HPEが同社フォールトトレラントサーバの機能を仮想化する新製品「HPE Virtualized NonStop」をリリース。障害発生時でもシステムを再起動せずに処理を継続可能とする技術を採用し、無停止システムを仮想環境にも適用できるようにする。
日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)は2017年4月11日、ハイブリッドクラウド環境での無停止運用を実現するミッションクリティカル領域向けソフトウェア製品「HPE Virtualized NonStop」の提供を開始した。
HPE Virtualized NonStopは、同社のフォールトトレラントサーバ「HPE Integrity NonStop」に備わる、障害発生時でもシステムを再起動せずに処理を継続可能とする「プロセスペア技術」を仮想環境に適用できるようにした製品。HPE Integrity NonStopではアプライアンスとして提供していたのに対して、HPE Virtualized NonStopは、無停止システムの中核となる「HPE NonStop OS」および無停止対応のミドルウェアを仮想マシン上で稼働させる、OS、データベース管理システム(DBMS)などを含めたソフトウェアとして提供する。
HPE Virtualized NonStopでは、異なる仮想CPU上でプライマリーとバックアップの2つのプロセスを実行させておき、プライマリープロセスに障害が発生すると、瞬時にバックアッププロセスが処理を引き継ぐ「テイクオーバー」の仕組みによって無停止運用を実現する。クラスタシステムにおけるフェイルオーバーの仕組みに対し、無停止で処理を継続できることを強みとする。
こうした無停止システムの中核となるのが「HPE NonStop OS」と無停止対応のミドルウェアとなる。HPE Integrity NonStopと同様に、ハイブリッドクラウド環境においても実行プロセスの冗長化やトランザクションの一貫性保持などの機能によって、無停止ハイブリッドクラウド環境を構築できるという。HPE Virtualized NonStopでは、仮想環境(ハイパーバイザー)にはLinuxカーネルが標準で備える「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」を、管理ツールにはOpenStackをそれぞれ利用する。今後、米ヴイエムウェアの「vSphere」や米マイクロソフトの「Hyper-V」にも順次対応予定だとしている。
HPE Virtualized NonStop向けのDMBSとしては、ミッションクリティカルなOLTP(Online Transaction Processing:オンライントランザクション処理)アプリケーションを無停止で実行する、超並列処理に適応した「HPE NonStop SQL/MX」を用意する。
また、OLTPアプリケーションの実行管理と制御を担うトランザクションモニターとして、「HPE NonStop TS/MP」を用意する。HPE NonStop TS/MPでは、超並列アーキテクチャによって拡張されたシステムリソースを単一システムとして利用できる。
価格は635万6400円(税別)から。OSや付属ソフトウェアの3年分ライセンス料も含まれる。
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