濱さんは大学時代、飲食店でアルバイトをしていた。そのお店はさまざまな業界の人が利用しており、顔なじみの来店客と話す機会も少なくなかったという。
そこで濱さんは、就活中であることや数学科専攻であること、適職探しでどんな業界が向いているか悩んでいることなども話したという。
そんなある日、来店客の1人から「それなら広告業界がいいのではないか?」とアドバイスをもらった。広告業界というと、業界研究をしっかり行っている人以外は、大手総合広告会社をイメージするのではなかろうか。濱さんも当初はその1人だった。
「テレビCMなどのキラキラとした華やかな世界、という漠然としたイメージを持っていました(笑)」
しかし話をよくよく聞いてみると、勧められたのはそうした総合広告会社ではなく、メディアレップ事業会社だった。メディアレップとは“media representative”の略で、インターネット広告における媒体社と広告代理店とを仲介する事業を営む事業者のこと。
広告主や広告会社からの広告出稿依頼に対して、最適な条件となる広告媒体を提案し、広告枠を買い付け、出稿していくのが役割だ。そのため、メディアレップには、さまざまなサイトのデータが集められ、効果的な出稿のためのマーケティングが盛んに行われている。
「メディアレップなら、面白いデータにたくさん触れられるよ」という言葉が、データフェチ……もとい、リケジョとしての濱さんの心の琴線に触れたのだった。
濱さんがDACの存在を知ったのも、アルバイト先で来店客から教えてもらったからだという。順調に選考を突破し、2014年4月DACに入社。
DACのテクノロジー部門は大きく分けて、開発部門とデータ分析部門がある。濱さんは面白いデータに触れられるデータ分析部門に配属されるものとばかり思っていた。しかし配属されたのは開発部門だった。
「最初は、開発……どうしよう……、と思いました(笑)。でも仕事はプログラミングだけではないことが分かり、ホッとしました(笑)」
濱さんが配属されたのはDMP(Data Management Platform)の開発チーム。そこで主にDBやUIの設計を担当している。DMPとは、インターネット広告で配信対象者のセグメンテーションに利用されるもので、サイト閲覧履歴や属性情報、ソーシャルメディアの情報など、さまざまなデータが集約されている。
広告主や広告会社は、DMPを利用することで、それぞれの媒体特性を知らなくても、ターゲットとなる人に対して効果的に広告を配信できるようになる。最適な広告を、最適な媒体に出稿するためのマーケティングを行うメディアレップ事業の根幹を支えるシステムであるといえるだろう。
UI設計では、どのような種類のデータをどのような形で見せるかといった「データの可視化」が重要なテーマとなってくる。
「営業サイドから、このデータを可視化してほしいとか、こんなデータをモニタリングできるようにしてほしい、といった依頼が寄せられてくるので、このデータならこんなふうに見せたら効果的じゃないかな、など、あれこれ工夫しながら設計し、提案しています」
大好きなデータの海にどっぷりと浸れる毎日に満足そうな濱さんの笑顔が、とても印象的だった。
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