伊藤忠テクノソリューションズが、「企業のビジネスチャットツール導入実態」の調査結果を発表。PC利用者の利用率トップは「Skype」。ただし、企業導入率は3割に満たない状況が明らかになった。
チームメンバーと、どんな手段でコミュニケーションを取っていますか?──伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が、2017年2月に実施した「大手企業のビジネスチャットツール導入実態」の調査結果を発表。「会社として、公式にチャットツールなどのコミュニケーションツールを導入しているか」の質問から、企業導入率は3割に満たない状況が分かった。「全社で導入済み」は12.1%、「一部で導入」は16%、対して「導入していない」は71.8%だった。
導入理由で特に多かったのは、「時短」と「生産性向上」が挙がった。一方、導入していない理由は「業務に必要がない」が多かったものの、「セキュリティが心配」「会社側での管理・運用対象が増える」「社内コンプライアンスや稟議を通すのが困難」といった、「会社の公式ツールとして導入するならば、対策すべきこと」を課題としている企業も多かった。また、「導入したが、使われなかった」という残念な回答もあった。
ではビジネスコミュニケーションツール導入済みの企業は、どんなツールをどんな選定理由で採用したのか。
ツールの種類では、従業員が主にPCを利用している場合と、主にスマートデバイスを利用している場合で、導入ツールに違いがあった。主にPCを使う企業は、「Skype」が最も多く、利用率は30.5%。次いで「Facebook」が15.3%、「Microsoft Teams」が11.9%と並んだ。それに対して、主にスマートデバイスを業務で活用する企業は、「LINE」が24%でトップ。続いて「Facebook」が19.8%、「Skype」が16.8%となった。また、スマートデバイスを主に使う企業の方が、総じてツール導入率が高いことも分かった。
ツールの選定基準は、「使いやすさ」が21.6%がトップ。続いて「セキュリティ」が20.6%、「業務効率化」が15.6%、「安心感(開発している会社に信頼があるなど)」が15.1%と並んだ。その理由には、「スピーディにコミュニケーションができる」(23.6%)、「会議時間の短縮が期待できる」(15.7%)、「複数人での情報共有が容易になる(他部署間とのコミュニケーション活性化など)」(13.9%)が挙げられた。
一方、「会社として」公式に認められていなくとも、従業員がプライベートで使っているツールを業務でも使用している場合もあるかもしれない。調査では、公式ツールを導入していない企業のうち、半数以上がこのシャドーIT状態を把握できていない状況も明らかになった。「従業員が会社としては使用を認めていないチャットツールを会社に無断で業務に利用しているか、もしくは利用していることを把握しているか」の質問では、「分からない」が52.4%、「把握はしていないが、利用されていると思う」が7.8%となり、合計すると、「利用されている実態はない」の35.5%を大きく上回った。
同調査は、売上規模100億円以上、従業員数200人以上の企業に勤務する経営層からリーダークラス以上の役職者を対象に、2017年2月3〜4日に行われた。有効回答数は412。
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