人工筋肉やVR/AR、仮想ロボット、FoodTech……、先端技術から生まれるプロダクトとはMicrosoft Innovation Award 2017最終選考会(5/5 ページ)

» 2017年04月20日 05時00分 公開
[益田昇@IT]
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位置情報とカメラ付きペンで報告業務を効率化する「InspectionPen」

 タグキャストが提供する「InspectionPen Feel by Wacom」(以下、InspectionPen)は、専用のカメラ付きデジタルペンとビーコンを使った屋内位置情報技術の連携により、タブレット端末に表示した図面に現場で撮影した写真を張り付けたり、メモを書き込んだりして、検査・報告業務を効率化するシステムだ。開発はタグキャストがデジタルペン技術を持つワコムと共同で行っている。

位置情報が連携するカメラ付きデジタルペン

 InspectionPenを使うと、例えば検査作業において、作業場所に近づくだけで、その場所に関連した図面を自動的にタブレット端末の画面に表示して、検査・報告作業をすることが可能だ。

 InspectionPenのカメラで撮影した現場写真は、ペン先に記録され、ペンをタブレット画面に近づけるだけで、簡単に写真を図面に張り付けることができる。またInspectionPenはデジタルインクを使って、タブレット画面に表示されている図面にメモを書き込むことが可能だ。付属のメール機能を使えば、検査内容をすぐに報告でき、グループウェアと連係することでチーム間の共有も可能になる。検査・報告業務における撮影や写真取り込み、編集、報告など、さまざまな作業を効率化することができるという。

 InspectionPenは、建設の進捗(しんちょく)報告や工場の保全、機械の整備、店舗の陳列など、さまざまな現場での活用が考えられる。例えば、ショッピングモールの管理者が、モール内を巡回してゴミが放置されているのを発見したとき、管理者はその様子をInspectionPenで撮影し、図面に写真を貼り付け、「急ぎ撤去」とメモ書きして従業員に指示することができる。その他にも、不動産会社での修繕箇所の指示や飛行機の整備箇所の報告など、さまざまな用途に活用できる。

ショッピングモールの管理業務での活用

店舗の空席状況をリアルタイムに知らせるデジタルサイネージ「VACAN」

 バカンが開発した「VACAN」は、店舗の混雑情報を自動取得し、空席状況などの情報をリアルタイムに表示し、すぐに利用可能な店舗を知らせるデジタルサイネージである。

 その機能はシンプルで、店内に設置したセンサーやカメラが混雑状況を自動的に把握し、店外に設置したサイネージに「空席」といった情報をリアルタイムに表示する。店舗はオペレーション要らずで空席情報を顧客に発信できるようになる。一方、顧客はスマートフォンといったデバイスを使うことなく、店舗の空席情報をリアルタイムに確認することができ、空席待ちで店に並ぶ必要がなくなるという。

デジタルサイネージの表示を最適化して集客力を向上させるVDO

 デジタルサイネージの仕組み自体はシンプルだが、VACANの機能は、ただ空席があるかどうかを知らせるだけではない。最大の特徴は、混雑状況に合わせて、デジタルサイネージの表示を最適化して集客力を向上させる「Vacant-driven Display Optimization」(VDO)と呼ばれる機能を提供していることだ。これは、バカンが独自に開発した技術で、既に関連する4つの特許を出願している。

 店舗は、VACANのVDOを使うことで、混雑状況に合わせたアナウンスをデジタルサイネージに表示することができる。もし店舗がVDOを利用しない場合、空席があるときは「◯」、混雑しているときは「△」、空席がないときは「×」としかデジタルサイネージに表示できない。だが全て「×」と表示されてしまうと顧客は、お店に来なくなってしまう。しかしVDOを利用することで、空席がない場合でも、顧客をテイクアウトの注文に誘導したり、少し待ってもらう代わりにクーポンを発行したりといった対策を打つことができる。クーポンについても、30分だけ有効なものなど、さまざまな発行の形態を設定することが可能だ。また集合店舗向けのサイネージ表示では、空いている店舗を優先的に左上から順に表示させたり、混雑状況に合わせて最適な表示順に変更したりすることもできる。

VDOを利用した場合のデジタルサイネージ表示

 VACANの強みは、センシングや画像解析によるデータの取得から、補正、分析、そしてVODを使って見せるところまで一貫してサービスを提供するところにある。バカンは、こうした一連のフローをオートメーション化することで店舗を支援していく。

一貫したオートメーション技術でアシスト

 今後は、スマートフォンアプリケーションと連係し、顧客がどこにいても空き情報を確認できるように準備を進めている。店舗側は集客手段を多様化することができるという。将来的には、お店を探してから空席を確認するというプロセスを繰り返すのではなく、空席を探してからお店を決めるというように検索プロセスの効率化を促進していきたいとしている。

検索効率を高める空席のお店を提案するスタイル
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