Windows XPのときと同じような「Windows Vistaのサポートは、2017年4月11日に終了します」のポップアップが存在するのか、提供予定はあるのか、今回は確認できませんでした。その「お知らせ」を運んでくるかもしれない、肝心のWindows Updateによる手動更新がうまく動作しないからです。
以前、Windows Vista環境を新規作成した際に、すんなりいったような記憶がある幾つかの更新プログラム(Windows Update関連のもの)を手動でインストールしてもダメでした。Windows Updateの問題を診断、解決する「Microsoft Fix it」と呼ばれるトラブルシューティングツールがあったはずですが、Windows Vista用のものは既に提供されなくなっていました。現在は、Windows 7、Windows 8.1、Windows 10用のものだけが提供されています。
Windows Updateエージェントの手動リセットや、2016年末に公開された以下の公式ブログの方法も試してみたのですが、筆者の環境では効果はありませんでした。そのため、現在は、自動更新で何とかならないか放置中です。
古いOS(特にWindows VistaとWindows 7)は時間が経過すると、いろいろと面倒なことが増えてきます。環境を再構築するために新規インストールを決断するときには、そのことにくれぐれもご注意ください。
その後、Windows Vista SP2をWindows Updateで最新状態に更新することができました。Windows XPのときのような「お知らせ」ポップアップは、今のところ配布されていませんでした。
Windows Vista向けのWindows/IE関連の更新プログラム(特にセキュリティ更新プログラム)は、サポートが終了する2017年4月11日の定例更新(日本は翌日の12日)で提供されるものが最後になります。ですが、セキュリティ更新が提供されない穴は、「EMET(Microsoft Enhanced Mitigation Experience Toolkit)」である程度は防げるだろうと期待するのはよしましょう。
マイクロソフトは2016年11月にEMET 5.51をリリースした際、次のメジャーバージョンとなるはずの「EMET 6」は提供しないことを発表しました。また、2017年1月までだったEMET 5.5xのサポートを18カ月延長し、2018年7月31日までとすることも発表しました。現在の最新バージョン「EMET 5.52」はWindows Vistaでも動作しますが、Windows Vistaのサポートが終了すれば、その上で動作するEMETも公式にはサポートされなくなります。そして、2018年7月31日には、EMET自体のサポートとダウンロード提供が終了します。
とある調査によると、最新のWindows Vistaのシェアは、サポートが終了して丸3年が経過したWindows XP(その調査によると9%台)よりも、さらに、そして圧倒的に少ない(同1%台)ようなので、Windows XPのときのような大々的なお知らせは必要ないのかもしれません。
しかし、Windows VistaがプリインストールされたPCを、現在も使用中の個人そして企業ユーザーは確実にいるはずです。Windows 7とは異なり、Windows 10への無料アップグレードが提供されなかったため、今後も、もしかするとサポート終了のことなど知らずに使い続けるかもしれません。もし見かけたら、サポート終了について、優しく教えてあげてください。
そのWindows Vistaのデスクトップに「Windowsサイドバーガジェット」(時計やスライドショーがある画面左の縦長の領域にある小さなアプリ)が表示されていたら、少しでもセキュリティ上の弱点を減らすために「無効」に設定してあげてください。
Windows VistaのWindowsサイドバーガジェットとWindows 7の「デスクトップガジェット」は、数年前(2012年)にそれ自体の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘され、「無効化」することが強く推奨されています。もし、そのユーザーに大きな時計は譲れないと言われたら、壁掛け時計(物理的な)を勧めてみてはどうでしょうか。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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