提供するパッケージを検索する
repolist ソフトウェアリポジトリの構成を表示する
version ホストが利用できるリポジトリのバージョンを表示する

●メンテナンス関係のコマンド・その他
コマンド 実行内容
check rpmデータベースの問題を確認する
check-update 更新に利用できるパッケージを確認する
clean キャッシュデータを削除する
shell 対話型のシェル(yumシェル)を実行する
updateinfo リポジトリの更新情報を表示する


yumコマンドの主なオプション

 yumコマンドの主なオプションは次の通りです。

短いオプション 長いオプション 意味
-y --assumeyes 全ての問い合わせに「yes」で応答したものとして実行する
--assumeno 全ての問い合わせに「no」で応答したものとして実行する
-t --tolerant エラーを黙認する
-R 分 --randomwait=分 最大の待ち時間を指定する
-c 構成ファイル --config=構成ファイル 構成ファイルを指定する
--installroot=場所 インストール先を指定する
--downloaddir=場所 ダウンロード先を指定する
--downloadonly ダウンロードだけを行う
-C --cacheonly パッケージの情報をダウンロードせずキャッシュだけを使用する
-x パッケージ --exclude=パッケージ 除外するパッケージを指定する(ワイルドカードも使用可能)
--color=指定 出力メッセージを色付きにするかどうかを「always」「auto」「never」のいずれかで指定する
-q --quiet 実行時にメッセージを出力しない
-v --verbose 詳しいメッセージを出力する


パッケージ管理システム「RPM」と「Yum」

 ソフトウェアを配布する際は、実行ファイル1つだけでなく、設定ファイルやマニュアルなど、関連する複数のファイルをまとめて「パッケージ」にしておくと便利です。

 CentOSなど、Red Hat系のLinuxディストリビューションでは、基本的に「RPM(Red Hat Package Manager)」と呼ばれるパッケージ管理システムが使われています。RPMパッケージであれば、「rpm」コマンドで手軽にインストールしたり、アップデートやアンインストールしたりすることができます。

 “あるソフトウェアを使うには、このソフトウェアが必要”といった関係を「依存」と呼びます。依存関係をチェックして、必要なソフトウェアを自動でインストールするなど、RPMをより便利に活用できるようにしたのが「Yum(Yellowdog Updater Modified)」で、Yumを使ってパッケージを操作するのがyumコマンドです。

 CentOSのようにYumに対応している環境であれば、基本的にはyumコマンドでパッケージのインストールやアップデートなどを行い、新しいソフトウェアやマイナーなソフトウェアなど、yumコマンドではまだ扱えないパッケージにはrpmコマンドを使うのがよいでしょう。



リポジトリとRPMデータベース

 RPMの作法でインストールしたソフトウェアは、「RPMデータベース」と呼ばれるデータベースで管理されます。このRPMデータベースを参照することで、現在システムにインストールされているソフトウェアやバージョンなどが分かるようになっています。アンインストールする際も、このRPMデータベースの情報が使われます。

 また、インターネット上には、RPMパッケージをまとめて保管している場所があります。これを「リポジトリ」と呼びます。Linux OSには多くのソフトウェアがインストールされていますが、例えばソフトウェアがアップデートされているかどうか、複数の開発元を1つ1つ確認するのはとても大変です。しかし、リポジトリがあることで、まとめてチェックしたり、ダウンロードしてインストールしたりする手間を省けるようになっています。

 Yumでは、RPMデータベースやRPMパッケージのリポジトリを使ってパッケージを管理しています。



パッケージをインストールする

 「yum install パッケージ名」でパッケージをインストールします。yumが参照するソフトウェアリストが古い場合は先に更新し、それからパッケージの依存関係を調べます。

 これからインストールするパッケージの正式名称とバージョン、依存パッケージのインストールや更新が必要な場合は、それらのリストが併せて表示されるので、内容を確認して「y」を入力するとダウンロードとインストールが始まります。

 以下の実行例では、「ImageMagick」というパッケージをインストールしています(画面1〜4)。ImageMagickは画像を操作するソフトウェアで、コマンドラインで画像を変換する「convert」コマンドが有名です。

コマンド実行例

yum install ImageMagick

(「ImageMagick」をインストールする)


画面1 画面1 「yum install ImageMagick」を実行。リストが古いので、まずアップデートしてから依存関係のチェックが始まった
画面2 画面2 インストール内容の確認。「y」で次へ進む
画面3 画面3 ここでも「y」で次へ進む
画面4 画面4 ImageMagickのインストールが完了した

 なお、パッケージ名の入力には補完が効くので、例えば「yum install Image」まで入力して「Tab」キーを押せば「yum install ImageMagick」が入力されます。



パッケージをアンインストールする

 「yum erase パッケージ名」でパッケージをアンインストールします(画面5画面6)。

コマンド実行例

yum erase ImageMagick

(「ImageMagick」をアンインストールする)


画面5 画面5 「yum erase ImageMagick」を実行。「y」でアンインストールが開始される
画面6 画面6 ImageMagickのアンインストールが完了した


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801N/PC-386MからのDOSユーザー。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。のち退社し、専業ライターとして活動を開始。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。