ワークライフバランスが叫ばれている昨今、残業も大きな問題になっています。しかし、「残業=悪」なのでしょうか。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは、エンジニアの「仕事と残業の在り方」です。
皆さんは、先月何時間残業しましたか? 1日2時間として20日だと40時間ぐらい?
2014年にITmediaビジネスONLINEに掲載された「社会人の残業は平均47時間、残業が多い業界は?」によれば、「IT・通信・インターネット」業種の中で、残業が最も多い「インターネット」分野の残業は「月63.36時間」だそうです。IT業界は技術の変化も早いし、顧客の要望もそれに応じて変わってくるしで、忙しいですよね。
ところで、最近の報道によれば、政府は「働き方改革」として「企業の残業時間を月60時間に制限する」上限規制の原案をまとめたそうです(※)。忙しい月は100時間までの残業を認めますが、年間では月平均60時間に抑えるよう企業に義務付けると言います。おっと! IT業界も引っ掛かってしまうではないですか!
というわけで、IT業界で働く人にとって、残業は切っても切れないテーマです。そこで今回は、「エンジニアの仕事と残業の在り方」について考えます。
まず、残業に関する世の中のトレンドを見てみましょう。
今の残業に対するトレンドは、「残業=悪」ではないでしょうか。実際、政府の「働き方改革」では、違反企業には原則として罰金を科すとしていますし、ネット上の情報を見ても、「60時間でも多い」という意見が多いようです。つまり、「残業はしてはいけない」という意見に傾いているように見えます(良い/悪いではありません。傾向の話です)。
「ワークライフバランス」という言葉も、これに拍車を掛けているように感じます。
ワークライフバランスは、「ワークとライフのバランスを取りましょう」という意味です。言葉からイメージするのは、こんなイラストですよね。
ちなみに、政府広報オンラインでは、ワークライフバランスを次のように紹介しています。
働く全ての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことです。
出典:知っていますか?ワーク・ライフ・バランス | 政府広報オンライン
厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」の説明も紹介しましょう。
適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。社員の能力がより発揮されやすい環境を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。
他方、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性が高くなり、生産性は低下します。また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じさせることになります。社員のために、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が求められているのです。
残業を少なくして、仕事以外の時間を充実させれば、人生の全てがうまくいく……というのは大げさかもしれませんが、世の中の傾向は「残業はしてはいけない」に傾いていると思います。
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